1. HOME
  2. 特集
  3. WEARABLE ART 〜ネコと少女との三角関係〜 #02 サイトウユウスケ
  • BOICE FROM BAYCREW'Sとクリエイティブチーム・LAYOUTとの共同プロジェクト第2弾は、イラストレーターのサイトウユウスケをフィーチャー。

    『MUSIC MAGAZINE』の表紙なども手がける同人物の近年のパーソナルワークであり、代表作である『Chack and The Girl』で描かれているのは、シャム猫のチャックと少女の、どこかノスタルジックな日々。

    この作品群を「生涯をかけて臨みたいライフワーク」と話すサイトウが、ネコと少女に込めた想いとは?

    BOICE FROM BAYCREW'Sとクリエイティブチーム・LAYOUTとの共同プロジェクト第2弾は、イラストレーターのサイトウユウスケをフィーチャー。

    『MUSIC MAGAZINE』の表紙なども手がける同人物の近年のパーソナルワークであり、代表作である『Chack and The Girl』で描かれているのは、シャム猫のチャックと少女の、どこかノスタルジックな日々。

    この作品群を「生涯をかけて臨みたいライフワーク」と話すサイトウが、ネコと少女に込めた想いとは?

    Photo_Shunsuke Imai
    Text_Nobuyuki Shigetake

    2022年10月11日(火)までの期間限定で受注開始!

    ※受注生産のため、返品交換不可

    2022年5月に行われた個展での『Chack and the Girl in Wonderland』をベースに、氏のバックボーンでもある音楽を感じさせるアートを落とし込んだTシャツ、バッグに加えて、アートピースもご用意。

  • PROFILE

    サイトウユウスケ

    1978年生まれ。2003年バンタンデザイン研究所イラストレーション専攻卒業。以後、フリーのイラストレーターとして活動。主にデジタルによるペインティング作品を制作。 これまでにミュージックマガジン表紙('08年4月号~'14年3月号)、ドラマ「続・最後から2番面の恋」ポスター、ピーター・ボグダノビッチ監督作品「マイ・ファニー・レディ」日本版ポスター、吉井和哉カバーアルバム「ヨシー・ファンクJr.」、 「ヨジー・カズボーン 」などにイラストを提供。 また2017年のパリコレではYOHJI YAMAMOTOとコラボレーションするなど、広告、装幀、CDジャケットなどメデイア・国内外を問わず活動中。

  • ちゃんと乗り越えられるし、大人になれる

    ー 今回のコラボレーションプロジェクトのアートワークに採用された『Chack and the girl』、この一連の作品群は、どういったものなんですか?

    サイトウ:2020年にネコをテーマにした企画展に参加した際にネコと女の子の絵を描いて出展したのですが、そのとき、自分の中ではめずらしく絵の中の登場人物たちの性格を明確に設定したんですよね。これまでにたくさんの絵を描いてきましたが、人物像をじっくり作り込むことはありませんでした。なんとなくの雰囲気は作るものの、その人の背景にあるストーリーは、見る側に委ねることが多かったというか。

    ー 女の子はもちろん、ネコにも性格があって。

    サイトウ:はい。さらにはストーリーもあって。そういった描き方が妙に自分の中でしっくりきた実感がありました。その企画展のすぐあとに個展を予定していたので、このテーマで一連の作品群を描いてみようと思ったんです。

    ー ストーリーもあるんですね。着想はどういったところから?

    サイトウ:実は、たくさん描いていくうちに女の子のキャラクター像もどんどん明確になっていって、一通り個展の作品が出来上がったタイミングでずらっと並べて見てみたら「あれ?これって、子どもの頃の自分だ」ってことに気が付いて。

    ー なるほど。図らずとも過去の自分を描いていたと。

    サイトウ:無意識にひたすら描いていたつもりだったんですけどね。不器用な性格で、友達がいないわけではないけど、輪の中で置いていかれることもあったり。家でひとりで過ごすことも多いけど、むしろそれが楽しい。家にはネコがいて、そのネコも懐いてるのかどうかもよくわからない距離感で、でもそれが心地いい。これらはすべて自分の幼い頃の体験が基になっています。

    ー 楽器を持っていたり、そばにはカセットプレイヤーやMTR、ドラムマシンが置いてあったりして、これらもご自身の経験によるものですか?

    サイトウ:ずっと音楽が好きで、学生時代はバンド漬けでした。ただ、楽しくやってはいたんですけど、徐々に自分には才能がないことに気がついてやめざるを得なくなってしまって(笑)。それからいろいろあって今は絵を仕事にしていますが、個展を通して『Chack and The Girl』を「いいね」「素敵だね」と褒めてくれる人たちの存在がとてもありがたくて。過去の報われなかった自分や、傷ついた自分のことを再肯定してくれているような気持ちです。イラストレーターとしてのクリエイティビティも一歩前進した感触がありました。

    ー 今回のコラボレーションではアートワークを1点ご提供いただいたのですが、女の子が履いているのは、VANSの『SK8-HI』ですかね?

    サイトウ:そうですね。実はこだわっているところで、気づいてもらえると嬉しいポイントだったりします。女の子には、絵ごとにいろんな靴を履いてもらっていて、ときには少しマニアックなスニーカーも履いてもらったりしていますが、基本的にはそのときの自分の身近にあるものだったり、昔自分が気に入って履いていたものですね。

    ー ドクターマーチンを履いているイラストもあったりして、「この子、音楽が好きなんだろうな」と思ったり、VANSを履いていて「アクティブな子なんだろうな」とか思ったり、いろんな想像の余地があって楽しいです。

    サイトウ:単なる僕の趣味ですけどね(笑)。女の子のファッションは、僕が青春時代を過ごした90年代のファッションを参考にしています。

    ー サイトウさんの幼少時代のメタファーであるこの女の子を大人になったサイトウさんが描いている。というのも素敵だな、と思います。

    サイトウ:ありがとうございます。これから先、大人になっていく過程でいろんな不安なことや悲しいことがあるかもしれないけど、僕がそうだったように、ちゃんと大人になれるし、乗り越えられるんだよ、という想いを込めて描いています。

    ー そういった情報を知ってから見ると、また全然違う印象に映ります。

    サイトウ:設定やキャラクター像については作り込んでいてその意図も明かしていますが、それも一部でしかなくて。想像の余地を残しておきたいので、細かなところでは明かしていないことも多いです。この女の子はもう大人になっていて、過去の自分を思い出している、という設定で描いているので、時間の経過や心境の変化もこれから見えてきます。

    ー 『Chack and the girl』の続きを見られる機会はすぐに訪れそうですか?

    サイトウ:2023年の1月に京都で個展を予定しているので、鋭意制作中です。その個展でもやはりストーリーは一歩先に進んでいきます。今後も過去の自分をさらけだし、振り返りつつ、さらに前へ進むための極私的なライフワークとして取り組んでいきたいですね。