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  3. 大切にしたいのは、服であり、心である。k t s ディレクター・石坂恵子の信念 | モノカタル Vol.4 プロダクト編
  • Interview

    大切にしたいのは、服であり、心である。
    k t s ディレクター・石坂恵子の信念

    日常を、彩るということ。僕らが暮らしを続けていくにあたって、それは“衣・食・住”の3つのうちひとつを適切に用いることで、叶えられている。

    たとえば“衣”。煌びやかな服を身にまとえば、きっと気分が高揚し、日常もそれに準ずる形で彩りあふれるものになるだろう。たとえば“食”。こなすだけの食事ではなく、いつもより少しだけ気を使った食事を摂れば、心も同じ幅でポジティブに揺れるはずだ。たとえば“住”。言わずもがなではあるが、家に綺麗なお花を飾ったり、素敵な絵画を飾ったりすれば、おのずと暮らしはキラキラ輝くに違いない。

    特集連載『モノカタル』では、特に"衣"にフィーチャーしながら"モノとヒトの物語"について語っていくが、今回、登場していただく石坂恵子氏も、"衣"を通して、いわば"物語的"に日常を彩る人物だ。そんな彼女がディレクターを手がけるライフスタイルブランド・k t sのコンセプトには「お気に入りの服もずっと大切に出来たら」という、『モノカタル』のコンセプトとの親和を感じさせる一文がある。共感とリスペクトを込めて、話を訊かせてもらった。

    Photo_Chihiro Kiyota
    Interview&Text_Nozomu Miura
    Edit_Nobuyuki Shigetake

    about k t s

    慌ただしい日々の中で、
    家事を少しでも楽しい時間に変えることが出来たら…
    環境に少しでも優しく、みんなが安心して使えたら…
    お気に入りの服もずっと大切に出来たら…
    そんな思いで、洗濯洗剤を始めとするhousehold productを作りました。

    服を“洗う”から、服を“Careする” へ。

    いつも健康な身体でいる事。
    いつも綺麗な部屋で過ごす事。
    いつも清潔な服を着る事。
    これらを意識し、丁寧な暮らしをすると心は整い日々は輝いていくと思います。

    忙しい日常の中、私のproductで皆様の毎日を
    少しでも彩る事が出来れば幸いです。

    ktsが、皆様にとってのComfort productsになりますように。

    いつもの事を、ちょっとお洒落に優しく。
    心躍る毎日を。
    心潤う毎日を。
    心安らぐ毎日を。

    https://kts-product.com/
    Instagram:@kts.product /@katie_ishizaka

    “大切なものを、長く使い続けるために”

    ー 石坂さん、今日はよろしくお願いします。普段は“ケイティさん”と呼ばれているそうですね。

    石坂さん(以下敬称略):よろしくお願いします! ぜひ、呼びやすい方で呼んでください(笑)。

    ー では、ここはぜひとも“ケイティさん”でいきましょう(笑)。ケイティさんがディレクターを務めるブランド・k t sとは、どのようなものなのでしょうか?

    石坂:2022年3月にローンチした、広い意味で言うところの“ライフスタイルブランド”です。洗濯洗剤をはじめとするHousehold Product(家庭用品)や、リラックスウェアのような洋服づくりをおこなっています。

    ー たとえば、k t sとしてどのような未来を目指している、といった目標のようなものはありますか?

    石坂:そもそも、わたしのものづくりの根底には、いつも「大切なものを長く使い続けるためにはどうしたらいいか」という思いや考えがありますね。

    ー 大切なものを、長く使い続けるためには。

    石坂:わたしはこれまで、15年ほど、洋服の販売員としてキャリアを積んできました。学生の頃にアメリカへ渡り、現地で人気のセレクトショップの店頭に立ち、海外の方へ洋服を提案していたんです。日本に戻ってきてからは、また別の大手セレクトショップに勤め、それまでと同じく洋服の販売を。とにかくずっと、販売員だったんです。

    ー ほうほう。

    石坂:お客様に対して洋服やスタイルをご提案するなかで、「自分が紹介・提案させてもらったものはなるべく長く使っていただきたい」という気持ちが湧いてきたんです。店頭に並ぶ、数々の自分が愛する自社の洋服たち。それらを、わたしが愛する身近な人に、大切に着てもらいたいな、って。

    ー 大切な人に、大切な洋服を提案し、ゆくゆく未来も、きっと大切にしていただきたい。ある種の願い、とも言えそうですね。

    石坂:まさしくそう思っていました。店頭で、長い時間をともにしつつ、ひとつの洋服を選ぶ。さまざまな話をしながら、時には「うーん……」と迷いながら。そんな時間を過ごすと、そこには自然と“ストーリー”が生まれてくると思うんですよ。

    ー ケイティさんにとっては、店頭の洋服たちはまるで我が子のようなものですよね。お客さまからしても、その心は十分に伝わっていたんじゃないかと思います。

    石坂:そういった愛情にあふれたものを、持ち主の方がすぐにダメにしてしまったり、ボロボロにしてしまうのは、ちょっと嫌だなぁと思っていて。だからこそ、買ってくださったお客さまにはいつも、洋服のケアについて細かくお伝えするようにしていたんです。「この洋服は裏返して洗うといいですよ」であったり、「これは襟だけ手洗いするのがベターです」であったり。

    ー ただ洋服を売るだけではなく、その後を見据えた“服との付き合い”を提案する。

    石坂:そうですね。時には、お客さまが「このバッグの洗い方、わかんないんだけど!」なんて言いつつ、大切なバッグを預けてくださることもありました。これを今言っていいかは正直わからないけれど、当時は、お預かりしたバッグをお店の裏で入念に洗っていたこともあったぐらい(笑)。それほどに「大切なものを長く使い続けるためには」ということをずっと心に留めていましたね。その気持ちは、もちろん今も同じです。

    汚れを落とすことは、服への愛情であり、祈りである

    ー 洋服をお客さまに提案する“販売員”から、今やライフスタイルブランドのディレクターに。そのキャリアチェンジをおこなったのには、どういったきっかけがあったのでしょうか?

    石坂:「なぜ販売員を辞めようと思ったか」についてはあまりハッキリとした理由がないのですが、ただ、辞めた後に「洋服のケアプロダクトを作ろう」と思ったのには、確固たる理由がありますね。

    ー それは、先ほど話してくださったような。

    石坂:まさに。「大切なものを長く使い続けるためにはどうしたらいいか」ということを考えると、それは必然だったように思えます。

    ー うん、うん。そうですよね。

    (L→R)
    #1 LAUNDRY BASIC DETERGENT(洗濯用洗剤)
    ktsのシグニチャープロダクトであるBasic洗剤。洗浄主成分は、肌に優しい植物由来の界面活性剤を採用。着用後の汗汚れ・油汚れなどを丁寧に落とし、あなたの大切な衣類を優しく綺麗にします。内容成分も天然成分であるパパイヤ酵素を採用。肌にも環境にも負荷の少ない成分で、優しい洗濯洗剤に仕上げました。

    #2 FABRIC SOFTENER(柔軟剤)
    厳選された植物由来成分を配合。植物由来のケア成分配合で、あなたのお気に入りの洋服をふんわり柔らかに仕上げます。またそれだけでは無く、コーティング作用があるので、ほこり、花粉の汚れの吸着を防ぎ、静電気も抑えます。着色料、無添加。香りはシアトルの湖近くの森林を(pinecone:松)イメージ。ほんのりと香る微香性なので柔軟剤の香りが苦手な方にも、抵抗無くお使い頂けます。

    #3 LAUNDRY PRE MIST&FARIC FRESHENER (消臭防止剤)
    消臭効果を上げる為に天然由来の柿抽出物(柿タンニン)を配合。グレープフルーツの種子から抽出・精製された天然の除菌成分でできています。洗濯前の汚れた衣類に吹き掛けておけば、雑菌の繁殖も防ぐことが出来、生乾きのニオイとも無縁の関係に。干した時の洗濯物の清潔さが断然違います。

    #5 FLOATING CLEANER FOR WATCH,JEWLRY(時計、ジュエリークリーナー)
    洗浄効果+除菌・ 抗菌、光沢復元、防汚効果(汚れの再付着防止)があります。特殊なアルカリ成分を配合し、それらの汚れや菌を微粒子で浮き上がらせてしっかりと洗い流します。また、菌を洗い流すと同時に光沢復元効果も作用しピカピカに。

    石坂:せっかく素敵な洋服を身につけるのであれば、なるべくいつも素敵であってほしい。なるべくいつも清潔であってほしい。もちろん、成分に何を使うかを熟考し、環境には配慮しながら。わたしたちのケアプロダクトでみなさまの暮らしがよりクリーンに、彩りあふれるものになるのならば、きっとそれこそがわたしの目指すところだと思っています。それは「大切なものを長く使い続けること」につながっていくはずですからね。

    “素敵な方に、ずっと素敵であってほしい”という想い

    ー ケイティさんの心には、いつも“洋服への愛情”はもちろんですが、それを通じた“人への愛情”があるように思えます。

    石坂:だって、素敵な方にはずっと素敵であってほしいじゃないですか。リラックスウェアを作っているのだって、そうですよ。

    ー ほう、ほう。

    石坂:さまざまな方に現状の話を聞くと、新型コロナウイルスの流行にともなって、おうちでの時間が増えたみたいで。

    ー たしかに。お出かけすることもあるけれど、圧倒的に、家での時間が増えましたね。

    石坂:もちろん全員ではないですが、結構な割合で「家では旦那の捨てようとしてる服を着てるよ」といった声があったんです。正直、ちょっと残念だな、って。たとえば旦那さまがどんなときだって「やっぱり僕が選んだ人は素敵な人だなぁ」と思ってくれていたら、うれしいじゃないですか。そのお手伝いのひとつとして、ルームウェアがあったらいいな、と思うんです。

    ー いわゆる“オシャレ”を、家の中でするのはちょっと無理があるけれど。

    石坂:いえいえ、それでもいいとすら思うんですよ。おうちにいる際に煌びやかなワンピースを着てみるのだって、いいと思う。ほんのちょっとお買い物に行くために、オシャレな洋服を着てみるのだって、いいと思うんです。オシャレは心ですから。

    ー オシャレは心、良いなぁ。まさにそうですよね。

    石坂:k t sがつくっているルームウェアは、その点、おうちにいる際のオシャレ着としての役割もそうですし、ちょっとしたお出かけの際にもぴったりだと思っています。旅行なんかも良さそうですね。脱ぎ着しやすいようにジップをあしらったアイテムであったり、国内生産にこだわった着心地・肌触りの良いスウェットやカットソーであったりと、配慮を凝らしたアイテムを揃えているんです。

    ー 家でもオシャレをしよう、きっと心地よくいよう、と思ったときに、『k t s』は優しく寄り添ってくれるような。

    石坂:身につけるもの、特に洋服には、その方の“人となり”が一発で表れるんですよね。個性が一番表れる、というか。そういった意味でも、みなさまが素敵であり続けられるようなサポートとして、洋服づくりを続けていきたいなと思っています。

    ー 販売員からブランドディレクターになった今でも、洋服のことが大好きなんですね。

    石坂:「洋服大好き!!!」というよりも、きっと「振り返ってみたら大好きだった」ぐらいがちょうど良いのかもしれません。わたしにとって。それは、値段の高いものでも、かえって安いものでも同じで。大切にしたいと思える服を長く愛し続けていくことこそが、きっとわたしとk t sの想いなんでしょうね。うん、振り返ってみたら大好きだった。まさにそう思います。みなさまにとっても、ご自身の洋服や暮らしを自然体に愛していられるような、そんな輝かしい状態を作っていきたいですね。

    おわりに

    “ケア”という言葉を考える。大きな言葉を使えば、それは“大切に使う”ということとほとんど同義なのではないだろうか。素敵なもの(ここでの洋服や人自身)に、素敵でいてもらいたいと願うこと。“モノ(ケアアイテムやリラックスウェア)”を通じて、その願いをなるべく健やかに叶えていくこと。

    “ケア”の気持ちや行為を通じて、服そのものを、そして、それを所有するすべての人の心を大切にする。彼女が手がけた“モノ”たちは、間違いなく僕らの暮らしを、僕らの心をも、彩ってくれるはずだ。

    「モノカタル」のまとめページができました。この機会に、過去のインタビューや、洗濯のプロが教える、洋服のケア方法をご覧になってください。