サラリーマンとして働きながら、下北沢でキッチンカーを営み、
休みの日は都内から車を走らせて鎌倉で畑作業に勤しむ。キッチンカー『はらいたコーヒー』の相馬さんと遠畑さんのライフスタイルが気になって、お話を聞いてみた。
夏らしい軽やかなTシャツを着てもらいながら、大学からの友人であるお二人の和やかなお話を聞くうちに、
“食について考えること”“友人と仕事をするロマン”“チャレンジする重要性”・・・
柔らかな雰囲気の中に隠れる強い信念が見えてきた。サラリーマンとして働きながら、下北沢でキッチンカーを営み、休みの日は都内から車を走らせて鎌倉で畑作業に勤しむ。
キッチンカー『はらいたコーヒー』の相馬さんと遠畑さんのライフスタイルが気になって、お話を聞いてみた。
夏らしい軽やかなTシャツを着てもらいながら、大学からの友人であるお二人の和やかなお話を聞くうちに、“食について考えること”“友人と仕事をするロマン”“チャレンジする重要性”・・・柔らかな雰囲気の中に隠れる強い信念が見えてきた。
「おなかのよわい仲間たちへ」
自身の悩みから生まれた、“おなかにやさしい”アイス下北沢の線路街でキッチンカー『はらいたコーヒー』を営む相馬さんと遠畑さん。「おなかのよわい仲間たちへ」というメッセージを掲げ、植物性ミルクを使ったおなかにやさしいアイス(フローズンヨーグルト)とデカフェコーヒーを販売している。
日本には、牛乳に含まれる乳糖という成分を上手く消化できない乳糖不耐症の方が2000万~3000万いるという。遠畑さんもその一人。幼少期からお腹が弱く、時にはお腹を壊すのを覚悟でアイスを食べることもあったそう。
「父親も乳糖不耐症かつアレルギー持ち。幼い頃から食べるものに気を使っている父親を見てきました。食べられないものがあるというのは、当人からするとかなり辛いことなんですよね。」
自分と同じように、食に対して悩みを抱える"仲間たち"に何も気にせずアイスを食べて、コーヒーを飲んで欲しい! そんな思いを込めて、遠畑さんは日々キッチンカーに立っている。
「お腹が弱いのが長年の悩みだったまもる(遠畑さん)がはらいたコーヒーの主人公なんです。」
そう語るのは、はらいたコーヒーで店頭販売とマーケティング、外部とのタイアップなどの案件を担当する相馬さん。大学時代からの友人である遠畑さんが、すぐにお腹を壊したり、食事に気を使っているのを見てきたという。
そんな相馬さん、自身はお肉を食べない「ベジタリアン」。
大学時代に海外を旅してまわっていた相馬さんは、海外と日本でスーパーの違いに驚いたそう。「海外のスーパーに行くと、グルテンフリーコーナーやヴィーガン向けのアイテムを扱ったスペースが広く取られているんです。日本のスーパーでも扱うお店は少しずつ増えてきていますが、まだまだ規模は小さいと感じています。はらいたコーヒーの活動を通して、食のバリアフリーフードバリアフリーを少しでも進めていきたいと思っています。」(相馬)
都内から車で1時間、鎌倉の山奥で畑作業。
リフレッシュにとどまらない休日の過ごし方。それぞれ別で仕事を持ちながらはらいたコーヒーを営むお二人に、休みの日の過ごし方を尋ねると、「畑作業」というなかなか驚きの答えが返ってきた。
実は相馬さんと遠畑さんは、相馬さんの実家がある鎌倉の山の上に畑を持っている。
「元々は東京で小さな畑を借りていたのですが、両親がコロナを機に鎌倉に引っ越した際に、家の横で畑ができるという話をもらって場所を移しました。僕たちは2人とも東京に住んでいるのですが、車で1時間くらいで来れるんです。」(相馬)
独特な曲線を描いた畑のレイアウトは、相馬さんが影響を受けたという映画『ビッグリトルファーム』に出てくる畑の形から影響を受けたという。鎌倉の景色を一望できる畑に植えられたレタスやハーブなどの作物が風を受けて気持ち良さそうに揺れていた。
この日は、玉ねぎを育て終わった土を耕して石灰を混ぜ込み、次の作物を育てる準備がメイン。
「大自然の中で身体を動かすのは気持ちがいいし、一つ一つ手分けして作業を進めたり、畑で起きる小さな問題を解決していくことがチームビルディングにも繋がっています。」(相馬)
畑作業が終わりシャワーを浴びたら食事の時間。畑で採れた野菜を使った相馬さんのお母様のお手製料理が食卓に並ぶ。疲れた体に嬉しい新鮮な野菜を使ったお手製の料理は、味はもちろん見た目も艶やかで美しい。
この日は畑で採れた葉物を使ったサラダと、畑で採れたトマトのマリネ、玉ねぎのオーブン焼き、ポテトサラダ、メインディッシュは生地から作った特製ピザ。
「食事の時間や行き帰りの車内でのはらいたコーヒーについての会話から新しいアイデアが生まれることもありますね。新フレーバーの開発につながったり、イベント出店につながったり。何か面白いことができそう! というタネが生まれて、各々宿題として持ち帰って考えることもあります。」(遠畑)
2人にとって、畑作業は単なる休日のリフレッシュにとどまらない重要な役割を担っているようだ。
仲間とのものづくりをお客様へ。
「迷ったらやってみる」ことで広がる可能性。大学時代から仲が良かったというお二人。
相馬さんは、友人と仕事をすることに対して特別な思いがあるという。「以前オランダに行った際にハイネケンの博物館がアムステルダムの中心地に大きく建てられているのを見て、すごく素敵だなと思ったんです。家族経営で始めたビールが世界に広がっていき、発祥の地には大きな博物館が建っているなんて夢があるなと。そのイメージが強く残っているので、ものづくりは仲間や友人としたいし、それを世界に広めていきたい。その方が上手くいった時の喜びは大きいし、何よりロマンがありますよね。」(相馬)
遠畑さんは、製造と販売を担当。
「自分と同じ悩みを抱える仲間たちに向けて、一番近い距離で接することが大事だと思っています。」遠畑さんが大事にしている言葉は「迷ったらGO」。遠畑さんが父親から常々言われてきた言葉だそう。
「畑もはらいたコーヒーも、初めは迷っていたのですが、とりあえずやってみよう。と始めて、今も続いていて仕事になっているので、この言葉は座右の銘みたいになっています。はらいたコーヒーでも新しいチャレンジを考えていて、今はグルテンフリーのビールの開発に取り掛かっています。ビールの開発って結構難しくて、ハードルの高いチャレンジではあるのですが気になってしまったからにはやるしかないかなと。」(遠畑)
誰もが食べたいものを食べられる世界へー
キッチンカーから見据える未来。最後にお二人に、将来の展望を聞いてみた。
「まだまだ乳糖不耐症は世の中に知られていないし、自分で気づいていない方も多い。パートナーやご家族が実は乳糖不耐症というパターンもあると思うんです。僕たちの活動が乳糖不耐症を知ってもらうキッカケになれば良いなと思いますし、自分がやる意義もそこにあると思っています。あとはこの活動を続けていくこと。それが直近では一番の目標ですね。」(遠畑)
「食制限、食志向の違いにかかわらずみんなが食べたいものを食べられる世界にしていきたいという思いがあるので、はらいたコーヒーをベースにもっとプロダクトを増やしていきたいです。あとはその活動を仲間内でとどめるのではなくて、大きく広げていきたい。キッチンカーだけでまとまってしまっても面白くないので、次へのステップアップをしっかりと狙っていきたいですね。」(相馬)
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Photo_Takumi Ito
Edit/Text_Sho Iwata
Special thanks_MUSTARD HOTEL SHIMOKITAZAWA