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  • “ジャーナル スタンダードファミリー”の末っ子、

    Oriensってどんなブランド?

    JOURNAL STANDARDを筆頭に、そこから派生するブランド群をまとめて“ファミリー”とするならば、Oriensはいわばその末っ子。生まれてまもなくして、無垢な感性を味方にたくさんのファンに恵まれ、全国各地に店舗を、そして個性豊かな仲間を着実に増やしています。その急成長ぶりが気になって、立ち上げメンバーである長谷川さんと、仲間に加わったばかりの成岡さんに、ブランド発足当時のことから22SSの新作アイテムのことまで、あれこれ訊きました。

    Photo_Yuki Aizawa
    Text_Masahiro Kosaka【CORNELL】

    長谷川アルファ2019年入社。JOURNAL STANDARD神南坂店に配属され、同年9月からOriens立ち上げに参画。現在まで、メンズバイヤーとMDを兼任する。

    成岡優奈前職では飲食業を経験し、2021年11月入社。2022SSシーズンよりプレスを務める。

    何でも自分たちだけでやる必要があった。

    長谷川さんは、立ち上げに参画した初期メンバーのうちのひとりですよね。まずは、その頃にさかのぼってお話を訊かせてください。

    長谷川:ぼくが入社したのは2019年4月で、同じ年の9月にOriens立ち上げの話をいただきました。半年ほど準備をして、2020年3月に、ここ神南に店舗がオープンしたんです。そこから現在まで、メンズバイヤーとマーチャンダイザーを兼任しています。

    ブランドコンセプトについても、改めて教えてください。

    長谷川:若い世代に向けて “ジャンルレス”なファッションを提案することです。お客さまや自分たちも含めて、ジャンルにとらわれずに洋服を着ることが、いまかなり当たり前になっています。

    ブランド設立から丸2年経ったわけですが、現在の店舗数とメンバー数は?

    成岡:東京、福岡、大阪など、現在5店舗を展開しています。メンバーは、本社スタッフ3人を含めて、17人くらいですね。

    オープンまもなくコロナに見舞われ、売り上げはもとより、とても順風満帆とはいかなかったことと思います。でも、店舗やメンバー、そしてファンを増やしながら、ブランドは着実にパワーアップしているようです。苦境をどのように乗り越えましたか?

    長谷川:自社も含めてですが、まわりのセレクトショップがやっていないようなことを、とくにSNSを中心におこなってきました。緊急事態宣言下に、ステイホームをテーマにした動画を作ったり、いい意味での素人っぽさを意識した投稿を心がけたり。

    素人っぽさ。具体的に訊かせてください。

    成岡:例えば一般的にセレクトショップのインスタアカウントでいうと、モデルを使って一眼レフのカメラで綺麗に撮影した商品を、デザインやテキストもきちんと整え打ち出す。それが基本だと思います。でもわたしたちは、洋服をスタイリングするのも着用するのも自分たちだし、あえてスマホで撮影します。どこかの個人のアカウントみたいな、日常感を演出するようにしているんです。

    長谷川:人手が足りないから仕方なくはじめた部分もありますが、自分たちで何でもやる必要があったからこそ、結果的にはそれが個性になりました。なにより、自分たちもそれがおしゃれだと思ってやれていますし。

    少数精鋭という言葉が、Oriensからイメージされます。とりわけ個性派ぞろいですよね。

    長谷川:そうかもしれません(笑)

    個性の強いスタッフが揃っていることの強みを、どのように感じ、活かしてきましたか?

    長谷川:例えばJOURNAL STANDARDと比べれば、本当に比較にならないほど規模が違います。でも、少数だからこそブランド全体で共通認識を持つことができていると思います。また、役職を越えて補い合う場面が多いので、立ち上げから2年間ばかりで、スタッフ各々がわりと何でもこなせる状態になりました。

    個人個人のキャラクターが強い一方で、誰もが誰かの代わりをできる。すごくいいバランスですね。ちなみに、個性を活かした接客や打ち出しをおこなうなど、お客さまへ還元できている部分はありますか?

    成岡:それぞれにキャラクターがあって、服装の系統も、似ているようでみんなわりと違っています。それだけに、取り扱っているブランドや洋服のテイストもさまざま。きっとどんなひとでも、好きなものが見つかる店になっていると思います。

    スタッフが個性派ぞろいだと、逆に難しいこともありますよね。

    長谷川:ぶつかりあうことはしょっちゅうです(笑)。Tシャツの色を決めるだけでも、大人数で集まって話しあいをしますからね。みんな好きな系統は違うけど、でもそれをやっているからこそ、個性的で質の高いものを生み出すことができていると実感します。たとえ喧嘩しても、結果的にはブランドや店のために、いい方向に進むことができています。

    ありそうでない服と、直感的な服。

    立ち上げから2年経って、もっとも変化を感じることは?

    長谷川:バイヤーとMDをやってきたぼくの個人的な実感でもありますが、若い子のトレンドの流れが、尋常じゃないほど早くなっているなと。一般的なブランドなら、ワンシーズンごとにテーマが設けられますよね。でもいまの若者たちのあいだでは、それこそ月単位で流行りが変わっていく。それを押さえるのは、かなり大変ですね……。

    26歳の長谷川さんでさえ。

    長谷川:ぼくも20代ではありますが、3つ下のお客さまでも、もう影響を受けているものも、感覚も、ぜんぜん違うんですよ。それに、何の前触れもなくバズるものも多くて、バイイングする商品も、それを前提に見定めないといけない。

    成岡:いまはそれこそSNSのインフルエンサーが個人でやっているブランドも乱立しているので、そうしたブランドが、わたしたちにとって強力な競合になったりもします。

    そういう意味では、Oriensに並ぶアイテムの魅力は何だと言えますか?

    長谷川:洋服の企画や仕入れで最近特に意識しているのは、“ありそうでない”もの。ぼくが今日着ているシャツは、一見普通のシアサッカーシャツに見えて、じつは裾にリブがついているからポロシャツみたいに着られます。個性は欲しいけど、あまり派手すぎると取り入れづらい。だから、既視感はありつつも、例えば大学に着ていけば周囲と差がつくような、そんな絶妙なラインを狙っています。

    なるほど。今季の新作で、ほかに同じ特色を持つ商品はありますか?

    成岡:このアロハシャツは、フロントをトレンドのチャイナボタンにしてあります。丈も短めで、へそ出しして着てもかわいい。ボタンを留めずに着るとアロハ感も薄れて、女性らしく着られますよ。

    成岡:それとこのカットソーはトレンドど真ん中のアイテムがベースですが、ありきたりなようで、じつは首元がポロシャツっぽくデザインされています。だから、あまりブリブリした印象にならない。Oriensらしさのある原色系を3色と、綺麗目なスタイルにも取り入れやすいグレーを展開しています。

    メンズはどうですか?

    長谷川:シースルーのシャツは、ジェンダーレスを掲げているOriensらしいアイテムです。あえて男性っぽく着てみるのも、かっこいいですよ。あと、これはいわゆる普通のスラックス。に見えて、じつはフレアになっている。あえてどこにでもありそうなカラーリングにして、ユニークなシルエットを際立たせています。

    長谷川:また、“ありそうでない”とは別ですが、映画『スカーフェイス』のTシャツもおすすめです。これも、いまの若い世代に向けたOriensらしい提案だと思います。『スカーフェイス』といえば名作ですが、うちのほとんどのお客さまの世代にとっては、初めて目にするであろう作品。観たことないからこそ純粋におもしろがってくれるんじゃないかと思っていて、だから、名シーンでもなんでもなく、ただおしゃれに見えるシーンをあえて選んでプリントしました。単純にデザインがかっこいいTシャツとして手にとってもらいたくて。

    うんちく抜きにたのしめるのも、それはそれで価値あることですよね。オープンしたばかりという大阪店は、どんなお店ですか?

    長谷川:梅田にある複合施設HEP FIVE内に、今年の4月にオープンしたばかりの店舗です。スタッフは、ぼくらよりさらに下の世代で、HEP FIVEを訪れるお客さまとちょうど同世代くらい。Oriens自体のお客さんにも、より近い感覚で、さまざまなおもしろいことを発信してくれそうです。

    歳の離れたお兄さんお姉さん的存在であるJOURNAL STANDARDは、今年25周年を迎えました。いまOriensが目前に意識するとしたら、5周年でしょうか。節目に向けての目標などはありますか?

    長谷川:とりあえずいまは、4月末までに5店舗をオープンする、という目標を達成したばかり。まずは、いまあるお店を安定させることですね。

    成岡:2年間培ってきたベースを大切にしながら、若い感覚をどんどん取り入れて、お客さんにたくさんのことを感じてもらえる場所をつくりたいです!

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