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  3. LEにまつわる解体新書
  • 袖を通す人の個性が如実に反映されるデイリーウェアに、極私的な趣味・嗜好を織り交ぜたなら。

    コンセプター・金子恵治が、L’ECHOPPEのオープンから4年半の構想を経て始動したオリジナルレーベル・LEからは、
    そんな実験的なニュアンスを感じ取ることができる。

    一見して何の変哲もない。それでいて、普通、王道、定番、スタンダード、ベーシック、どの言葉でも形容しきれない。
    重ねた年輪と練り上げた哲学、集積された叡智で作る、どこにでもありそうで、どこにもない洋服。

    その魅力を改めて紐解く、LEにまつわる解体新書。

    Text:Nobuyuki Shigetake

  • BRAND PROFILE

    LE / エルイー
    L’ECHOPPEのオリジナルレーベル。デビューは2019年。メンズの王道といえるアイテムたちを身幅や着丈の異なるサイズバリエーションで展開する。本稿ではその代表作である、シャツとTシャツにフォーカスする。

  • 12 Size Balance Shirt

    LEが最初に製作した、ブランドを象徴するシリーズ。ベースとなったのは、アメリカを代表する某ブランドのシグネチャーである、ポロカラーシャツ。全体のフォルムと、テールのシルエットにこそサンプリングソースとの明確な差異が見受けられるが、金子が複数所有している同ブランドのヴィンテージのシャツの良い部分のみを抽出・編集して、現在の姿になっている。

    素材には、ブロードとタイプライターの、ちょうど中間といえる質感のコットン生地が採用されている。ドレスとカジュアル、両方の表情を併せ持ち、洗いざらしの自然なシワの出方、肌あたりの良さは、この生地ならではのもの。細やかなステッチワークも、ドレスシャツのそれを彷彿とさせる。

    にもかかわらず、ボタンはプラスチック製。曰く「オリジナル(サンプリングソース)のディテールをそのまま採用しているんですが、プラスチックボタンは丈夫なんですよね。それにこの量産品ならではの感じがアメリカっぽくて逆にいいかなと。シャレを効かせました」。

    そして、大きな特徴となるのは、そのサイズレンジ。身幅を左右する4つのサイズチャート、着丈を左右する3つのサイズチャートからなる、計12種のサイズバランスは、あらゆる人の個性、嗜好にマッチする。

  • 9 Size Balance Tee

    シルエットや細かな仕様のベースとなったのは、金子が所有していた、こちらもアメリカを拠点とする──誰もが知っているであろう、とあるブランドのヴィンテージTシャツ。

    ほど良い重さとドライな質感のコットン生地は、1枚で着るにも、インナーとして着るにも適切な、普遍的な厚さのものが採用されている。

    Tシャツの“顔”であるネックの部分はかなりの熟考が重ねられた。太く、高ければきちんとして見える、という”金子理論“のもと数型のサンプルを製作したが、結果として、普遍的といえる範疇の現在の幅に落ち着いたそうだ。

    なお、こちらもシャツと同様に、3タイプの身幅と3タイプの着丈、合計9種のサイズバランスが展開されている。