

softs、Columbia、JOURNAL STANDARDが織りなす、
街着としてのハンティングウェアコレクション。Camouflage that fits in the city.
2021AWシーズン、JOURNAL STANDARDと吉祥寺のセレクトショップsofts、アウトドアブランドのColumbiaのトリプルコラボレーションによるカプセルコレクションがリリース決定! 今回はsoftsの店主である我妻さんが陣頭指揮をとり、Columbiaから1980年代にリリースされた迷彩柄「DELTA MARSH(デルタ マーシュ)」。その中でも際立つ個性を放っていた95年のパターンを忠実に復刻。ハンティングジャケットとS/S プルオーバー、イヤーキャップの3アイテムがラインナップします。そこで、同プロダクト群の製作秘話を、Columbia企画担当者の榎さん、softsの我妻さん、ベイクルーズのチーフディレクター栗原、そしてsoftsのファンであるスタイリストの池田さんの4名による鼎談にて深掘りしていきます。
Photo_Takuma Utoo(Interview)、Naoki Ikeda(Model)
Styling_Naoki Ikeda
Model_Davis(Y’s C)、Kai(Y’s C)
Text_Tommy
我妻 亮softs 店主
2000年より洋品店「softs(ソフツ)」をスタート。ガリさんの愛称で親しまれ、2013年より自身で考えた高機能を載せた服をウェアブランド〈ccp(シーシーピー)〉の協力のもと断続的にリリースしている。
Instagram :@_softs池田 尚輝スタイリスト
1977年生まれ。雑誌や広告、CMのスタイリングの他に、ブランドコンサルティングなど幅広いフィールドで手腕を振るっている。アウトドアやアート、陶器にも造詣が深い知識人。
Instagram :@_naoki_ikeda榎 千尋Columbia ブランドセールス
1980年生まれ。大学卒業後、スポーツやアウトドア業界での勤務を経てコロンビアスポーツウェアジャパンに入社。現在はブランドセールスとしてライフスタイル部に所属。
栗原 潤ベイクルーズ メンズチーフディレクター
1975年生まれ。1997年ベイクルーズ入社。2000年よりJOURNAL STANDARDのバイヤーを担当。2018年より現職に就く。
Instagram :@kuriharajun
―まずはこのプロジェクトの経緯を教えてください。
栗原:最初のアプローチは我々、JOURNAL STANDARDからですね。以前もsoftsさんとは一度コラボをやらせていただいている縁もあり、「また一緒になにかやりたい」とガリさんに連絡して。
―その結果、コロンビアが1980年代に発表したマニアックな迷彩柄「DELTA MARSH」を用いた3種類のアイテムが完成しました。そもそも、この迷彩柄を選んだ理由は?
1995年にリリースされた「DELTA MARSH」を配したブルゾン。
90年代に配布されていたColumbiaのカタログ
栗原:やはりガリさんと一緒にモノ作りをするからには、ガリさんの得意分野でやりたかったというのが一番の理由ですね。
―そこで浮上してきたキーワードが、ハンティングカモだったと。
我妻:ぼく自身、リアル系のハンティングカモが好きでずっと集めていたんですが、いままで見てきたなかでも、もっともストレンジに感じられたのが、この「DELTA MARSH」でした。復刻したいと思ったんですが、自分1人では絶対に難しいとも思ったので、そのままそのアイデアを放置していて…。そんな時に、栗原さんから「何か一緒にやりましょう」とお話をいただいたので「じゃあやってみようか!」という流れです。
―Columbiaとしては、今回のコラボをどのように受け止めましたか?
榎:やはりColumbiaのブランドルーツを語る上で、“ハンティング”というカテゴリーは外すことのできないものですし、そこに興味を持っていただけたということが我々としても嬉しかったですね。
―softsファンの池田さんは、このコラボを知ってどのように感じました?
池田:そういった動きがあるという話をチラッと聞いた際に「数あるアーカイブデザインのなかから、ピンポイントでここを選ぶんだ!」と驚くと同時に、その視点がすごく面白いとも思いました。
―プロジェクトの立ち上りから、実際に商品が完成するまでにはどれくらいの期間を要したんでしょうか。
栗原:大体、1年くらいですかね。
榎:サンプルも何回もやりとりしましたよね。Columbiaはアウトドアブランドなので、満たしていなければいけないレギュレーションも存在し、その基準をクリアした上で、テクニカルな部分や普段使いのしやすさ、シルエットといった部分に重点を置いて作らせていただきました。
―実際やってみて、難しかった部分も?
我妻:もういっぱいありすぎて(笑)。
栗原:途中でね、ガリさんがどんどんアイデアを思いついては足されていくので、榎さんは大変そうで(笑)。
我妻:ところでColumbiaでは、何年ごとに迷彩柄を更新するとか決まっているんですか?
榎:特に決まっておらず、シーズンごとに色々な迷彩柄に挑戦しています。なので、シーズンを重ねる内にまた復活するなんてことも。それで言えば、今回は過去に短期間しか存在しなかった柄の復刻ということもあり、一層注目も集まるんじゃないかなと。
池田:そもそもアウトドアのディティールが盛り込まれているアイテムは、アメカジ人気もあって旬度の高いアイテム。そのなかでもハンティングカモかつ通好みでレアな柄というのがポイント高いですよね。迷彩柄ってデザイナーズブランドがパッと作れるものではなく、コロンビアのように歴史があって、アーカイブデザインをしっかり継承しているブランドだからこそですし。
―では、各アイテムのポイントを我妻さんから教えていただければと思います。
我妻:ぼくが常々、気になっているところなんですが、日本は暖冬に向かっているため、ちょっと動くだけですぐ暑くなるし、都市部に住んでいる人の移動は基本が電車。となると脱いだ瞬間に服が荷物になってしまうわけです。その解決策として、S/S プルオーバーではハーフジップに加え、ナイロン素材とフリース素材をリバーシブルに。どちらを裏面にするかで温度調整を可能としました。イヤーキャップは以前存在した形をリバイバルしました。
池田:この小さなポケットなどのディテールも含め、すごく現代的なアプローチですよね。
我妻:どうせ迷彩柄で気付かれにくいんだから、ポケットがちょっと変わっていてもバレないかなと思って、好きにやらせてもらいました(笑)。日常生活で持ち歩くモノを考えた際に、最低限必要なのが家の鍵、財布、携帯電話、それとなくしたら困るワイヤレスのイヤホンかなぁと思って、胸元に小型のポケットをデザイン。また左胸にも、過去にColumbiaのジャケットに使われていたのと同じデザインのポケットを、角度を変えて配置しています。
―そのちょっとした変化が、すごく新鮮な印象を与えます。身頃の脇部分はフルジップなんですね。
我妻:なのでフルオープンにすると、ポンチョのように着ることができます。
池田:羽織ることもできるし、脱いで背負うこともできるってことですね。なるほど。ナイロン面を裏にすることで脱ぐよりも暖かく、フリース面よりは過ごしやすくなると。S/Sプルオーバーなんかは、誰にとっても当てはまる正解がない変化球的アイテムなので、そこを楽しんでもらいつつ、ベストと違って袖がある分、暖かくて長袖よりモタつきがない。アウトドアなどで作業する時、実用的に言うと搬送っぽいところにいる人に活躍しそうです。
我妻:昨今の日本の冬って、しっかりとしたアウターならインナーはTシャツでも十分。となると着こなす楽しみも減っている気がして。その点、このアイテムは肘から先が必ず露出するので、インナーに何を重ねるかを考えるようになるじゃないですか。誰にとっても当てはまる正解のない変化球的アイテムだからこそ、着る人や取り扱うお店のセンスにも現れる。ぜひそこを意識していただきたいなと。まぁ、「お前もな!」って話ではありますが(笑)。
―(笑)。そして何より印象的なのが、すべてのアイテムに付属し、ソフツのシグネチャーでもあるオレンジのキャリーオンコード。
我妻:これをアスカリス(寄生虫)と呼んでいて、これを装着することで、すべての服が背負ったり斜めがけできるようになるっていうギミックですね。袖のあるアウターなら腰に巻いたり肩にかけたりもできるけど、ベストや半袖のアイテムでは難しい。その解決策としてぼくが2013年頃に考案しました。しかもこれは、外せばほかのアイテムにも装着可能。あれば便利で、必要なければ外してポケットに収納しておけばいいし。
―機能的であることはもちろん、着こなしの幅を広げるという意味でもグッドディテールです。
池田:ガリさんがコードを肩から斜めがけしてアクセ感覚で使っていたんですが、「そういう使い方もあるんだ!」って。あと、コードの先端にホイッスルも付いているんですよね。
我妻:機能豊富なモノがぼくは好きなんです。機能が沢山あればユーザー側もどれを使うか選択できますし。サイズ調整のためにエンド部分が必要だったので、ここはホイッスルかなと。コレさえあれば、街中で怖い人に襲われても安心です。
栗原:最初にこのアイデアを聞いた時、「何言ってんだろう、この人?」って思いましたよ(笑)。
一同爆笑
榎:ぼくらでは思いつかないアイデアで、いわゆるアウトドアだけでなく、色々なフィールドから得た知見を落とし込んでいるんだなって、すごく新鮮に感じました。通常、ハンティングならハンティングをするなかで必要な機能を考えますが、Columbiaをアウトドアブランドとして考えるとホイッスルは的確。そのバランス感覚がやっぱり違いますね。
―たしかに。本来、ハンティングジャケットを着るのは“される側”じゃなくて“する側”ですもんね(笑)。そしてもう一つのアイテムが、ハンティングジャケットです。
我妻:栗原さんからファーストサンプルを見せてもらった際に、すごくバランスが良かったので、サイズ感やシルエットはイジらずポケットを増やすという発想がベストなのかなって。1番のポイントは背中。マウンテンパーカではマップポケットが配置されていることが多いのですが、バックパックを背負うとどうしても使えなくなってしまうため、ポケットに手が入れやすくなるように入り口を長く、斜めにしてみました。ベースの雰囲気は残しながら、少しずつ機能やディテールを拡張するという発想ですね。
―素材などのスペックに関しては?
榎:あまりテクニカルになりすぎない方が街着には適していると考え、オーバースペックにはせずクラシカルな感じを残しつつ、しっかりハリ感があって着やすい撥水生地を使用。これはナイロン面を裏返した際の脱ぎ着を考慮した結果でもあります。
―フロントポケットも増設されていますね。
我妻:そうですね。ポケットが縦に2つ重なるのが面白いかなと、ついやっちゃいました(笑)。
池田:ベースモデルでは、ミッドレイヤーとシェルをジップやスナップボタンで連結する「インターチェンジシステム」を採用されていましたが、これはミッドレイヤーをなくすことで、タウンユースに使いやすく仕上げられていますね。あと、脱いだ際に背負うためのストラップも印象的で。
我妻:これはサンプル段階から付属されていたギミックなんですが、脱いだ時にあると便利なのでアリだなと。アスカリスはなくても良かったんですが、せっかくならばと(笑)。
池田:softsではセール時期に、商品を購入すると付いてくるオマケ的なモノだったじゃないですか? そんななかなか手に入らなかったアイテムが付属するっていうだけで、ファンの自分としては嬉しいし、ほかにも喜ぶ人は多いと思います。
我妻:これまで自分の店でだけそういった実験的なことをしていましたが、自分の考えたモノに対して、幅広い層の人々からリアクションがもらえるいい機会ですからね。ここで出し惜しみしていてもしょうがないですし(笑)。
―今回はアーカイブカラーを含めての3種展開ですが、これはどうやって決めたんでしょうか?
我妻:「DELTA MARSH」でもう1色加えたいなぁと考えて、この枝のような柄が白く浮き上がると面白いと思い、シンプルにモノトーンにしてみました。もう一つはシックな雰囲気を出すべく、コヨーテとアルファグリーンを足したようなカラーを選びました。
池田:なるほど。普通なら全体をワントーンにしそうなところをフード裏だけ、オレンジとブルーグリーンっぽくしているんですね。
ールックでは、池田さんにスタイリング&撮影を手掛けていただきました。いかがでしたか?
池田:実際にモデルに着せてみて最初に感じたのが、どのアイテムも“街に合わせやすい”シルエットであるという点です。
我妻:シルエットはぼくの方で設定し、栗原さんにサイズ調整をお願いしました。ウチの場合、買ってくれる側もそこからフィードバックされてくる反応も、チャンネルが限定されてしまうのですが、JOURNAL STANDARDさんの場合は、多様なお客さまがいらっしゃる中で、どういったものが求められているかがよく分かっていらっしゃるので、そこはお任せしました。
池田:だからなのか、すごくいまっぽいのにやりすぎない絶妙なバランスというか。スタイル抜群のモデルと一般体型のぼくら、その両方にちょうどよく収まってくれるんですよね。ミリタリーウェアにも言えますが、そもそもハンティングウェアを街着に落とし込む時点で、決してリアルじゃない。でも、だからこそファッションとして成立する。これらのアイテムも、ガリさんの“都市生活者が求める、街での機能性”の追求と、Columbiaさんの本物のバックボーンが絶妙にクロスしつつファッション的なアウトプットができている点が、ほかにはなく非常に面白いなって。“そのまんま”で取り入れるのではなく、ハズしのアイテムとして捉えることで、自分の中でのファッションという枠組みを拡張してくれるんじゃないでしょうか。
栗原:アウターとして“半袖を羽織る”という、ガリさんからの新たな提案に対し、ほかのアイテムとの組み合わせを色々楽しんでいただけると、格好いいし面白いんじゃないかなと思っています。“いかにして着こなすか?”という挑戦しがいのあるアイテムなので。
我妻:たしかに一筋縄ではいかないと思うんです。現代の服って、買って着ればそれなりに格好良くキマるので失敗しづらくなっているなか、このアイテムは時に失敗もあるはず。でもそうやってトライ&エラーを繰り返しながら、ぜひ自分なりの着こなしを見つけて楽しんでもらえたらなと思っています。ぼく自身、47歳ですがいまだによく失敗していますんで(笑)。

1980年代のハンティングジャケットをモチーフに、街着としての汎用性を考慮した薄中綿コート。背面の大きなバックポケットやフロントのフラップポケットなど、様々なニーズに応える多機能ポケットを搭載。耐久撥水加工。取り外し可能なフードは内側に視認性を高めるハンティングオレンジを採用。シルエットはゆったりとしたワイドシルエットを起用し、内側には脱いでそのまま背負える内部サスペンダーシステムも完備。エマージェンシーホイッスル付属のキャリーオンコード付き。
- JOURNAL STANDARD【COLUMBIA BLACK LABEL × JS】別注 中綿ハンティングコート¥50,600(税込)

アウトドアアクティビティにおいて、ニーズの高い半袖型アウターをリバーシブル仕様にアップデート。体幹部分はしっかりと保温しつつ、半袖仕様にする事で手元をすっきりさせた渾身の一着。ハンティングジャケット同様に多機能ポケットを随所に配置。また、両サイド脇がフルオープンのファスナーになっているので、着脱も楽ちん。エマージェンシーホイッスル付属のキャリーオンコード付き。
- JOURNAL STANDARD【COLUMBIA BLACK LABEL × JS】別注 半袖リバーシブル ボア プルオーバー¥26,400(税込)

1980年代にColumbiaからリリースされていたフライトキャップがベースのイヤーキャップ。ウェアと連動したデルタマーシュの迷彩柄を採用し、内側はアゴまでしっかりと覆うボアフリースを使用した防寒性抜群の仕上がり。
- JOURNAL STANDARD【COLUMBIA BLACK LABEL × JS】別注 インナーボアキャップ¥1,232(税込) 80%OFF
- JOURNAL STANDARD【COLUMBIA BLACK LABEL × JS】別注 インナーボアキャップ¥6,160(税込)
- 以下、スタイリスト池田尚輝さんが監修した
イメージビジュアルです。DELTA MARSH AROUNDS KICHIJOUJI.


- JOURNAL STANDARD全店及びBAYCREW’S STOREにて
11月11日(木)より発売開始。