
「Plage」から、環境に配慮したニットコレクション「les Tendre」がデビュー。
“地球にも自分にも優しくありたい”という想いを込めて、
サステナブルな素材を使ったアイテムが完成しました。
生産を担当したのは、残糸・残布をアップサイクルするプロジェクト「RYE TENDER」。
そこで今回は、「Plage」デザイナー・濵田靜と、
「RYE TENDER」の澤木雄太郎さん、小池勇太さんの鼎談をお届けします。
「Plage」から、環境に配慮したニットコレクション「les Tendre」がデビュー。
“地球にも自分にも優しくありたい”という想いを込めて、サステナブルな素材を使ったアイテムが完成しました。
生産を担当したのは、残糸・残布をアップサイクルするプロジェクト「RYE TENDER」。
そこで今回は、「Plage」デザイナー・濱田靜と、「RYE TENDER」の澤木雄太郎さん、小池勇太さんの鼎談をお届けします。

- ー まずは、「les Tendre」が生まれた経緯について教えてください。
澤木:もともと僕の会社がOEM(受託製造)という形で「Plage」の商品を作らせてもらっていたため、濱田さんとは前々から一緒に仕事をしていました。そんな中、「RYE TENDER」のアイテムをお見せしたら、とても気に入ってくださって。ぜひ一緒に何かできないか、というお話をいただきました。
ー 濱田さんは、RYE TENDERのどんなところに惹かれたのでしょう。
濱田:まずは、澤木さんと勇太さんの人柄(笑)。すごく面白い人たちで、一緒にいて楽しいんです。
小池:ありがとうございます(笑)。

- 濱田:日本のアパレル企業でデザイナーとして働く上で、“サステナブル”というのは以前から気になるテーマでした。母として子どもを育てる中でも「地球はこの先どうなっちゃうんだろう?」と考えることがあって。今までは環境問題についてあまり熱心に考えたことがなかったのですが、いざ調べてみると、想像以上に過酷な状況になっていると知り驚いたんです。何かを生産する立場として、自分が地球に悪い影響を与えてしまっているかもしれないし、このまま新しい商品を作り続けていいのかな?って悩んでしまったほど。

- ー 複雑な課題が多いので、知れば知るほど悩んでしまいますよね。
濱田:でも、やっぱり服を作ることが好きだし、ファッションは楽しいものであって欲しいから、その気持ちを大事にした上で自分のできるサステナブルを実現できたらなって。そう考えた時に、私にとっては「RYE TENDER」が理想のモデルだったんです。二人は自然に楽しくサステナブルなものづくりをしているので。
澤木: 濱田さんがとても真剣にSDGsについて考えているのはひしひしと伝わってきました。だからこそ今回の取り組みをお引き受けしたところもあります。あとは、仕事上の付き合いではありますけど、僕は友達だと思っているので。
濱田:私も思ってますよ(笑)。
澤木:よかった(笑)。
- ー そういった信頼関係があったからこそ実現したコレクションなのですね。
「les Tendre」という名前にはどんな由来があるんですか?
濱田:人にも地球にも優しいプロジェクトにしたかったので、フランス語で「優しい」や「柔らかい」を意味する「Tendre」を入れました。「RYE TENDER」と少し似た響きにしたいという考えもありましたね。
ー なるほど。「RYE TENDER」では工場や糸問屋で余っていた糸を活用していますが、今回はどのように素材を選ばれたのでしょうか。
濱田:「RYE TENDER」のようなアップサイクルの取り組みは、生産数が限られてしまうため、「Plage」でやろうと思うと難しく……。何か違う角度でできないかと澤木さんに相談したところ、「filpucci」というイタリアの糸メーカーを紹介してもらいました。
澤木:落ち綿や、製品を解体した糸を再利用した糸を提供しているメーカーです。通常の素材よりもエネルギーや水、二酸化炭素などの発生を抑えられるところが魅力ですね。

- 濱田:触ってみると、これって本当にリサイクルなの?って思うほど上質なんです。ほかには、トレーサビリティの取れたウールを使ったアイテムも展開しています。どこの牧場でどのように羊が育てられたかが可視化されたもので、ミュールジング(虫の寄生を防ぐために羊の臀部の皮膚を切り取ること)をしていないのも特徴です。私一人の力で羊が助かるというわけではないけれど、もし羊を傷つけていない素材があるのならば、そっちを選びたいなって。
澤木:透明性の高い素材は手順を踏んでいる分高価になってしまうため、ビジネスとして厳しい部分もあると思うんです。だから、「Plage」さんのような既存のブランドがそういう選択をされたのは凄いことだなと感じています。
濱田:澤木さんはフェアな目線で「これは微妙だと思う」「これはいい糸ですよ」って教えてくれるから安心できるし、いつも勉強させてもらっています。


- ー 素材が決まった上で、デザインはどのように進めていったんですか?
濱田:以前「RYE TENDER」で購入したニットが、私にとっては“完璧なベーシック”だったんです。襟の開き方や編み地の詰まり方、着た時のシルエットなど、すべてのバランスが素晴らしくて。それを参考にしつつ、「Plage」らしいエッセンスを加えていきました。
- ー 「Plage」の他のアイテムと比べると、少しポップなテイストを感じるものもありますね。
濱田:そうなんです。普段の「Plage」はフェミニンなアイテムが中心で、お客さまもエレガンスな大人の女性が多いのですが、そういう方々の気分を盛り上げるようなアイテムを目指しています。SDGsについて真剣に考えて作っているけど、シリアスになりすぎるのは嫌だから、楽しげなデザインの方がいいなって。
ー 大人の女性が身につけやすいデザインでありながら、さりげない遊び心を感じます。
濱田:よかった、狙いどおりです(笑)。私たちも楽しみながらデザインしました。
ー 小池さんは普段「RYE TENDER」のデザインを担当されていますが、今回「les Tendre」のアイテムに対してはどう感じましたか?

- 小池:サンプルの段階から、二人が楽しみながら作っているのがよく伝わってきました。やっぱり、生産者のムードはお客さんにも伝わると思うので。デザイナーの気分が凹んでいる時はいいデザインが浮かばないと思いますし。
濱田:わかります! 自分を盛り上げないとアイデアが浮かばないですよね。
小池:あとは、「RYE TENDER」はターゲットを特定せずにユニセックスの服を作っていますが、「les Tendre」は「Plage」のお客さんたちの顔を想像した上でデザインしているというところは大きな違いだなと感じました。
澤木:濱田さんは店頭に立つのが好きで、お客さんと対話するのをすごく楽しみにしているんですよね。だからこそ、どんな方々に届けたいかっていうのを明確にイメージした上でデザインされていたと思います。
濱田:そう言ってもらうとなんだか照れますね(笑)。
- ー 濱田さんとしては、今回のアイテムはどのように楽しんでもらいたいと考えていますか?
濱田:「les Tendre」を着たお客さまにふんわり楽しく笑ってもらえるような、日常に優しく寄り添える存在であったらいいなと思っています。
ー 素材も気持ちいいから、着ているだけで幸せな気持ちになれちゃいそうですね。まだ気が早いかもしれませんが、次のシーズンに向けて何か計画していることはあるのでしょうか。
濱田:いくつかアイデアは浮かんでいますが、服づくりを取り囲む環境はどんどん変わっていくので、あまり決めすぎない方がいいのかなって。1年後には世界の状況がまた大きく変わっているかもしれないですし。その時々の感覚で、自分がいいと感じることをやりたいなと思います。
澤木:目標を高く掲げてしまうと、のちのち辛く感じてしまうかもしれないし。そうやって柔軟にやるべきことをやっていく方が持続可能なのかなと感じます。
濱田:やっぱり、かわいいアイテムを作ってお客さまに喜んでもらうことが第一なので。納得のいく素材が見つからなかったら何も作らない!くらいの心構えでいいのかなって。「Plage」らしさを大切にしつつ、より多くの人に気に入ってもらえるよう、妥協しないものづくりをしていけたらと思っています。




- RYE TENDER
ともにアパレル業界でキャリアを積み、NYで出会った澤木雄太郎と小池勇太によるアップサイクルプロジェクト。2020年秋のローンチ以降、年齢や性別、流行を問わずに愛用できるスタンダードなニットを中心に展開している。

- 濱田 靜 Plageデザイナー
大手アパレルでいくつかのブランドを経験後、2017年にベイクルーズグループに入社し、2019年より「Plage」に配属。フェミニンやモダン、トラッドなどをミックスしたスタイルを得意とする。プライベートでは2歳男児の母。
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