

UNION LAUNCHを手がけるクリエイティブディレクターの加藤公子さんと、30周年を祝うIENAは深い縁でつながっている。ロンドンで学んだ加藤さんが帰国後、初めてバイヤーを経験したのがIENA。長い時間の積み重なりから生まれたもの、IENAだからできたこと。加藤さんとバイヤー西田の、熱い想いが詰まった30THカプセルコレクションについて語ってもらった。

西田「ユニオンランチを始められる前のグラフィットランチ時代に、初めて展示会におじゃましたのが12、3年前ですよね。そこからずっとコレクションを見せてもらってきましたが、IENAの元一員でもある加藤さんと巡り巡ってこうして一緒にモノ作りができたことがとてもうれしいです」
加藤「私が携わっていたのがちょうど10周年のころなんです。国内外のデザイナーさんにコラボアイテムを作ってもらって、あれから20年と思うと本当に感慨深いです。当時の私は、海外でランウェイショーを巡るよりも、その地の工場を探して回るような、泥臭く掘り下げるバイイングばかりしてました。4年しかいなかったのにバイヤー時代のその4年があまりにも濃くて、本当に自由にやらせてもらったんですよね。そこで築かれた自分の土台が、今にすごく反映している気がします」
西田「IENAは『フレンチシック』がコンセプトですが、加藤さんが作る服のベースにも通じるものがありますよね?」
加藤「目線はアメリカよりも絶対的にヨーロッパですね。カレッジ系のアイテムでも100%アメリカではないのは、ベースにヨーロピアンがあるからだと思います。IENAのマインドが染み込んでいるんでしょうか。今回、30周年の別注アイテムを作るにあたって、最初に紺ブレを西田さんがあげてくれて、ユニオンランチらしくもあるし同時にすごくIENAだなと思ったんです」
西田「ユニオンランチと言えば、やっぱりジャケットがまず思い浮かびますよね。IENAが大切にしている色がネイビーなので、ほぼ黒に近いネイビーのアンコンジャケットをお願いしたのが最初のスタート。そこから初心に戻るという意味合いも込めて、全身ネイビーの限定ルックを作っていただきました」
- IENA《追加》【UNION LAUNCH/ユニオンランチ】 IENA 別注 ダブルジャケット◆¥64,900(税込)
加藤「IENAのスタッフのみなさんがダブルを気に入って着てくれているということで、カジュアルに着用できるセミアンコンジャケットを新しく企画しました。アウターの重衣料を得意とする新潟の工場、グッピーさんがすごく綺麗に仕上げてくれてます。ダブル仕立てのセミアンコンジャケットは技術的にとても難しいので、今回限りのスペシャルアイテムです」
西田「少しフェミニンなテイストのあるIENAの洋服にも合わせやすく、シーズン的にもなじみやすいのではないかと思います。このジャケットを主役に、デニムのセットアップと、やはりユニオンランチが昔から手がけているスウェットを作ってもらったんですが、こちらも素敵な仕上がりですね」
- IENA《追加》【UNION LAUNCH/ユニオンランチ】 IENA別注 スウェットプルオーバー◆¥22,000(税込)
加藤「はい、カレッジ風のスウェットで、ユニオンランチの定番とは少し生地を変えて、ヴィンテージのチャンピオンを思わせるドライな風合いの裏毛を使っています。ロゴの“UNIONMADE”は配色。グラフィットランチ時代に、シルクの上にフロッキーを乗せた配色プリントをよくやっていたんですが、西田さんとそれを取り入れたら可愛いかもと盛り上がったんですよね。昔から見てくれている西田さんとだからこそ、膨らんでいったアイデアです」

西田「私が今はいているオーバーオール、ユニオンランチのファーストシーズンのものなんです。もうずっと愛用しているんですが、お客さまにもこの良さを伝えたくて、デニムをセットアップでお願いさせていただきました」
加藤「ボトムの生地は、超長綿のスーピマコットンを高密度に織り上げた上質なデニムです。オリジナルで作ったもので、ナチュラルに光沢感が美しい素材なので基本は加工をせずに使ってます。シャツはインドのオーガニック糸を使用した7.6ozデニムで、固さを取るため生地の段階で軽くワンウォッシュしてあります。インラインのものとステッチバランスやポケットなどディテールも変えて、ボトムスと合わせやすい1枚になっています」
- IENA【UNION LAUNCH/ユニオンランチ】IENA 別注 デニムシャツ◆¥25,300(税込)
西田「そうなんですよね、この艶感がIENAの服と合わせた時にまとまるというか、デニムのカジュアルなアイテムでも上品に見えるんです。パンツルックとスカートルックの両方あって、デニム×デニムで着こなしてもカッコよく見える。デニム好きな方はもちろん、苦手な方でも取り入れやすいと思います」
加藤「ボトムスは、西田さんが愛用してくれている数年前のリネンパンツをデニムで再現しました。綺麗なマーベルト付きのパンツで、そのシルエットとディテールは極力キープしつつ、特殊ミシンで縫うデニムの仕様にパターン替えしたものです。玉ぶちポケットや持ち出し(ホックのボタン)に天狗(内側に留めるボタン)がついていたり、職人さんのクオリティの高さを実感するハイブリッドなパンツですよね」
- IENA【UNION LAUNCH/ユニオンランチ】 IENA 別注 デニムパンツ◆¥28,600(税込)
西田「はい、デニムだけどデニムっぽくない、スラックスのようにはける綺麗な1本に仕上げていただきました」
加藤「スカートは、秋冬のインラインで作ったカウボーイパンツのディテールを取り入れています。Leeのデニムを30年近く手がけていた方とのコラボレートで実現したもので、後ろのシンチバックやパッチポケット裏に当て布を入れたりなど細かなところまでこだわった作りになっています」
- IENA【UNION LAUNCH/ユニオンランチ】IENA 別注 デニムスカート◆¥26,400(税込)
西田「フレアに広がるシルエットながら腰回りはすっきりとしていて、トップスをインしても綺麗にはきこなせますよね。パンツはカッコ良く、逆にスカートはカジュアルな印象になるようステッチも配色になっています」

加藤「IENAは私にとっても思い入れの深いブランドなので、30周年を記念したダブルネームのタグも作ったんです。リミテッドアイテムにコラボネームを記すのはユニオンランチでは初めて。西田さんがこれまでモノ作りしてきた“真ん中”のところをピックアップしてくれたので、作っている時も私の中で勝手に“ユニオンランチ トラディショナルズ”と名付けてました」
西田「そうだったんですね。加藤さんが作る服は、私自身がそうであるように、IENAのお客さまもずっと長く、大切に着ています。やっぱり長く着ているうちに、その良さを実感するんですよね。今回の限定アイテムも、コンパクトながら合わせ方によっていかようにもなる。30年の歴史から、IENAはお客さまの層やテイストも幅広いですが、そのみなさんのワードローブにすんなりとなじみ、育っていくコレクションになると思います」
加藤「今回の限定アイテムも普段のユニオンランチも、主役じゃなくていいので“名脇役”としてみなさんのワードローブの中にいてくれたらいいですね。気分が上がるアイテムとして、ずっと長く着てもらえたらとてもうれしいです」
Kimiko KatoUNION LAUNCH CREATIVE DIRECTOR
文化服装学院卒業後、アパレルメーカーにて企画生産、MDを経験し渡英。Central St Martins Collegeにてデザイン&マーケティングを学び、帰国後セレクトショップのバイヤーとなる。2002年9月に独立後、フリーランスのバイヤー、プレス、クリエイティブディレクターを務める。2008年秋冬にレディスブランド『GRAPHIT LAUNCH』を立ち上げ、2015年5月、新たなプロジェクトに全力投球するためブランドを休止。2016年秋『UNION LAUNCH』として始動。現在は富山県を拠点に活動中。
Misako NishidaIENA BUYER
2007年入社、IENAに配属。ショップスタッフを2年半経験した後現職のバイヤーとなる。フレンチベーシックなスタイルを軸に、そこにそのシーズンの色やディテールなどを合わせることを楽しみながらIENAで展開する商品の買い付けを行う。
9月17日(金)~10月3日(日)Maison IENA 自由が丘店にて、UNION LAUNCH MARKETを開催いたします。 上質な残布を利活用したUNION LAUNCHの風呂敷、高知・富山の大自然で育ったハーブ苗のマルシェ、イベントの度に即完売してしまう「田野屋塩二郎」の幻の塩、ひのきやラベンダーなどのアロマスプレーやハンドク リームを展開する「Taroma」、お肌がよろこぶシルクマスク「松井機業 / JOHANAS」、UNION LAUNCH MARKETでおなじみの高知発「Soul soils」では新作のジンジャーシロップも販売いたします。
※風呂敷は数量限定の為、なくなり次第終了となります。
※ハーブ苗の展開は9/17(金)・9/18(土)の2日
Maison IENA 自由が丘 ☎03-5731-8841
Text : Aiko Ishii