

- 2020年冬に第一弾「THE 550」をリリースした《Zr》サングラスコレクション。
Zoffとrelume の頭文字をネームに冠した注目のコラホコレクションに、第1.5弾が登場。
第1弾の続編となる今回は夏仕様の爽やかなコレクションをご用意。
注目のコラボコレクションの続編発売を機に、デザイナーの神谷さんにお話を伺いました。
神谷 龍フリーランスプランナー
1988年生まれ。セレクトショップ、ドメスティックブランドを経て株式会社エンガルファーを設立。
フリーランスのプランナーとして様々なファッションブランドの企画やデザインに携わりながら、
自身のブランド〈アローン(ALONE)〉も手掛ける。
JOURNAL STANDARD relumeでは、その豊富な知識量と確かな審美眼でオリジナルアイテムや別注アイテムの製作に携わる。1950年代の古き良きアメリカへの憧憬を投影し、
JORNAL STANDARD relumeとZoffが手を組んで生まれたアイウェアコレクション。
内面と外見の美しさを繋ぐ、THE 550。
人気を博した《Zr》第1弾「THE 550」シリーズ
ー今回は2020年冬に第1弾を発売した《Zr》シリーズの第1.5弾ということですが、第2弾ではなく1.5というのにはどんな意味が込められているのでしょうか?
実は冬に《Zr》第2弾が控えておりその準備を進めていたのですが、サングラスが活躍する夏本番を前に第1弾の「THE 550」シリーズが在庫が少なくなってきているということで、特に人気のあった2型をピックアップして夏仕様にアレンジし、第1.5弾としてリリースするに至りました。フレームデザインは第1弾を踏襲しており続編のイメージだったので、1.5という数字を選んでいます。
ー夏仕様ということですが、どの辺りをアレンジしているのでしょう?
カラーリングを一新しています。前回の発売が冬だったこともあり全体的に少し暗めのカラーリングで作っていたので、フレームもレンズもカラーを一新して、夏の日差しに合うような爽やかなカラーリングに変更しました。
第1弾で発売した“TLT”メタルボストン
ヴィンテージサングラスをたくさん持っている神谷さんも、最近はこればかりかけているというお気に入りの一本。
Zoff初のセレクトショップとのコラボコレクション
ーお聞きしたところによると、Zoffとセレクトショップのコラボレーションは初の試みということですが、コラボに至った経緯を教えてください
自分たちが運営している会社で取り組んでいる案件の中に《Zoff》さんとの取り組みがあり,親交が深くなったことがキッカケです。《Zoff》さんとのコミュニケーションの中で、彼らの持っているアイウェアの制作背景の力強さや制作力の高さを知り、relumeでの取り組みに還元できないかと考え始め、この企画を提案するに至りました。
ーその際には価格帯やデザインもイメージがあったのでしょうか?
いえ、その時はTHE 550というテーマは決めており、デザインや価格はそのあとに《Zoff》さんとrelume側と相談しながら決めていきました。価格帯については当時、もう少し高い値段設定にするという話もあったんです。《Zoff》さんはスリープライスで手に取りやすい価格が魅力ですが、しっかりとした背景を持っているので2万~3万の高価格でハイグレードのものも作れると言われて。ただ、あまり高い値段にしてしまうと両社のお客様に寄り添った価格帯という共通点に反してしまうと考え、今回は手に取りやすい価格に設定しています。それでもやはりクオリティが高いものが出来上がってきたので、《Zoff》さんのもの作りの背景には脱帽ですね。
ーここからはそれぞれのモデルについてお話を伺いたいと思います。まずは“JDA”ボスリントンから。
このモデルは実は50年代アメリカを代表する伝説的俳優『ジェームス・ディーン』がかけていたサングラスから着想、ヒントを得てデザインしています。これまで彼の伝記映画がいくつか放映されているのですが、中でも最も精密に再現しているものの劇中に出てくるサングラスをモチーフに作りました。
ーなぜ彼をピックアップしたのでしょう?
実は「THE550」は裏テーマとして“男性らしさ”を掲げており、車やバイクなどのカルチャーが垣間見えるペルソナを考えていた際に、それを全て備えていたのが彼だったんです。少しエモーショナルな話にはなりますが、自分が車やバイクのカルチャーに興味を持ち出したのは彼の影響は大きく 彼が生きていたらきっとよく似合うであろうという淡い思いを馳せながら制作しました。
ーポテッとしたフレームと、カラーレンズがどこかレトロな印象です。
レンズのカラーリングは、自分の持っていたヴィンテージのサングラスのカラートーンを参考にしながら、《Zoff》さんと相談して現代にも馴染むようなカラーを選定しました。ちなみに参考で持ち込んだサングラスの中には、『ジェームス・ディーン』の刻印が入ったものもありました。その昔、『ジェームス・ディーン』モデルをオマージュして制作していたアイウェアのシリーズがあったみたいで。
上が今回の別注、下が神谷さん私物のヴィンテージ。薄いカラーレンズはヴィンテージサングラスの特徴の一つ。写真右端には「James Dean」の刻印が。
ーどんな方がかけていただくと良いと思いますか?
フレームデザインは少しレトロであえて野暮ったくしているのですが、シンプルなカラーリングを 選んでいるので、基本的にはどんな方でもかけやすいサングラスだと思います。 個人的には、『ジェームス・ディーン』のように車やバイクを愛する男性にかけていただきたいですね。 当時のカルチャーが好きな女性の方がかけていただくのもすごく素敵だと思います。
ー続いて、“THIN”ボスリントンについて伺っていきたいと思うのですが、先程ご紹介した型と同様に「ボスリントン」が名前に入っております。今回の2型のベースに「ボスリントン」を選んだ経緯を教えてください。
「ボスリントン」の、どこか旧き良きヲタクっぽさを感じるデザインが個人的に好きだったというのもあるのですが、50年代、60年代のアメリカ映画で見たスターや不良が、家ではかわいらしい丸みを帯びた「ボスリントン」型の眼鏡をかけているのをみて、どこかセクシーさを感じていて。男らしさと相反するように見える、かわいらしさとのギャップが一層マスキュリン(男性らしい)な雰囲気を醸し出していたんですよね。その世界観が、今回のテーマである「THE550」と裏テーマの「男性らしさ」にマッチしていると感じ、この形をベースに選定しました。
ー今回の“THIN”ボスリントンはクリアフレームが印象的です。
クリアフレームデザインは、50年代のアメリカの安価なサングラスを意識しています。 今の日本でいうと100円均一ショップに置いているメガネをイメージしていただけるとわかりやすいかと思いますが、50年代当時も安価なサングラスがアメリカの街では売っていたらしいんです。そのサングラスに多かったのが、薄いピンクや水色、イエローのクリアフレーム。当時はオシャレとは程遠い存在だったとは思うのですが、今改めて見ると良いんじゃないかと。透明なクリアフレームをかけている方も増えてきましたし、「カラークリアフレームも良いのでは?」という提案の意味も込めて制作しました。
“JDA”よりも細身のフレームが特徴の“THIN”ボスリントン。今回のアレンジではシンプルなブラックに加え、ライトブルーとピンクのクリアフレームを展開。
ーこちらのモデルはどんな方にかけていただきたいですか?
カラークリアフレームは難易度が高く見られがちですが、こちらは細身のフレームで主張控えめなデザインなのでコーディネートの邪魔をしない。カジュアルから綺麗目まで幅広いスタイルの方に挑戦していただきたいです。華奢なデザインなので女性がかけていただくのも良いと思いますね。シンプルな服装にさらっとクリアフレームのサングラスを合わせて欲しいです。
ー古き時代のものを現代のムードを取り入れて再提案したTHE 550シリーズ。神谷さんの服作りにも通ずるものがありますよね。
そうですね。その辺りは自分の得意な部分でもあり、役割でもあると考えています。今の若い世代の方々は、良い意味でも悪い意味でも昔のモノや出来事を知らない方が多いと思うんです。別にそれが悪いとは思わないのですが、例えば今回参考にしたような50年代のアメリカンカルチャーや『ジェームス・ディーン』という伝説的俳優を知らないのは、すごく勿体無いと思うんですよね。良いものを知っておくというのはマイナスにはならないですから。僕が作ったモノをキッカケに昔のファッションについて調べてくれる人がいても良いし、「やっぱり自分は新しいものが好きだ」と思ってもらっても良い。とにかく“知る”ことが大事だと思います。 今回の《Zr》THE 550シリーズも、まずデザインで入っていただいて、そこから「50年代のアメリカ」を知ってもらうキッカケになってくれれば嬉しいですね。


