- 30周年を記念して様々なコラボレーションを発表していくIENA。フレンチシックの代表アイテムであるボーダーは、今までバスクシャツを発表したことのないAURALEEにあえて依頼を。大人の女性が気負わず着こなすことが出来るバスクボーダーは、誰もが待ち望んでいたはず。
- 西田「30周年の節目として不変的なアイテムを見直した時、IENAのテーマである“フレンチシック”にボーダーは欠かせませんでした。不変的であるボーダーに今もう1度向き合い、大人の女性もカジュアルにさらりと着こなすことが出来る1着を作りたかったんです。その想いをAURALEEなら叶えてくれると思い、依頼させていただきました。AURALEEでバスクシャツを作ったことはないと思うので、もしかして戸惑いはありましたか?」
岩井「ほとんど発表していませんが、最近でもサンプルは何度か作っています。作ってみても、並べた時にやはり何となく違うなぁと感じて結局は発表しませんでした。マリンボーダーってやはりフレンチのイメージが強いと思うのですが、僕は国やテイストが限定されるものは作らずにきているので、それてボーダーはしっくりこなかったのかもしれません。けれど、人からお願い頂けると、そこを振り切れるといいますか(笑) こんな風に作りたいというイメージはもう出来上がっていたので、戸惑うことはなかったです」
西田「バスクシャツは不変的なアイテムではありますが、意外と着こなしが難しいという声をよく聞くんです。カジュアルになりすぎてしまったり、自分の個性を全く出せなくなってしまったり。そういう人たちにもさらりと気軽に着てもらえるようなバスクシャツが出来上がりとても嬉しいです。最初に決めたのはこの素材でしたか?」
岩井「マリンボーダーを作るならこういう糸や素材と細かい点までもうイメージは出来ていました。少しマニアックな話になってしまいますが、素材や糸に関してお話すると、超長綿にてしては太番手の糸でつくってもらい、よらずにそのまま糸を張り合うという引き揃えで編んでもらいました。そうすると、タッチ的には柔らかいのですが、洗った後も型崩れしづらいんです。厚みがありすぎず薄すぎず、型崩れはしないけれど柔らかに落ち感もある。そういう品がありつつ着やすいボーダーが僕の中ではいいなぁと思っていたので」
西田「たしかにバスクシャツはいくつか持っていますが、洗っていくと固くごわついた感じになってきたりしがちです。そうすると常に着ていたいという感じではなくなっていったりもして…。中に何か重ねたり、1枚で着たり、初夏まで長く着られるものが出来上がり、とても嬉しいです」
- 西田「夏の空にも映えるような色味を選んだのですが、品のあるこの素材のおかげでこのカラーが美しく出てくれたのも嬉しいポイント。日焼けしたような赤、青味のあるチャコール、何度も洗濯を繰り返した後のような褪せたブルーの3色です」
岩井「AURALEEは国やテイストを限定することをあまりせず曖昧な感じにあえてしていますが、ずっとストレートに変わらないテーマを提案し続けているIENAさんと一緒に作ることで、マリンバスクシャツを作るということに対して腑に落ちた気がします」
西田「このバスクシャツをIENAらしく着こなすななら、丈が長い方にあえてボリュームスカートを合わせたり、短い丈の方は中にキャミソールワンピースを合わせたり。あえて女性らしいアイテムと組み合わせてもいいなぁと思いますが、岩井さん的にはどんな風に着て欲しいですか?」
岩井「AURALEEというよりも僕の個人的な意見ですが、あまりボーダーに寄せすぎず、ヴィンテージのデニムや履き慣れたパンツで、気負わず自分らしく着こなしてくれたらいいのではないかと思います」
西田「毎年定番となっているコラボカットソーはもう10シーズン目になりますね。形は変えず、シーズンごとにカラーだけ変えていますが、本当にお客様から好評なんです。色違いで揃えてくれる方もいらっしゃいます」
岩井「ジャケットやカーディガンの中に着られて、1枚でもサマになる。きっととても便利ですよね」
- 西田「今回は30周年ということで、定番色のネイビーを改めて見直し、考えて、依頼しました。このコラボカットソーは色のみが変化していきますが、岩井さんがデザインする時はまず素材から決めるとお聞きしました」
岩井「そうですね。この素材が使ってみたいという気持ちからまずスタートして、そこからこの素材にはこんな色が合うだろうと色のイメージを組み立てていくという流れです。もっと言うと、原料から話し合って、どんな素材にしていくか決めていくところから始まります。ブランドは7年目になりますが、IENAが30周年と聞くとまだまだだなぁと思いますね。ずっと変わらず続けていけたらいいなぁと身が引き締まります」
Text : Maki Kakimoto