

- 30周年を記念して様々なコラボレーションが発表されていくIENA。何をコラボレーションするか話し合っている際、“移り変わっていくトレンドの中で、ずっと変わらず愛されているもの”としてピックアップされたというコンバース。「コンバースをコラボレーションして作るなら絶対に中山さんとご一緒したい!」とバイヤー西田が熱望し実現することに。作った本人たちが、早く欲しいなぁと嬉しそうに眺めるコラボレーションアイテムが完成しました。



- 西田「コンバースってどんな服に合わせても古くならないんですよね。トレンドの移り変わりは早いので、ずっと一貫性があるブランドってなかなか無いと思うのですが、マディソンブルーはずっと変わらないというイメージ。けれども立ち止まっているわけではなく、常に今らしさもあるんです。それがコンバースのイメージと近いと感じたので、コラボレーションをお願い出来て本当に嬉しいです」

- 中山「スタイリストとして20年くらい前のIENAカタログでご一緒させて頂いたりしたので、30周年という節目にまたご一緒することができて感慨深いです。カタログはパリで撮影したのですが、あの頃は本当にパリが好きではなくて(笑) 意地悪なイメージもあり、2度と行かないと思っていたんです。けれど歳を重ねるにつれてパリが好きになっていき、ここ最近はとても好き。パリはずっと変わらないけれど、いつ行っても新鮮。それってコンバースのイメージととても近いですよね。パリとコンバースが持つ力みたいなもの、それをマディソンブルーからも感じてもらえたならとても嬉しいです。とどまっているけれど、フレッシュ。その相反する力を持っているってとても難しいことだと思うので」


- 西田「中山さんの書籍の帯に書いてある“大切なもの”にもコンバースが入ってらっしゃいますよね」

中山「ナイキ、バンズ、アディダスなど色々なスニーカーも履きますよ。けれど、やっぱり戻るのが、コンバース。不動の場所にいるというイメージです。ドレスにあえてコンバースを履くのが好きなのですが、しっくり馴染みながらもハズしてくれる。デニム×コンバースはオーセンティックなスタイルで、今回特にお伝えしたいのはドレスシューズとして履くこと。ドレス✕コンバースはハズした感じになり、どんなスタイリングに合わせても力を発揮してくれます。このバックサテン素材もポイント。マディソンブルーのアイコン素材であり、コンバースを更に大人が履けるものにレディアップしてくれたと思います」


西田「素材やライン、ロゴの見え方などとことんこだわって作らせて頂いたおかげで、大人な1足が出来上がったと思います」

中山「この企画でコンバースについてとても考えたことで、もう1度コンバースを見直すキッカケになりました。私はものを選ぶ時、まず見た目とインスピレーションで選ぶんです。その後に、選んだ理由に気付き腑に落ちることがあるのですが、なぜコンバースに惹かれるのか今回腑に落ちた気がします。Vintageのような光沢のあるつま先が欲しくてこだわりましたが、バックサテンと相性がいいし、フェミニンなムードで履きたいという今の気分にもフィットします。誰もが1度はコンバースを履き、1度離れる時期があると思うんです。けれど、また戻ってくるんですよね。綺麗なコンバースが恥ずかしくて古着ばかり選んでいた時期もありましたが、今は磨き上げられたコンバースを綺麗に履きたい気分です」
西田「たしかにこのコンバースは年齢を選ばないですよね。大人の女性にもとてもフィットしますし、カジュアルすぎないことで今私が着ているセットアップのようなパステルカラーにもすんなりマッチします。中山さんはどんな風に履きたいと思いますか?」

中山「まずサイズは1インチアップします。それは、コンバースを選ぶ時の私の基本。その方がバランスがいいので、絶対にジャストサイズは買わないんです。大きめサイズをぎゅっと靴紐結んで履いて欲しいですね。コンバースは楽だから履くのではなく、選んで履く靴。ドレスシューズを扱う感覚でスタイリングしたらまた新鮮で楽しいと思います」


西田「他にはポケットTシャツも別注させて頂きましたが、この形は定番ですよね? IENAでもとても人気のアイテムなんです」
中山「2020年AWあたりから作り続けています。ポケットTシャツは私の中で永遠のテーマで、何が正解なのかずっと考え続けてきています。どカジュアルなポケットTシャツももちろん好きですが、それは他で見つかるはず。では、マディソンブルーらしいポケットTシャツって何だろう? そう考えている時に、もともとはポケットTシャツのためではないこの素材に出会ったんです。とろみがあって気持ちがいいので、これでTシャツを作ってみようと思ったのがキッカケ。別注をお願いしてもらったことで、これで良かったんだと自信にもなりました。別注カラーは、どうしてグリーンだったんですか? なんだかとても意外だったのでお聞きしてみたかったんです」

西田「意外でしたか(笑) ちょっとハズしに使えるような存在にしたかったんです。だからメンズライクなカラーを2色選びました。それにベージュのコンバースに合わせると考えた時に、グリーン✕黒とかの格好いいスタイリングに合わせるのもいいなぁと。マディソンブルーのロゴTシャツは、メッセージを伝えたいという強い意志を感じるんです。だから自然とちょっと強い色を選んだのかもしれません」

中山「ネイビーはマディソンブルーのアイコニックなカラーなので納得だったのですが、グリーンは本当に意外でした。マディソンブルーではグリーンといえばカーキで、私自身もあまりグリーンのアイテムは持っていなんです。けれど、この春夏はグリーンに挑戦したいなぁとちょうど思っていて、フォレストグリーンという色でアイテムをいくつか作りました。今回のコラボレーションのようにブランド外の人と一緒にものづくりをすることで、新しいことに気付いたり、改めて好きなものの魅力を再認識したり、勉強させてもらうことはとても多いんです。キャッチボールすることで腑に落ちることってあるんですよね。いい機会をありがとうございました」








Mariko NakayamaMADISONBLUE DESIGNER
1980年代よりスタイリストとして活動。1980年代後半、ニューヨーク在住時にアメリカの雑誌『Interview Magazine』等でスタイリスト活動・ 雑誌のコーディネーターの他、NOKKO全米デビューのディレクターとして活躍。1993年KiKi inc.所属。広告・雑誌・音楽のスタイリングをメインに活動。2014年自身のブランド『MADISONBLUE』を立ち上げた。2015年著書『大人のおしゃれRULE BOOK A to Z』発売。
Misako NishidaIENA BUYER
2007年入社、IENAに配属。ショップスタッフを2年半経験した後現職のバイヤーとなる。フレンチベーシックなスタイルを軸に、そこにそのシーズンの色やディテールなどを合わせることを楽しみながらIENAで展開する商品の買い付けを行う。
- Text:Maki Kakimoto