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  3. TOKI×JOURNAL STANDARD L’ESSAGE SPECIAL INTERVIEW
  • 見る人に解釈を委ねる
    光をまとう写真をTシャツにのせて
    光を巧みに取り入れながら世界を捉え、
    どこかファンタジーを感じさせる独特の作風が魅力のフォトグラファーユニット、TOKI。
    JOURNAL STANDARD L’ESSAGE 銀座店、JOURNAL STANDARD 渋谷スクランブルスクエア店
    で8月5日から、彼らの作品をのせたオリジナルフォトTシャツの販売イベントと写真展を開催します。
    これまでと少し変わった展示方法にもチャレンジした本展。
    Tシャツにのせた写真にこめた、二人の想いとは?

  • ー TOKIは佐伯さんと真鍋さん、お二人のユニットで活躍されていますが、どのような経緯で活動をスタートされたのですか?

    佐伯:同じスタジオで勤務した後は、真鍋は写真家、僕は商業写真家のアシスタントとして活動していました。ある時、一緒にファッションの作品を撮った時、お互いの感性が混ざり合い、これまでと違うまったく新しいものが作れたんです。そこで独立のタイミングで、ユニットを組みました。名前は鳥の「トキ」から。存在しているけれど、なかなか見ることの出来ない鳥ですよね。そんな存在でいたいなという思いからつけました。耳当たりも良く、海外の方でも覚えてもらいやすいなと。

  • ー 写真を撮る際、大事にしている世界観はありますか?

    佐伯:その時代にしか流れていない空気を感覚的に捉えつつも、時代感がのらないように気をつけていますね。あと僕の男性目線と真鍋の女性目線、この二つがあることが重要です。彼女のソフトな表現と、僕のグラフィック的な要素がバランス良く合わさっている。

    真鍋:イメージとしては、丸っぽいものと四角っぽいものが融合しているような感じです。

    佐伯:撮影は交互に入れ替わり行います。お互いに撮り方も構図も全然違うので、よくケンカもしますよ(笑)。でも、撮影の時にストレスが強いほうが、良い作品が作れるんです。“餅つき”のようにお互いに意見を交わしながら何度も行ったり来たりさせて、そこから振り幅を徐々になくしていって一つの作品に着地する・・・そんな作り方ですね。

  • ー お二人の作品は光の取り入れ方が独特で、どこかリアルじゃないような、夢心地のような感覚になります。

    佐伯:よく作品を「ファンタジック」と表現されることがありますが、地に足がついているよりふわふわと浮いているような感覚を大事にしているので、そう見えるのかもしれません。言語化したり特定したりすることで、作品を“着地”させたくないんです。今まで何気なく何度も見てきたものも、角度を変えて見るとイメージが変わることがあります。この見方を大切にしていますね。

  • ー 今回のL‘ESSAGEコラボでは、4作品をTシャツにのせました。本展では、どのようなテーマで作品を作られたのですか?

    佐伯:コンセプトは“新しいイメージをひらく”。外に向かっていくような、ポジティブなムードの作品をピックアップしました。あと今回は特別に、写真と一緒にメッセージをのせています。先程話した“着地”につながるので言語化するのはこれまで避けてきたのですが、テーマに添う「希望」「ポジティブ」に即した言葉を、レサージュさんと一緒に考えました。

  • ー 佐伯さんと真鍋さん、もし今回のTシャツの中から1枚着るとしたら、それぞれどちらのデザインを選びますか?

    真鍋:私は今回唯一、横位置のプリントになった光のデザインがお気に入りです。これ、もともとは縦位置で撮影したんです。でもレサージュさんが横向きにデザイン配置してみたら、案外良いねという話になった(笑)。私たちにはなかった感覚で、まさにコラボレーションの醍醐味を感じました。

  • 佐伯:僕はロンTかな。人の膝に球体をのせて撮った写真です。自分たちが心地良いと思うところまで、テクスチャーをかなり変えました。二人の感覚がちょうどいいバランスで融合されて、一番抽象的な表現ができたお気に入りの作品です。

  • ー 本展ではTシャツ販売のほか、写真を大きなタペストリーにのせるという新たな展示方法にもチャレンジされていますね。これまでの写真展とは異なる新しいアプローチが新鮮でした。

    佐伯:はい、写真はプリントするのではなく、織り柄で表現しました。レサージュさんはライフスタイルを持った女性に向けて提案しているブランドなので、僕たちも写真という枠から外してみたら、うまく同居するかなと。布に作品を載せるのは初めての挑戦でした。タペストリーサイズで大きく見せることで、作品の雰囲気がTシャツとは変わりましたね。

  • ー コロナ禍の自粛期間を経て、社会がまた動き始めました。ご自身のマインドは何か変わりましたか?

    佐伯:自粛期間中は特に何もしていませんでしたが、それが良かったと思います。鳥のさえずりとか、丁寧にご飯を作ることとか、これまではふとした瞬間しか気に留めなかったことに気付きながらを毎日繰り返し、大切にできましたね。日常を大事に過ごし、普段書かない日記もつけたりしました。ちなみに今回の写真展は、コロナ禍によって当初の計画からかなり変わってしまったんです。新しい作品を撮れず、過去のアーカイブからピックアップすることになりましたが、L’ESSAGEの店内ディスプレーや商品を新しい形で撮ったりしたかった。いつかこの企画は実現させたいですね。

  • トキ
    男女2人組。
    光線の柔らかい光を組み合わせた幻想的な写真で、アーティスト写真やファッション誌などで活動中。
    @toki_39 / https://www.tokitokitoki.com/
  • フォトグラファーユニットTOKIによるフォトTシャツのリリースを記念し、 下記2店舗では今回提供頂いたTOKIの写真展示も同時に行います。今回の展示は山形県米沢市の江戸時代から続く伝統産業米沢織の織元の三代目で、 テキスタイルデザイナーの山口英夫氏との競作でタペストリーに落とし込んだ展示になります。TOKIの二人のこだわりが感じられるアートを、お近くにお越しの際はぜひ体感してください。

    開催場所
    ジャーナル スタンダード レサージュ 銀座店
    ジャーナル スタンダード 渋谷スクランブルスクエア店

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  • Writer & Interviewer:Chikako Ichinoi