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  3. DIALOGUE01. NAOKO OKUSA & KEIKO SEYA

ファッションを、そして装うことを
心から愛し、楽しむ二人の女性。
日本とパリ。拠点は違っても、「おしゃれ」が二人を繋ぐ。
 



VERMEIL par ienaのCONCEPT BOOK第3弾。
【BE GLOSSY MADAME!!】2019AW
WEB Magazine VOL.5 ぜひご覧ください。

また各店舗にて税抜き25,000円以上ご購入の方にCONCEPT BOOKをプレゼント!!
ご来店お待ちしております。



 

  • OKUSA :

    ヴェルメイユ パー イエナというブランドのベースには「年齢を重ねた女性は美しい」という考えがあるのですが、瀬谷さんにとって、美しく年齢を重ねるために大切なことって、なんですか?

    SEYA :

    いつも先の事を考えながら生きるということでしょうか。結婚したから、出産したから、子供が成長して独立したから、そこで終わりではなくて、その先に続く未来に常に目を向けること。何歳になってもたくさんの可能性が満ちている、そんな風に考えながら、毎日を積み重ねていくことが大切だと思っています。

    OKUSA :

    前向きで素敵な考え方ですね。私は、素直さ、好奇心、清潔感、謙虚さ。これらの要素をバランスよく、あくまでも自然に兼ね備えていくこと、なのかなと思っています。
    実際に、素敵な年齢の重ね方をされていると思う方はいらっしゃいますか?

    SEYA :

    仏フィガロ紙の元モード編集長だった、シルヴィー・ユウさんです。アンデス山脈のなにもない山間の撮影現場で、エルメスのカレをキュッと巻いていらしたのが、とても印象的でした。白髪と鮮やかなカレのプリントが、南米の風景に溶け込み、まるで一枚の絵画のようで。本当に素敵でした。見た目のおしゃれだけではなく、内面から教養がにじみ出ているのが、彼女のなによりの魅力です。もう一人は、川久保玲さん。常に挑戦的で一貫したスタイルを持続されている生き方は、心から尊敬しています。

    OKUSA :

    私は、お世辞抜きで、瀬谷さんが素敵だと思っています。「恥じらい」があるのがとてもセクシー。もしかしたら、謙虚と言い換えられるのかもしれません。これだけのキャリアがありながら、なかなか持ち続けられるものではありません。

    OKUSA :

    また、“歩くヴァンテーヌ”と言われた、元ヴァンテーヌ編集長の小山裕子さんも尊敬しています。「着る服は、あなたの中身を表す名詞のようなもの」「写真を補足するのが言葉。誰もが使わない言葉を使いなさい」と、おしゃれだけではなく、仕事も生き方も、いろいろ教えていただきました。キャリアのファーストステップで彼女に出会えたことは、私にとって人生で一番の宝物になっています。

  • OKUSA :

    少し話を変えてもいいですか? ヴェルメイユ パー イエナのイメージカラーは「赤」なのですが、瀬谷さんにとって「赤」はどんな存在ですか?

    SEYA :

    「赤」は、小物で少しだけ取り入れるのが私流。フェミニンで元気が出る色だから、以前からモノトーンの洋服に赤のシューズを合わせたりしていました。最近は、顔周りを明るく華やかに見せてくれるから、メガネやピアスに赤を取り入れて楽しんでいます。

    OKUSA :

    小さく効かせる赤。瀬谷さんらしい! 大人の純粋さを表してくれる色でもあり、視線を惹きつけてくれる色でもありますよね。小物やリップなど、あえて小さく取り入れることで、赤の存在感が生きてくる、とも考えられますね。

  • OKUSA :

    ところで、瀬谷さんにとって「おしゃれ」はどんな意味を持っていますか?

    SEYA :

    若い世代は、ファストファッションでも、ヴィンテージでもどんどん試して、冒険していいと思うんです。そうすることで自分に合うスタイルを確立していくわけだから。でも、ある程度年齢を重ねたら、素材やシルエットなど着心地のよいものにこだわりたいですよね。それこそが、大人のおしゃれの醍醐味だと思います。

    OKUSA :

    そうですね。私も、大人になってから、素材フェチに(笑)。また、私にとって「おしゃれ」は、人生のモチベーションであり、周りの人へのマナー。なにより、知性を映す鏡です。おしゃれを通じて、人生をより豊かに、滋味深く過ごすことができる、すばらしい表現手段だと思っています。
    また、おしゃれって「FUN!」「楽しい!」を表現するための最高のツールでもあると思うのですが、瀬谷さんにとって、「おしゃれ」の定義とは?

  • SEYA :

    ファッション業界に関わる人たちは、流行を踏まえながら自分に合うおしゃれを毎シーズン楽しんでいて刺激的です。でも、まったく異業種の女性でも、バッグからさりげなく取り出したレザーの手帳の色と、指先のリングの石の色がリンクしているのを目にしたりすると、ハッと視線も心も奪われます。「心からおしゃれを楽しんでいて格好いいな」と感心するような出来事に、パリでは日常的に出会えるのがとても楽しいのです。
    おしゃれの基本はバランスの良さ。そのバランス感覚を培ってくれるのが知性なんだと思います。ファッションに限らず、食や住まいに対しても適度にアンテナを張っていて、適度にこだわりを持つ。大人のおしゃれの定義とは、知性から醸し出されるバランス、だと思います。

    OKUSA :

    おっしゃるとおり、大人のおしゃれにとって「知性」や「バランス」といったキーワードは欠かせないもの。「バランス感覚を培うための知性」、心に留め、大切にしていきます。
    さて、最後の質問です。今季のヴェルメイユ パー イエナのテーマは“Glossy”なのですが、瀬谷さんは、この言葉からどんなことを連想されますか?

    SEYA :

    人に対する「接し方」でしょうか。会って話している最中に「華のある人だな」とか、「チャーミングだな」と感じる人っていますよね? 内面から自然に漂うポジティブなエネルギーこそが、“Glossy”だと思います。

  • OKUSA :

    なるほど。面白いですね。瀬谷さんは、どんな風に“Glossy”を取り入れたいと思っていますか?

    SEYA :

    すべての女性にとって“Glossy”は欠かせないエレメント。完璧すぎず、ほんの少しの隙間を作ることで、ある種の艶っぽさが生まれます。だから、デザインをするときも常に“Glossy”な陰影を添えるように意識しています。 SEYAのコレクションはシンプルでベーシックですが、一枚でさらりと着ても、モダンでどこかに艶を感じられるようなデザインを心がけています。

    OKUSA :

    素敵? 人生もそうですが(笑)、影があるからこそ、光が際立ちますよね。ファッションで例えると、マットな質感と光沢のある素材、硬質なものと柔らかいものなど、異素材を組み合わせることで生まれるコントラスト。光と影をミックスしながら、大人ならではのおしゃれを楽しみたいですね。

  • クリエイティブ ディレクター
    瀬谷 慶子


    25年程前にパリに移住。エディター、スタイリストとして活躍した後、2013年に「Crista Seya」を、2016年に「seya.」を設立。
    大人の、ナチュラルな世界観に定評がある。