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  3. 藤原さん、今回の別注リーバイスも気に入ってくれましたか?
  • 作業着として重宝されたデニムウエアをファッションアイテムへと昇華させたのが<リーバイス>であることは、周知の事実。そんな<リーバイス>の代表モデルであるタイプ1トラッカージャケットと501を今回<ジャーナル スタンダード>と<ジャーナルスタンダード レリューム>が共同で別注しました。「そんなところまで?」と言いたくなるようなディテールワークをマシマシに落としこんだ傑作を、ヴィンテージデニムアドバイザーの藤原裕さんはどう見たのか?その答えは、氏の笑顔が物語っています。

    Photo_Masaki Kiyokawa  
    Interview & Text_Takashi Abe

    藤原 裕
    ふじはら ゆたか

    Instagram

    1977年生まれ。ヴィンテージショップ「ベルベルジン」ディレクター。個人名義では〈リーバイス〉のアーカイブブックの監修や、様々なブランドのディレクションやアドバイザーなどマルチに活躍。また新たに某有名ワークウエアブランドのディレクターに就任予定との噂も…。ちなみに取材当日着用していたのは<リーバイス>507XXのサイズ50(!)と50XX 47モデル。もちろんともにヴィンテージ。

    1977年生まれ。ヴィンテージショップ「ベルベルジン」ディレクター。個人名義では〈リーバイス〉のアーカイブブックの監修や、様々なブランドのディレクションやアドバイザーなどマルチに活躍。また新たに某有名ワークウエアブランドのディレクターに就任予定との噂も…。ちなみに取材当日着用していたのは<リーバイス>507XXのサイズ50(!)と50XX 47モデル。もちろんともにヴィンテージ。

    ディテール、サイズ展開、そして価格。すべてが魅力です。

    ディテール、サイズ展開、そして価格。すべてが魅力です。

    藤原さん、今回も<リーバイス>協力の元、今までにないタイプ1ジャケットと501が別注にて実現しました。まずはタイプ1ジャケットから見ていただきましょうか。

    今回もヴィンテージならではのディテールが色々入ってますね。これ、形的には俗にいう47モデル(1947年モデル)だと思いますが、ステッチはオールイエローなんですね。この時期のタイプ1はオレンジとイエローのミックスだったはず。

    はい、別注を企画した<ジャーナルスタンダード レリューム>のディレクター・鷹野が所有する501XXが通称・47後期なんですが、たまたまオールイエローステッチ仕様だったこともあり、今回は501だけでなくタイプ1もあえてオールイエローステッチでリクエストしました。

    そうなんですね。ヴィンテージデニムって昔から“イエローステッチ=古い”というイメージが強いので、ヴィンテージらしさを象徴するディテールになってますね。ただ、実際は物資統制のあった第二次世界大戦前のタイプ1はオレンジのステッチが使用されていたんです。でもイメージ的にはイエローステッチの方が古い……不思議ですよね(笑)。

    ステッチがオールイエローになるだけで、ヴィンテージ感が強く感じられるのは、間違いないですね。フラップ裏はどうですか?

    ちゃんと生地を変えてるんですね。XX表記が入る時代、つまりタイプ3(サード)と呼ばれる557XXやブランケット付きの559XXまでは、すべてフラップ裏にライトオンスの生地を使用していたんですよね。XX表記が廃止された557や559からは、同じオンスのデニム生地で統一されました。パッチが取れてしまったタイプ3の年代判別をするときは、フラップ裏を見るとXXか否かがわかります。

    この生地変えも今回のポイントの一つです。

    これってかなり特別ですよね?<リーバイス>と<ジャーナルスタンダード>の関係性があってこそでしょうね。このディテールの面白いところは、洗っていくと見た目に変化が表れるところです。

    といいますと?

    フラップの表生地と裏生地が異なるということは、洗った時の伸縮率も違うということじゃないですか。つまり、縮めば縮むほどフラップの先がクルンとカールしていくんです。ほんとに細かいディテールですが、こういった変化も裏生地がライトオンスだからこそ。

    通好みのなディテールが、各所に落とし込まれてますね。

    通好みのなディテールが、各所に落とし込まれてますね。

    着続けることでデニムの色落ちだけでなく、こういった箇所の変化も楽しめるんですね。

    これは洗いのかかっていないリジットデニムだからこそですね。そういえば、このジャケット、シンチバックはどうなってますか?

    針刺しは現在使用できないようで、二本針の部分がコの字になったバックルが使用されています。

    やっぱりこのバックルですよね。裏技ではないんですが、このバックルって二本針風にカスタムできるんです。

    というのは?

    ニッパーやペンチでコの字部分の角(二ヶ所)カットするんです。そうすると二本針になりますよね。このバックル自体がカットしやすくなっているという噂もありますが、定かではありません。ただ、本当に好きな人はここをカットする人が多いです。

    あくまで自己責任ということですよね。

    そうですね。例えるなら、焼肉屋さんのレバーみたいなものですかね。鮮度の良いお店のレバーって、そのままいきたくなっちゃうじゃないですか(笑)。

    レバーはよく焼かないとだめですよ。

    ……あーー、そうでした、ね。よく焼きましょう。今気づいたんですが、赤タブの位置が高めに設定されているのも、今回の別注ポイントですが?

    はい、赤タブの高さも今回リクエストしました。

    通常はもう少し下にあるんですが、フラップで見えないくらいの位置につけられたジャケットもこの当時ならではのディテールですね。当時は、厳格なルールがなかったのかもしれません。あれ、フロントのボックスステッチはボタン横にあるんですね。この時代のモデルはボタンと横並びではなくずれていたはずですが…。

    はい、あえてボタン横にボックスステッチを施したそうです。時代は異なりますが、やはりボタン横にステッチがある方がすっきりとした見え方になりますから。

    好みは分かれますが、確かにボタン横の方がすっきりとしますよね。ところで今回もTバックってあるんですか?

    はい。今回のタイプ1はXSからXXXLまで展開しているんですが、そのうちのXXLとXXXLはTバック仕様になっています。

    XXXLはかなり大きいですね。逆に当時存在しないサイズ感なのでとても面白いです。

    ヴィンテージを熟知している人が作っているというのが伝わってきます。

    ヴィンテージを熟知している人が作っているというのが伝わってきます。

    続いて501です。こちらもジャケットと同じ、47モデルをベースにしています。残念ながら隠しリベットをつけることは叶わなかったんですが、ビッグEの赤タブやレザーパッチ、さらにはVステッチやセルビッジなどを採用しています。

    お!サイドの補強ステッチが長いですね!ここも別注箇所ですか?

    はい、通常より長くしてもらうようにリクエストしました。

    このステッチは、長さで年代判別もできる重要なディテールですよね。言い方悪いですが、誰も気に留めないようなステッチ部分にこだわっているのがとてもいいですよね。ヴィンテージの501をわかっている人が作ってるというのが、よくわかります。あとジャケット同様、501のステッチもオールイエローなんですね。

    セットアップで着用することをふまえ、上下共にステッチはすべてイエローで統一しています。

    ジャケットもそうですが、時代的にオールイエローステッチはもう少し前の時代のモデルになりますが、ステッチがイエローになるだけでヴィンテージ感が増しますよね。前回同様、今回も異なるレングスを作っているんですか?

    はい、今回は28インチ、30インチ、そして32インチの3種類があり、さらにそれぞれに異なるウエストサイズを展開しています。

    以前の別注はたしか26インチ、28インチ、そして30インチでしたよね?もしかして縮みを想定して、今回はこのレングスにしているんですか?

    その通りです!

    素晴らしい!このレングスにヴィンテージが好きな方は知ってると思いますが、当時のデニムパンツってチェーンステッチで裾上げがされているんですよね。今回の別注501もチェーンステッチになっているんですが、お直し屋さんなでは裾上げをしてもらうと、ほとんどのお店がシングルステッチなんです。なので、デニムが好きな人は当時と同じチェーンステッチで裾上げしたいからと、チェーンステッチで裾上げができるお店を探してるんですが、ほとんどないが現状で…。なので、これだけ異なるレングスが展開してることってかなりありがたいことなんですよね。ちなみに僕の場合は、少しだけ裾を折り返して穿きたいので32インチを穿くことが多いですね。

    自分だけの色に育てられるのが、リジットの魅力。

    自分だけの色に育てられるのが、リジットの魅力。

    では試着してみましょうか。サイズはどれにしますか?

    タイプ1はサイズLで、501は34×32でお願いします。

    いかがですか?

    今回の別注はリジットで作られていると思うんですが、ゼロから自分ならではの色落ちを育てられるのっていいですよね。もしですよ、当時のデッドストックを上下で揃えた場合、間違いなく今ならウン千万円しますから。気軽に着ることなんてできません(笑)。であれば、このセットアップをガンガン着た方がデニムならではの色落ちを楽しめていいと思います。上下合わせて42,900円という価格も、この別注ならではの魅力ですよね。

    購入する際に、気をつけることなどありますか?

    間違いなくサイズ選びですね。リジットデニムって洗いがかかっていないため、洗うとかなり縮みます。なので、縮むことをふまえた上でサイズを選ぶことをオススメします。特に501のレングスは気をつけたいです。ジャストのレングスを選んでしまうと。くるぶし丈になる恐れがありますから。ヒゲやアタリ、そしてクモノスといったデニムならではの色落ちをさせたいがために、洗わないって方もいますが、個人的にはまずは洗いをかけた方がいいと思います。

    洗ってしまうと、糊が取れてしまい、ヒゲやアタリが綺麗に出ないのでは?

    ぼくの場合は、洗濯後に糊付けをしています。うちの店(ベルベルジン)で糊付けのサービス(有料)を行なっているんですが、依頼が殺到してる状況です。ゼロから着込むなら綺麗に色落ちさせたいという人が多いです。なので、今回の別注モデルを購入される方は、ぜひベルベルジンまでご相談ください(笑)。