- 音楽やファッション、アートなど様々なシーンで常に先鋭的なカルチャーを生み出し、私たちを魅了し続けるイギリスという国。EDIFICEは、シーズンテーマを1980年代に英国から世界を席巻した伝説のクリエイティヴ集団「BUFFALO」のスタイルからインスピレーションを受けるなど、今まさにUKカルチャーが気分。そんな中、「INSONNIA PROJECTS」の別注にて、ブリットポップムーブメントの代表格として名を馳せた『blur/ブラー』のバンドTシャツ。さらに、80年代にUKストリートファッションを日本において先駆け的に提案をしてきた伝説的なショップ「Ready Steady Go!」とのコラボTシャツをリリース。本記事では、「INSONNIA PROJECTS」についてはEDIFICEのバイヤーである三浦凛太郎へ、「Ready Steady Go!」は同ショップのオーナーである後藤田和仁氏へ話を聞き、それぞれのTシャツの背景を紐解きながらUKカルチャーの魅力に迫る。
- Photo:Michi Nakano
- Edit & Text:Sota Nagashima
blur:INSONNIA PROJECTS for EDIFICEメイドインジャパンにこだわり、個性溢れるニットウエアを展開してきた「INSONNIA」が、ニットとカットソーに特化したレーベルとして始動した「INSONNIA PROJECTS」。EDIFICEでは、過去にジャミロクワイのTシャツなどを販売。同ブランドの音楽アーティストをモチーフにしたTシャツは、高いクオリティで人気を博している。そんな「INSONNIA PROJECTS」へ今回特別に別注をかけ、90年代のUKロックシーンを代表するバンドの一つである『blur』のアートワークを採用したTシャツをリリース。
数あるバンドTシャツの中でも、何故ブラーを選んだのか。「ビートルズほどクラシックではなく、アークティックモンキーズのような新しいバンドでもない。また、アンダーグラウンドな世界観よりは、ポップ寄りであるという点でもブラーが最も合っていると考えました。アートワークもキャッチーで、親しみやすいと思います」とバイヤーの三浦は話す。
プリントはそれぞれ表面だけでなく、背面にバンドのロゴや当時のツアー情報がデザインされている豪華仕様。また、「INSONNIA PROJECTS」といえば、プリントのデザインもさることながら、細部にまでこだわりを持って作られたオリジナルのボディも魅力。古着のような風合いがありながら、現代的なシルエットに仕上がっているほか、袖元のステッチや首後ろのチェーンステッチなど、古着に見られるディテールも忠実に再現している。
リアルなビンテージのTシャツは、生地が痩せていたり、首元がよれていたり、ボディバランスが崩れていたりすることがある。それが今のファッションに合うこともあれば、台無しにしてしまうことも。「INSONNIA PROJECTS」のTシャツは、そういった古着の雰囲気を出しつつも、シルエットがしっかりしているので、まさに大人が着やすいTシャツだ。
バイヤー三浦によるオススメのスタイリングは、「Tシャツ自体にインパクトがあるので、ごちゃごちゃと足すよりも、シンプルな着こなし。昨年末に発売した別注のリーバイス517など品のあるサンダルを合わせて、夏らしさも意識しつつ上品さも損なわずに履くのがEDIFICEの気分ですね」。UKらしさを意識し、シルエットもスッキリさせて着てもらいたいため、小さめのサイズにて展開。あの『ブラー』のデーモン・アルバーンのように、是非ジャストサイズの着こなしを楽しんで欲しい。
Ready Steady Go!東京の片隅に「Ready Steady Go!」という伝説的なショップがあったことはご存知だろうか。今からちょうど40年前の1985年に、UKのストリートカルチャーを日本で紹介する先駆け的なお店としてオープンしたセレクトショップだ。
オーナーの後藤田氏は、22歳のときにUKのファッションやカルチャーへの憧れからイギリスへ語学留学を決意。サッチャー政権で失業者が多い中、パンクカルチャーが始まったばかりの街の雰囲気に衝撃を受けたと当時の思いを振り返る。「反体制派の若者たちが、お金がなくても廃棄物を拾ってきてアクセサリーを作っていたり、フラストレーションをエネルギーにして、DIY精神で自己表現する姿に感銘を受けました」。
そして、帰国後27歳で「Ready Steady Go!」を開店。以降、モッズやテッズ、ロッカーズ、スキンヘッズ、パンク、ニュー・ロマンティクス、サルヴェージなどと呼ばれるロンドンストリートファッションシーンのフィルターを通した様々なスタイル提案をしてきた。国内のショップでは最初に扱ったという「Duffer of St.George」をはじめ、「Fred Perry」や「Dr.Martens」など、今でこそ日本でもお馴染みなブランドたちのアイテムも並んだ店内は、当時の若者たちにとって夢のような場所だったに違いない。
そして、資金がまだ充分にないオープン当初から作っていたアイテムが、ショップのロゴをプリントしたTシャツやバッグだ。このシンプルでありながら、力強さも感じさせるロゴが入ったアイテムたちは、雑誌でも取り上げられるようになり、イギリスのファッションや音楽などのサブカルチャーに興味を持った東京の若者たちの間で話題に。当時、お金のあまりない学生たちでも手の届くため、このロゴが入ったアイテムを買うためにお店に来る方も多かったという。
そんなカルト的アイテムとも言える「Ready Steady Go!」のロゴTシャツを、今回EDIFICEとのコラボレーションという形で復刻。これまであまりやってこなかったという背面にロゴを大きくプリントしたインパクト抜群の仕上がりとなっている。カラーはホワイトやブラックの定番カラーのほか、全6色展開。「若い人にはベーシックな色だけでなく、是非明るめの色にもチャレンジして、気分転換をしてみて欲しいですね」とオーナーの後藤田さん。細かなディテールだが、首元の内タグにデザインされた「EDIFICE」と「Ready Steady Go!」のコラボを表す記号を“×”ではなく“÷”にしている。こういった遊び心をさり気なく潜ませているところが、品のあるUKらしい洒脱さだと思わせられる。
「昔のようなコテコテのUKスタイルも良いですが、今の時代に合わせた形で楽しんで欲しい。そして、若い世代の方たちにもお店のことを知ってもらい、ファッションだけでなく音楽などトータルでUKのカルチャーを好きになる手助けをしたいと思っています」と最後に思いを語ってくれた後藤田さん。最近UKな気分と思っている方、まずこのTシャツを着ることから始めてみてほしい。 夏もすぐそこ、“レディステディゴー”で走り出そう。