Walk with Gramicci
グラミチ(Gramicci)のアイコンであるクライミングパンツは、180度開脚可能なガゼット、片手でウエスト調整が可能なウェビングベルトを用いた名作。そんなブランドを愛用しているのが、2023年3月に活動を終了したヒップホップクルー「KANDYTOWN」のメンバーであるMASATOとMUD。今回はJOURNAL STANDARDが1950-60年代にミリタリーから派生し、ワークパンツから日常着へと定着していったアメリカのチノをベースに製作した別注品を二人に穿いてもらい、彼らが想う音楽やファッションの話について訊いてみた。Photo_Toma Uchida
Interview&Text_Ryotaro MiyazakiProfile
MASATO
世田谷区・喜多見を拠点に活動するヒップホップクルー「KANDYTOWN」のメンバー。ソロでも活動し、これまでに『City Boy Mix』をはじめとしたMIX CDをこれまでに複数リリース。また、音楽やファッションイベントにも多数出演し、ヘッズを魅了している。
https://www.instagram.com/mr.soul91/MUD
世田谷区・喜多見を拠点に活動するヒップホップクルー「KANDYTOWN」のメンバー。ルードなアティテュードと日本人離れしたフロウで人気を確立。2017年にソロアルバム『Make U Dirty』をリリースし、非常に高い評価を得る。その他に様々なアーティストの客演も務め、支持を集めている。
https://www.instagram.com/make.u.dirty/新年明けましておめでとうございます。2025年が始まったけど、去年はどんな年だった?
MUD:一昨年の10月に海の方に引っ越して、丸一年東京から離れて生活した年でしたね。段々いまのところにも慣れてきて、東京で仕事があるときも移動が苦じゃなくなりました。大きい建物もないし、その土地ならではの時間の流れがあるというか。夜も早く寝るようになったすね(笑)。
確かにローカリズムというのがあるよね。
MUD:そうですね。あとは横ノリカルチャーが好きな人が多いかな。俺もスケートやるんで、話が合う人もたくさんいます。
KANDYTOWNで言うと、IOさんも湘南に引っ越したよね?
MUD:たまに会いますよ。IO君の後輩のサクソンってやつが鵠沼のバーで働いているので、そこに一緒に行ったりとか。あとは東京でやる同じイベントに出演した時は一緒に帰ったりもします。
MASATO君は?
MASATO:特に去年は作品をリリースしてなくて、あまり変わり映えしなかったかな。YouTubeの配信コンテンツで高円寺のバーでDJをやったんだけど、それが結構再生されたのが良かったかな。海外の人からも反響があったし、またそういう機会があれば、今年もやってみたい。イベントとかで新しい繋がりが増えたのも嬉しいことだったね。
二人は今日久々に会ったの?
MASATO:プライベートは久々かも。イベントとかで会うことが多いかな。11月にも一緒のイベントに出たし。
MUD:そうっすね。MASATO君がDJで出て、俺はライブで出るみたいな被り方が多いですかね。
MASATO:去年の夏くらいにMUDと一緒に、渋谷のミュージックバーでレゲエのイベントをやりたかったんだけど、断られたんだよね。まだ早いって(笑)。
MUD:ツアーで各地をまわってるときに、ドーナツ盤でレゲエの作品とかを集めていて。それが100枚くらい溜まってきたから、1セットくらいならできるかなと思ったんですけど、家にターンテーブルがないので、そもそも練習ができなくて。MASATO君に「早く買えよ!」って突っ込まれました(笑)。
MASATO:今年こそやりたいよね。
MUD:早くターンテーブル買いますね(笑)。
MASATO君はジャズとかディスコのイメージが強いけど、レゲエも聴くの?
MASATO:ラヴァーズ・ロックっていうジャンルが、イギリスで生まれたレゲエのサンプリングなんだよね。結構ソウルのカバー曲があって、それをよく聴いてるよ。イベントでもかけたりするし。
なるほど。MUD君は2024年の音楽的な振り返りはどう?
MUD:去年は客演が多かったっすね。作品も出そうと思ったんですけど、年内に間に合わなくて。いまは曲を溜めている最中です。『MAKE U DIRTY 2』の続きではなく、違う視点の作品を出そうかなと思っています。
では、ファッションの話もしていこうかな。今回二人に穿いてもらったのが、25SSでリリースするJOURNAL STANDARDとGramicciのコラボレーションで、チノトラウザーズから着想を得たモデルなんだよね。クライミングパンツを街着として解釈して欲しいという意味も込めていて。
MASATO:Gramicciのパンツは好きで、何本も持っているんだけど、ここまで太いモデルははじめてだったかも。しっかりした生地もいいね。
MUD:いつもダボダボの服ばっかり着てるので、違和感なく穿けましたね。
Gramicciの存在を知ったのはいつぐらい?
MUD:コストコで大量に売られていて、黒とベージュを試しに買ったのが最初ですね。ジャーナルの別注よりも細かったです。俺はこのくらい太い方がスタイルにフィットしますね。
MASATO:スポーツ量販店で買ったのが最初かな。New Balanceのスニーカーが好きで、それに合うパンツを探していて。どちらもアメリカを背景にしているから、すぐに好きになったね。あと、YUSHI(KANDYTOWNの中心人物ともいえる存在であり、BANKROLLのメンバー)が夏になるとGramicciのショーツをよく穿いてたな。
MUD:このベルトループもいいですよね。
何かのインタビュー記事で、KANDYTOWNのメンバーのインタビューを読んだんだけど、YUSHIさんはみんなのファッションアイコンだったの?
MUD:そうっすね。背が大きくて、ヒップホップをルーツにしたダボっとしたファッションがよく似合うんですよ。俺はよく参考にしてましたね。
MASATO:いいものを自然に着ているイメージだったね。THE NORTH FACEのダウンとかいち早くチェックしてたんじゃないかな。確かパープルのやつで、ギュッと裾を絞って着てた記憶がある。
最近のファッションのムードはどんな感じに見えてる?
MUD:2000年代くらいのスタイルが戻ってきている感じがします。無地の白TのXLサイズに、太めのデニム、足元は「エアフォース1」みたいな。周りの若い子たちにも、そういうスタイルが増えた感じします。
ヒップホップシーンでも、結構多様化しているイメージあるよね。
MASATO:確かに。ハイブランドで固めてるやつもいれば、ブーツカットのデニムを穿いているやつもいるし。
MUD:俺も5、6年前はスキニーデニムとか穿いてましたね。ティンバーのブーツに裾も入れたりして。昔流行ったB-BOYのブランドもリバイバルしていて、懐かしいなって思います。それで、10代の頃に聴いていたヒップホップを改めて聴き直してます。
MASATO:そういえば最近、若い子たちと話す機会があって、「ヒップホップはどんなの聴いてる?」って質問したんだけど、全然洋楽聴かないって子もいてびっくりした。
MUD:そのくらい日本のヒップホップシーンも盛り上がってるってことなんじゃないすかね。
KANDYTOWNのメンバーは各々個性があって、何年経ってもブレない印象があるけど、二人はファッションのこだわりってある?
MUD:ロゴが入ってなくて、極力無地のものを選んでますね。
MASATO:身長があまり大きくないから、サイズ選びは気をつけてるね。それと、アメカジが好きだから、ヘビーウェイトの服をかなり持ってる。いいものを長く着たいっていうのは昔から変わらないかも。
KANDYTOWNが解散してからもうすぐ2年が経って、それぞれが自分の道を歩んでいるけど、その期間を振り返ってみるとどう?
MUD:久々に会って話をすると、みんなが好きなことやってるなって思いますね。
ソロ活動している人たちの音源も聴く?
MUD:そうですね。実はKANDYTOWNのグループラインがまだ稼働しているんですよ。誰かがリリースするタイミングで連絡が入りますね。
解散してから、メンバー間では会う頻度は減った?
MUD:だいぶ減ったかもしれないです。よく会ってるのはGottzかな。次のアルバムも二人で制作していて。あとはMinnesotahかな。ソロでライブする時のバックDJはいつも依頼していて。よく飲みにも行ってます。
MASATO:俺もMinnesotahはイベントでよく会うね。あとはKIKUMARU、Ryohu、Neetzかな。たまに飯も行ってるよ。
まだKANDYTOWNとして繋がっているのは、リスナーである自分としてもすごい嬉しいな。そろそろ時間になるけど、最後に2025年の展望をお願いします!
MUD:去年は楽曲をあまり出せなかったので、今年は精力的にリリースしたいです。あと、海外に全然行けてないので、たくさん行きたいですね。
MASATO:俺も今年はMIXを出したい。DJとしても、地方のイベントとかにも出演したいな。あとはさっき話したレゲエイベントをMUDとやりたい(笑)。