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  3. 今日も、またラコステを着て。
  • JOURNAL STANDARD、JOURNAL STANDARD relume、ÉDIFICE、417 ÉDIFICE 。
    この春、ベイクルーズの4つのメンズブランドが、フランス発祥のプレミアムファッションスポーツブランド・LACOSTEとの別注ウェアをつくりました。4ブランドの世界観や今季のトレンドを滲ませた8枚の別注品は、「ポロシャツ」「鹿の子生地」「ワニのロゴ」といったディテールも“らしい”ようで、ちょっと違う。それを着て過ごす日常の、さまざまなワンシーンを切り取りました。

    朝7時。
    起き抜けに淹れたコーヒーの2杯目を飲んでいる。
    たまには早起きをして、仕事までの時間を有意義につかおうと思ったものの、頭とからだが、シャキッとしない。昨日、思いのほか遅くまで飲みすぎてしまったのがいけなかったか……。 ふと思い立って、買ったばかりの白い襟つきのポロシャツに着替えてみる。部屋着と外着のあいだくらい、ルーズでジャスト。いくらか気分が晴れてきた。
    コーヒーもやっと、効いてきたのかもしれない。

    10年前から変わらない。
    つい、袖を通すのはネイビーだ。
    自分の肌にいちばんよく馴染む気がするし、どこへ着て行っても恥ずかしくない。新品を着ると、生地が際立つし、着込んだときにもそれなりに見える。 「いいですね」って周りから言われたりするのも、決まってネイビーを着ているときな気がする。
    今日も、それ待ちだったりするのは、内緒だけど。

    分厚いに越したことはない。
    ニクも、カノコも。
    とか、格言めいたことがよぎったけど、撤回。
    正直、いい歳になって、分厚い肉には気後れすることもある。やっぱり量より、質だろう。それに、肉と鹿の子に共通点なんてあるはずがない。鹿じゃなくてビーフだし。 久々の休日にうまいハンバーガーを食べて、きっと、ちょっとハイになってる。

    東京に、“コンクリートジャングル”ってイメージはない。
    むしろ、小さな公園なんかは意外と多いくらいだ。公園を歩くと、家族づれやカップルも多いけど、ひとりで過ごすひとが、いつも気になる。 決まったベンチに座り読書をするひと、早朝からランニングで汗を流すひと、黙々と風景画を描くひと……。普段はなにをしているひとたちなのかわからない。 でも、職場や家庭の役割から解放されてか、それともたんに季節柄か、心なしか、みんな気分がよさそうだ。
    自分も、そのひとりか。

    何周目だろう。
    最近また、パスタ・ブームがきていて、昼夜問わずつくってしまう。パスタは、まず、少ない道具で、さっと時間をかけずにつくれるのがいい。 わざわざスーパーに行かなくても、その日ある食材だけで済ませられることも多いし、むしろそうやって“あるもので”つくることにこそ、腕が試されているようで、俄然やる気が出るんだ。そういう創意工夫には、洋服のコーディネートを考えるのにも、じつは似ている気がする。

    「オン・オフ」なんていうけど、世の中には、きっぱり分けられないことだらけだ。今日一日だってそうだった。 朝起きてダイニングでコーヒーを飲んでいたら、頭ではずっとカーテンのシミが気になっていて、掃除をはじめたはいいものの、足りない道具が見つかって、ドラッグストアへ調達に。 なぜか買ってきたのは全然関係のないもので、おまけに気分もすっかり変わって、結局、映画を観たり、本を読んだり。そのあいだも、猫が寄ってくると、つい構ってしまうし。曖昧さを、許せるようなオトナでいたい。......そろそろ洗濯物を取り込まないと。

    さっきの話の続きだけど、
    手をかけないのも、手が込みすぎるのも、なんか違う。
    そんな風に思うこともある。
    じゃあ、シンプルなものとシンプルなものを掛け合わせるとか?
    そうそう、これくらいがちょうどいいかもしれないな。

    ワインが好きだ。
    最近は、日本食も洋食も、中華だって、とにかくワインにこだわっている店が豊富で、飽きない。
    飲んでいるとそれなりに詳しくなってもくるけど、だからこそ、振る舞いには気をつけている。ワインのことは、「楽しんでいるけど、ほとんど知らない」くらいがちょうどいいと思うんだ。
    ジャケットの着こなしについて、あるときから、「正しくても、正しくなくてもいい」と思えるようになったのと同じ。意思やこだわりがないのはカッコ悪いけど、“こうじゃなきゃ”って、頭でっかちにもなりたくないよね。

    Photo_Ryohei Ambo
    Movie_Daiki Kikkawa
    Styling_Kazuro Sanbon
    Model_Ikken Yamamoto
    Text_Masahiro Kosaka【CORNELL】
    Edit_Ryotaro Miyazaki