- Octopus? Squid? No,I’m a Man.
何本あっても足りやしない。
タコやイカではない。そんなことはわかっているのに、何本も買ってしまう。毎日だって穿けるベーシックなやつも、毎日は穿けないが常にスタイリングに新鮮味をプラスしてくれる曲者的なやつもすでに持っているのに、飽き足らずに何本も買ってしまう。メンズファッションにおけるボトムスとは、いつだってそういう存在だ。満たされない想いを胸に、新たな1本との出会いに飢えている人もそうでない人も、きっと欲しくなってしまう6つのアイデア。
Photo_Shuhei Nomachi
Styling_Takuya Raita
Grooming_Kei Kouda
Model&Text_Nozomu Miura
Lead Text&Edit_Nobuyuki Shigetake1
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ベイクルーズがこよなく愛するブランドに、特別なオーダーをおこなう。そうして生まれるのが、ベイクルーズの “別注” アイテム。ここでは、そうして生まれた無二の別注パンツにフォーカス。お互いのこだわりが形となって表れたスペシャルアイテムに、ぜひともご注目あれ。
Dickies × 417 EDIFICE
一本持っておけば、絶対に間違いないパンツ。初手からこうも過激な表現を使ってしまうのは少々気が引けるけれど、それでもそう言いたくなるほど便利な一本。〈フォーワンセブン エディフィス〉が〈ディッキーズ〉に別注したスラックスは、程よいゆとりと品の良さが大きな特徴だ。
Needles × WISM
ブルー&オレンジ、ニューヨークの色。〈ニードルズ〉が誇る傑作トラックパンツに、〈ウィズム〉リクエストのニューヨークカラーを取り入れ、軽快にアレンジ。陽光穏やかな春にも、日照りがギラつく夏にも、きっとついつい「気分なんだよなぁ」なんて思いながら、自然と手に取ってしまいそう。晴れの日がもっともっと好きになる、そんなパンツ。
EDIFICE × CALMER
“青空パンツ” と名付けてみたい。〈カルメール〉の人気アイテム・ナチュラルダイ パンツに、サックスブルーのムラ染めを施した一本。その染料は、ラピスラズリー(ターコイズ)の石を砕いて作られているのだとか。自然に対する敬愛がパンツの形を取った、そんな小さな奇跡のようなアイテム。ちなみにアイディアソースは、パラシュートパンツなのだそう。どこまでも “空(そら)” がよく似合う。
UMBRO
× JOURNAL STANDARDUKフットボールシーンで使用されていたウォーミングアップショーツ(試合前のウォームアップ用パンツ)を街でも楽しめるようアレンジした、〈アンブロ〉と〈ジャーナルスタンダード〉による一本。水陸両用の仕様を取り入れ、春だけでなく夏のアウトドアシーンでも大活躍必至のアイテムに。どの色を選ぼうか、たまらず迷ってしまう。
blurhmsROOTSTOCK
× L’ECHOPPE1960年代から今にいたるまで、数多の好事家から愛され続けている “アーミーチノ” をベースに、1950年代頃の洋服に見られる “シンチバック(ウエスト裏の小さなベルト)” を採用した、〈ブラームス〉と〈レショップ〉のチノワークパンツ。静謐な煌めきを持つ綾織コットン生地が、装いに品性をプラスしてくれるはず。やっぱり僕たち、いつでもどこでも、なるべく品良くありたい。まずは、パンツから、上品な自分を始めましょう。
BERNARD ZINS
× EDIFICE至極端正な白のパンツが、やっと見つかった。〈エディフィス〉がパートナーとして声をかけたのは、フランスの高級パンツ専業ブランド〈ベルナール ザンス〉。ゆとりのあるヒップラインと、大胆に広げられた裾のデザインは、歩みのたびに僕らの心を満足させてくれるはず。ちなみにモデル名の「BELLECHASE」は、パリの通りの名前に由来するのだとか。これが本場の “エスプリ” に違いない。
Kappa
× JOURNAL STANDARD
relume〈カッパ〉のフットボールゲームパンツを、少々ワイドにアレンジ。男女が背中合わせに座った “OMINI(オミニ)ロゴ” や、それを反復させた “BANDA(バンダ)” のモチーフをパンツと同色にすることで、シックなムードを醸す一本に。「実はこのパンツ、カッパなんだよね」なんていうセリフを言いたくなる、かも。
いつだって僕らは “おトク” の3文字にめっぽう弱い。ちょっとだけ値が張るリバーシブルのアイテムを手にすれば「1着で2度おいしいから……」なんて言い訳をしてしまうぐらい。ここでは、そんな僕らにぴったりなパンツたちをご紹介。革靴にもスニーカーにもマッチする “一石二鳥” のアイテム、揃ってます。
シックであり、ラフである。〈ジャーナルスタンダード レリューム〉のプロセシング アッシュデニムパンツは、高度な二律背反をいとも軽快に表現してのける。エレガントなセミワイドシルエットに、裾の切りっぱなしやペンキ加工を乗せた、小気味良いデザイン。言うだけ野暮かもしれないけれど、革靴にもスニーカーにも、ぴったりだ。
〈グラミチ〉と〈ジャーナルスタンダード〉が手を組んで作り上げたのは、デュラブルナイロン製の6ポケットカーゴパンツ。タフなデザインとしなやかな素材感がマッチする “傑作” である。革靴に合わせるなら、裾をそのままにしてみる。ボリューミーなスニーカーを合わせるときには、きっと裾のコードを絞ってみるのが良さそう。
〈ハウスホールド〉のヴィンテージ スーピマカーゴパンツは、とにもかくにも便利な一本。カモ柄パンツはどうしても屈強な見た目になってしまいがちだけれど、こちらは幾何学模様を集めたような “デジタルカモ” だからこそ、あまりにミリタリー然としすぎないのがポイント。ビーンブーツでオーセンティックに、ハイテクスニーカーでY2K的に、少々かけ離れた2つのテイストにも合うなんて、最高じゃない?
“素材” をもとに、パンツを選んでみる。それって結構、乙かもしれない。春風に舞うリネンレーヨン、ふんわり柔らかなラムレザー、撥水加工のナイロンに、テックな趣のナイロンポリエステル。目新しい素材のパンツで、いざ、風流に。
ポリエステルとナイロンをかけ合わせた特殊なマイクロファイバーの生地に、超高収縮加工を施したという、きわめてテックなディテールを持つカーゴパンツ。特殊な加工がなされた糸を使用し、高い防水性と透湿性を叶えているのだとか。男心をくすぐる一本、ぜひともお試しを。
ふんわり柔らかなラムレザーを使用した、〈ジャーナルスタンダード〉のレザーショーツ。一見、合わせ方がむずかしそうにも感じられるけれど、身につけてみると案外すんなりハマってくれるアイテム。シックなムードのシャツもよし、あえてラフなスウェットシャツなんかも、とびきりマッチするはず。
イタリア軍のホスピタルパンツをデザインベースに、軽やかなリネンレーヨンの素材でアレンジ。春、少し強めの爽やかな風に揺れるパンツ。粋でいなせに、開襟シャツを合わせてみても面白いかも。見れば見るほど欲しくなってくる(注:筆者もきっと買います)。
凡庸、すなわち平凡。とりえのないさまを表す。ブラックのパンツは、事実、そうじゃない。汎用(はんよう)。一つのものを広くいろいろな方面に用いること。つまるところ、とびきり便利だ、ってことなんです。
黒のパンツに、カーディガン。シンプルながらも主張のあるグラフィックTシャツを合わせて、さっぱり潔く。これこそが、春服の正しい方程式なのかもしれない。スッキリめのパンツ丈は、春の軽い足取りにぴったり。お気に入りのローテクスニーカーを合わせたら、爽やかな春風に吹かれつつ、ちょっと遠くへ出かけてみようか。アウトドアストリートの香りをまとうコーディネートにも、黒のパンツがとびきりマッチする。スニーカーのラインからパンツ色を拾いつつ、装い全体に統一感を。ちょっと奇抜なキャップのカラーも、パンツのブラックのおかげで全然嫌味じゃない。軽妙なクラシック、そんなムードを醸すスタイルにも、黒のパンツが至極有用。テーラードジャケットに合わせるのもイケるなんて、ちょっと便利すぎやしないだろうか。昔ながらの純喫茶にも、ともすれば、ちょっと良い雰囲気のレストランにだって行けるかも。汎用性特A級のブラックパンツ、やっぱりすごい。前述のテーラードスタイルから一転、スカジャンにもしっかりハマるブラックパンツ。「汎用性S級」と改めましょう。パンツに黒を選ぶことで、一見派手なアウターでもすんなり着こなせる。レザーサンダルでほんのり抜け感をプラスすれば、適度にこなれたナイススタイルの完成。デニムシャツにボーダーカットソー、マウンテンブーツに合わせた、黒のパンツ。お手本的なスタイルでこそ、その魅力は静かに光る。名脇役としてのブラックパンツが全体のカラートーンをしっとり落ち着かせてくれる、春コーディネートの好例。この服装、相当いいなぁ。アウトドアムードがしっかり香るサンシールドキャップに、ざっくり編んだパジャマシャツ。足元にはリラクシングなサンダルを合わせ、ゆるさの残る、くだけたムードの装いに。ここで下半身をグッと支えるのが、キャップと同色のブラックパンツ。コーディネートのテーマカラーをブラックに定めれば、シャツの大きな柄がイヤに目立ちすぎない。編み上げブーツに合わせた黒のパンツ、インナーのポロシャツ、エレガントなサングラス。優雅さを演出するそれら3点で、カバーオールが持つペイントの意匠を品良く昇華。ブラックのパンツを少しだけロールアップして、ダブル仕様のようにアレンジしたのもポイント。ほら、ここでもブラックのパンツがひっそり大活躍している。柄のパンツは、正直言って、むずかしい。なんとなく単色のパンツを選びがちなのにも納得である。今年の春こそ、ちょっと背伸びして柄のパンツにチャレンジしてみるのもきっと良いだろうな。なんたって、新生活の春なんだから。とびきりユニークな柄パンツが、僕らを待っている。
1どこかオリエンタルなムードが感じられる、〈ジャーナルスタンダード〉のオリジナルパンツ。あえてシンプルなスタイルに取り入れてみたい一本。装いの主役になってくれること請け合い。2全体にリバティ柄を採用しつつ、リップストップ生地やミリタリー的シルエットを掛け合わせたという、なんとも不思議で魅力的なパンツ。本来ならカモ柄が入りそうなところに、よく見るとお花や木々の柄たちが。これはなんとも味わい深い。3ボールドストライプの中に細やかなフラワーが散りばめられた柄の一本。柄on柄の要領で、ピッチの細かいストライプ柄をトップスに取り入れるのが、きっと面白いかも。4米国のDigital Concealment Systems社が開発した次世代迷彩A-TACS(Advanced Tactical Concealment system)をしたパンツ。淡い色味とタッチは「いかにも迷彩!」といったムードでなく、どこか水墨画のような美しさを誇る。ぼんやりとも確かに存在する、“着こなしのルール”。自分のルールと世のモラルみたいなものを折衷させること、それこそすなわち “オシャレ” なのかも。せっかくならオシャレだと思われたい、そんな気持ちも嘘じゃない。ここでは、積極的に取り入れてみたいワイドパンツのナイスな着こなし術をご紹介。
ゆるやかに伸びるAラインシルエットを味わえるパンツのはずが、ミドル丈のコートがそのデザインを隠してしまっている、一例。足元に合わせたスリムなスニーカーも、なんだかちょっと頼りない。もうちょっと、改善の余地がありそうだ。
パンツの意匠を活かすなら、短丈のアウターを合わせることで、コーディネートにコントラストを加えてみるのがベター。ストンと落ちるワイドなシルエットが強調され、なんともこなれたムードの着こなしに早変わり。足元にはパンツと似た色味のボリューミーなシューズを合わせて、裾まで伸びるAラインシルエットを強調してみよう。どんな人でも取り入れやすい、トレンド感のスパイスを楽しんで。