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時計もステーキのように。

  • 〈CITIZEN(シチズン)〉は「10時9分35秒」、〈ROLEX(ロレックス)〉は「10時10分31秒」、〈OMEGA(オメガ)〉は「10時8分37秒」、〈SEIKO(セイコー)〉は「10時8分42秒」。

  • これ、なんのことだか分かりますか?

  • 正解は、時計の商品画像が示している時間です。(※諸説あります)

  • 商品撮影に関わるカメラマンや、時計関連のお仕事に従事されている方はよくご存知でしょう。しかしながら、業界でルールとして設定されているわけではなく、基準となっているのが、各ブランドが思う「シズル感」だそう。

  • シズル感とは、もともとは広告写真、とくに料理写真の現場で使われた、みずみずしさを表す言葉。肉汁が滴り落ちるビーフ・ステーキ、泡が弾け踊るドラフト・ビール、 脳をも溶かすミルク・チョコレート(?)……それらの可視化と考えると、腕時計で言うところのシズル感は、止まっていても時間の流れを感じさせる、といった具合でしょうか。

  • この短針・長針・秒針の三針の配置バランス、各ブランドごとで異なっているのが面白い点ですね。美しさに定義はありませんが、それでも最大2分程度の差しか出ていない、というのはつまり、現状の正解はほぼこの辺り、ということです。こうなると、どこかのブランドが「2時59分11秒が一番美しい!」とか言い出しても、浸透までには気が遠くなるほどの時間がかかりそうですね。

  • さて、冒頭で、〈シチズン〉は「10時9分35秒」とお伝えしましたが、例外もあります。というかこのブログを書き、画像を入れようとした際に気が付きました。

  • JOURNAL STANDARD

    CITIZEN / シチズン 別注 1984chronograph

    ¥33,000

  • 10時9分00秒。

  • こ、これは、クロノグラフ(アイボリーの文字盤に乗った、黒くて小さい3つの文字盤)であることが理由かと思われます。クロノグラフとは、簡単にいうとストップウオッチ機能ですね。あまり使うことはなさそうですが、このギミック感満載の見た目にはどうしたって惹かれます。

  • そもそもこのモデル、1984年に発売された多機能アナログ・クオーツ・クロノグラフ『スポルテ MS』をベースに、現代的なアップデートが施されたポスト・ヴィンテージ的な一本であるわけで、少々前時代的なデザイン・アプローチの腕時計を現代の嗜好品として楽しみましょう、という建て付けになっているわけなので、商品写真上の35秒のタイムスリップはむしろ自然なのかもしれませんね。

  • JOURNAL STANDARD

    CITIZEN / シチズン 別注 1984chronograph

    ¥33,000

  • いささか見苦しい言い訳を重ねてしまいましたが、見てください。昭和の熱気溢れる日本で男たちの手元を支えてきた、このいぶし銀なルックス。80〜90年代の国産ヴィンテージウオッチ好きにも刺さるであろう、硬派さとレトロさの的確なミックス具合。個人的にも、興味が湧いています。