山下達郎は夏でも長袖のシャツしか着ない。
編集の重竹です。今回は敬体(です・ます)ではなく、常体(だ・である)でいきます。
夏季休暇を利用して大阪に行った。目的は山下達郎さんのライブ『PERFORMANCE 2023』。長年、ライブに行きたい、行かせてくれ、と願い続けるも東京会場は何度も抽選にフラれ、大阪公演狙い撃ちでようやく……チケットが取れたというわけだ。
会場は肥後橋のフェスティバルホール。クラシックのコンサートなどで使われるホールらしく、そんなハイソな趣味がない自分としては、とにかく初めて体験する音響。音が上から降り注いでくるというか、言葉では説明が難しい感じ。山下達郎さんが音楽のために作られた会場でしかライブをしないのは有名な話。東京ドームや日本武道館はキャパはデカいけど競技用だからね。ライブについては当然かなり良かったわけだが、僕のような若輩者がアレコレ論評するのは身の程知らずにも程があるので、割愛する。
『PERFORMANCE』というライブタイトルについてもいろいろ考えてしまう。テーマや建前などアレコレが省略された潔いタイトル・ネーミング。ちなみに、氏のライブは、演奏と唄に集中するためか、ツアー中の公演全てMCの台詞まで決まっているそうだ。プロすぎる。「ライブは生き物だ!」などと抜かすドヘタ・パンクバンドは自身の修練の未熟さをそれらしい言葉で正当化せず、一生パワーコードだけで曲を作って、タバコ臭い地下のスタジオに閉じこもっていてください……(個人の意見です)(特定のバンドを攻撃するものではありません)。
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ところで、あまりメディアに姿を見せない山下達郎さんだが、基本、夏でも長袖のシャツしか着ないらしい。半袖が似合わないから、Tシャツが似合わないから、というシンプルな理由だったと記憶している。
半袖シャツのアダルト・チャイルド(子ども部屋おじさん?)な感じは個人的には好きだが、使い勝手が良くないのも事実。なにせ、着られる時期が短い。一方で、長袖のシャツなら肘下くらいまで捲れば夏でも着られないこともない。あれ? つまり長袖のシャツに絞れば買い物の数も減るし、地球にとっても財布にとっても都合が良いってこと? 通年着られそうで飽きがこない、タイムレスなシャツはないですかね? そんなことを考えていた折に、ちょうど良さそうなシャツを見つけた。
トーマスメイソン地のシャツは日頃から某ドメブラのものをよく着ているので、素晴らしいクオリティであることは知ってる。しかしながら、その上で、天邪鬼な点もある。それは、一度洗うと強烈なシワが出ること。そして、不思議なことに、シワがよく似合うシャツであること。
買ってすぐは表面に糊(のり)がついているのでパリっとしているが、細い糸で高密度に編まれた繊細なブロード生地は、洗うことで結構厄介なシワが出る。それを正当化するために洗いざらしで着ることを推奨する意見も目にするが、個人的にはさすがにガチの洗いざらしではちょっと着られない。スチーマーで全体をならして、ヨコ方向に入ったシワだけはなるべく綺麗に取り除くようにしている。ちなみに、洗濯時に脱水を短くしてハンガーで吊ると、自重でシワが伸びて自然な風合いになる。スチーマーさえ面倒な人は試してみてほしい。
シーンにもよるけれど、自然なシワが出ているくらいのほうが、もとい、”シワがあることが自然に見える洋服”のほうが、日常着として成立しているのではないだろうか。シャツも男も少しくらいシワがあるほうが、自然体だし、色気があるってもんです。
余談
大阪、アメ村、といえばニューライトのセイロンカツ。わざわざ旅行客が食べるような味ではなくて(褒めている。地元のソウルフード、という感じで)、好きだ。
大阪に行ったら必ず太陽の塔へ参拝に行く(太郎さんのエネルギーをもらうため)。近くで見るとデカい、というより太い。期間限定でライトアップされていた。かなりのラスボス感。
氏のスタイルを見ると、決まって長袖のシャツを肘下までロールアップして、ジャストフィットなジーンズにイン。ロングヘアにニットキャップ。雑コラで申し訳ないが、これはだいぶ達郎感あるのでは?
(※ちなみに、近年穿いている濃紺のジーンズは〈EDWIN(エドウイン)〉の『402』だそう。それ以前は〈BIG JOHN(ビッグジョン)〉の『305』や〈Levi’s®︎(リーバイス®︎)〉『606』のブラック。なぜそんなに詳しいか? 長年にわたって氏のラジオを聴いているからです。)