メゾン マルジェラ の「名作」 ジャーマントレーナーについて
TABIに次いで、マルジェラを語る上では外せないシューズがあります。
ご存じ、’Replica’スニーカー「ジャーマントレーナー」です。
白色ベースの細いシルエットに、グレーのスウェードやベージュ系ソールを合わせたデザインが、
上品なクラシカルを演出し、まさに大人にこそふさわしいローテクスニーカーの筆頭とも言える一足。
しかしながら、このジャーマントレーナーはマルジェラが開発したオリジナルのスニーカーではありません。(ご存じと思いますが…)
1999年に誕生し、これまで様々なカラーとスタイルで再解釈させられてはいますが、
あくまで「’Replica’スニーカー」と呼んでいるのもオリジナルへのリスペクトの念が強い証明。
ぜひ、ご一読ください。
そもそも「ジャーマントレーナー」とは、
1970年代~1994年のドイツ軍で実際に採用されていたトレーニングシューズの通称です。そして同時に、このドイツ軍のトレーニングシューズを“元ネタ”にして生み出されたローテクスニーカーの通称でもあります。
そして、ジャーマントレーナーに関して特徴的なのが、
特定のブランドが展開しているモデルというワケではなく、様々なブランドから「ジャーマントレーナー」というタイプを展開している事です。
どのメーカーも「ジャーマントレーナー」を基に、ブランドコンセプトや“こだわり”を込めて制作しています。
その中でも最高峰とも呼ばれるのがマルジェラの一足。
ではどんなところが最高峰なのでしょうか?
まずはその素材。
ラムスキンとイタリアンカーフレザーのスウェードパーツ、レザーのインソールで仕上げられた、世界で最も贅沢な「ジャーマントレーナー」とも呼べる贅沢な仕様。
一般的なジャーマントレーナーの革質といえば、固くドライな質感のレザーに対し、
マルジェラのジャーマントレーナーの革質は、しなやかでしっとりとした質感。
インソールもレザーソールになっている為、履けば履くほどに馴染んでいく。
この贅沢感はオリジナルのジャーマントレーナーや、他のブランドからリリースされるソレでは味わえないモノ。
また、シュータン部分にマルジェラのシグネチャーであるカレンダータグとヒール タブにはシグネチャのホワイトのステッチが。
こういう奥ゆかしさある主張こそマルジェラらしいのかもしれませんね。
価格帯も相まって、いわゆる“高級ジャーマントレーナー”を購入したい人にとって高い満足感が得られるポイントといえるでしょう。
更にシュータン裏にわずかに見えるゴムバンド。
内側で足がしっかりホールドされるので、シューレースを外してスリッポンとしても履けます。
トレーニングシューズを紐なしで履くというアイロニーとも取れるユーモア。
この仕様もマルジェラならでは。
いわゆる「ハイブランド」から発表されるシューズのほとんどは、
ピカピカでないとカッコつかないもの。
そんな中、マルジェラから発表されたこの“replica”スニーカーは唯一、
「ハイブランド」が発表したにも関わらず、
クタクタになっても、クタクタになってこそ美しい一足。
(ペンキなどで汚した仕様もありますしね…)
著者としてはこの一点が最も素晴らしいポイントだと思います。
ぜひ履き込んでご自身だけの一足に仕上げてください。
オリジナルカラーはもちろん最高ですが、
ワントーンカラーもオススメです。
シックなブラックは革靴代わりにスーツに合わせる洒脱な方もいるとか。
実はマルジェラが’Replica’スニーカーを制作する前は、
ヴィンテージやデッドストックの本家ジャーマントレーナーをペンキで加工したりして、メゾンで取り扱っていたそう。
この’Replica’スニーカーは白のペンキで塗りつぶしたジャーマントレーナーを彷彿とさせますね。
あくまで「’Replica’」と自称するのも、
ファッション業界に生きる者として、そしてデザイナーとして、
コピー商品とオリジナル商品の区別をつけることが大切だと考えた、マルタン・マルジェラの哲学ゆえ。
(一部に世に対する皮肉も含んでいるとは思いますが…笑)
マルジェラが偏愛するモノに敬意を込めて呼ばれる ’Replica’ は非常にファンも多いシリーズ。
まずはスニーカーから、マルジェラの沼に浸かってみてはいかがでしょう?
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