2022年の視点で’90sの再解釈を。 レトロで新しい、別注アウトドア
エディフィスがものづくりをする上で大切にしてること、届けたいことを毎週月曜日に投稿する”ÉDIFICE LETTER”。
モノの良さだけでなく、作り手の想いを込めたエピソードをお便りに載せて皆様にお届けします。
2022年の視点で’90sの再解釈を。 レトロで新しい、別注アウトドア
いつの時代も、文化やムーブメントの価値を高めるのは決まってその中にいなかった人たちです。
英国のモッズやパンクも、アメリカのスケートボードも黎明期のシーンにいたのは純粋にそのカルチャーに傾倒していた人々で、世間的な評価なんて気にしていなかったでしょう。
ポートランドのDIY精神だって、日本の細やかなものづくりだって、ごくごく自然な歴史の上で出来上がったもので、「これが世界で流行るはず!」なんて打算はその成り立ちにはありません。
ここ数年で再評価が進んでいる’90年代のファッションやポップカルチャーも多くの場合はリアルタイムで経験していない人々が、そこに面白さを見出した結果で再燃したもの。
実際に経験した人にとっては当たり前のことでも、後からそれを知った人にとってはとにかく衝撃的で、どうしようもなく魅力的だったりするものです。
今季エディフィスが別注をかけたアウトドアプロダクツのバッグもそんな’90年代という時代の、特に「渋カジ」と呼ばれる東京のアイコニックな文化を象徴するアイテムのひとつです。
企画した佐々木大地は’90年代に青春を過ごした世代ですが、自身は横浜育ちで渋カジシーンの存在は知りつつ、その盛り上がりを遠巻きに見ていたクチ。
そんな視点から、「当時の渋カジにもしもこんなアイテムがあったなら……」とつくり上げたのがこのコレクションです。
人気のロールボストンを大小異なるサイズでピックアップし、デイパックの不朽の名作、「452」も加えた3型での展開で、素材は絶妙なレトロさを醸すPVCコーティングのフェイクレザー。
そこに配したちょっとだけギラつくメタルのプレートは今回の企画のためにイチから作ったもの。
このブラウン基調の配色に裏地のコットンライニングの質感やトーン。
どこか高級ラゲージの代名詞たるフレンチメゾンを思わせるこの表情ですが、もちろん狙ってやってます。
バッグメーカーとして、確かな歴史と背景を持つアウトドア。
でも、当時の渋谷のムードを宿すとしたら、どこかブートレグ感のあるこんなアプローチなんじゃないでしょうか。
当時の熱量を経験してきた人たちが頷いて、当時を知らない人たちが楽しんでくれたなら。
そんなことを想像しながらできた3アイテム、ぜひ触れてみてください。