【EDIFICE Le 27 Decembre 2021】
エディフィスがものづくりをする上で大切にしてること、届けたいことを毎週月曜日に投稿する”ÉDIFICE LETTER”。
モノの良さだけでなく、作り手の想いを込めたエピソードをお便りに載せて皆様にお届けします。
名作の魅力は性差を超えて 別注・マッキントッシュの最新作
日本を代表するデザイナーズブランドが、“少年のように”という意味のフランス語を名前に関してからはや数十年、今では女性がメンズの服を着るなんてことは、ごく普通のことになりました。
それでも、その逆のパターンというのはあまり聞きません。
だからこそ、今回挙げたマッキントッシュは少なからず異彩を放っています。
傾斜した大きなフラップポケット、お尻が隠れるくらいのショート丈。
この特徴的なコートは、マッキントッシュのウィメンズでは指折りの人気を誇る傑作、“ハンビー”をメンズ仕様にアレンジしたもの。
2022年1月1日(土) 販売開始
事の発端は昨年の冬に遡ります。
エディフィスのバイヤー、大瀧はずっと考えていました。
「バサっと羽織れる長いコートは確かにカッコいい。でも、ここ数年そんな格好ばかりしすぎたせいで、ちょっとだけお腹いっぱいになってきたな……」と。
さらっと着られる短めのヤツが欲しい。それも、コートの本命のマッキントッシュで。
大瀧のハラは決まりました。
後はいつものようにブランドさん側に想いを伝え、苦笑いしつつも付き合ってくださる皆さんに、ひたすら甘えるだけです!
「丈が短いと言っても、やっぱりベースは定番のロングコートの“ダンカン”で!襟はこうで、シルエットはこんな感じが良いと思うんです」。
マッキントッシュの皆さんは思いました。
「……あれ? これ、もはや“ダンカン”じゃなくて“ハンビー”に近いんじゃね?」。
それを伝えられた大瀧も思いました。「確かに」と。
そんな経緯で、エディフィスでも馴染み深いダンカンをいじくり倒した結果、晴れてまったく別のウィメンズモデルで初のメンズ化を果たすという謎の偉業が図らずも果たされました!
もちろん、ただウィメンズを大きくしただけではありません。
大胆なドロップショルダーは自然な落ち具合へと調整され、袖口のストラップはすっきりとした細めのものに変更されています。
素材もインラインには無いネイビーのチノクロスとデニムの2種類。
「せっかく短丈にするなら、いっそカバーオールのようにしてみよう」という大瀧の遊び心で、少しだけワークテイストを添えた形です。
そして、最大のポイントはボタンです。
普段の“ハンビー”はクラシックな4つ穴のホーンボタンですが、今回の別注ではメタルの刻印入りタックボタンに置き換えたことでほっこり感は控えめ、よりシャープでモダンな表情になりました。
もちろん、優しげで上品なオリジナルの魅力はそのままに。
ジェンダー的平等の重要性に世界中が気づいた現代では、女性らしい服、女性的なスタイルといった形容は安易にはできません。
だけど、ことファッションにおいてはメンズとウィメンズとでは異なるルーツやヒストリー、世界観があるのは確かです。
その違いから目を逸らすのではなく、それぞれが互いをよく知って、尊重し合うことこそがジェンダーギャップ解消の一助にきっとなるはず。
この“ハンビー”に袖を通してくれた人たちが普段とは違う価値観や、新たなお洒落の楽しみに気付いてくれたなら、世の中が少しだけハッピーになるんじゃないだろうか。
僭越ですが、私たちエディフィスはそんな風に思っています。