【ÉDIFICE Le 12 Decembre 2021】
《毎週月曜日更新!!》
エディフィスがものづくりをする上で大切にしてること、届けたいことを毎週月曜日に投稿する”ÉDIFICE LETTER”。
モノの良さだけでなく、作り手の想いを込めたエピソードをお便りに載せて皆様にお届けします。
英国の重鎮によるアートワークで カルチャーの面白さに立ち返る
ことファッションにおいて、自己主張はすごく大切な要素です。
それはむやみに目立つということではなくて、その人の趣味趣向や人となり、考え方や好きなもの、ひいてはスタイルを、黙して語るということ。
好きな映画やアート、思い入れの深い都市。そして、好きな音楽。
自分の服装で何を標榜するかは、もちろん個人の自由です。
唯一のルールがあるとすれば、そこに嘘がないことだけ。
そんな視点で今回のアイテムについてお話しする上で、まずはエディフィスのディレクター、中山の個人的な思い出について触れさせてください。
あれは2009年の夏、7月24日の苗場でのこと。
土砂降りの中、中山は人並みにのまれながら今か今かとその時を待っていました。
そう、フジロック1日目のヘッドライナー、オアシスのステージです。
ついにやって来たその瞬間、現れたリアムはくたびれたモッズコート姿でこれぞ英国のロックスターという風格! 圧巻のアクトだったと中山は言います。
奇しくも翌月にノエルが脱退を表明し、それがオアシス日本最後のライブとなり、中山の中ではますます印象深いメモリーレーンとして刻まれることに。
前置きが長くなってしましたが、今回挙げたスウェットがすべて英国のクリエイティブエージェンシー、マイクロドットが手掛けたアートワークだというのがその理由。
クリエイティブディレクターのブライアン・キャノンが率いるこの集団、誰もが知るオアシスのあのロゴをデザインし、レコードジャケットなどを含めた‘90年代の同バンドのアートワークをすべて手がけたのが、何を隠そう彼らです。
そんな個人的な思い入れにも後押しされオファーし、今回マイクロドットから正式にアートワークを提供してもらうことができました。
オアシスをフィーチャーしたものや、それとは音楽的ルーツが異なるものまで多彩なグラフィックを載せたスウェットは全部で数型。
本当のところ、中山はリアムも着ていたモッズコートに版を載せたかったそう。
しかし、提案した後にマイクロドットから来た返事は「それをやるならアメリカじゃなく、英国の古着じゃないと嫌だ」というものでした。
さすが伝説のバンドとともに歩んできたクリエイティブ集団、納得がいかないことにははっきりと「NO」と言います。
今回の制作のやり取りは決して簡単なものではありませんでしたが、彼らのそうしたアティチュードも含めて、出来上がったラインナップは本物と思える完成度と熱量とが同居したものになったと自画自賛しています。
「オアシスは手本なんかじゃない、正直者だ。それが俺たちのすべきことで、今だってそうしてる」 かつてのリアムのそんな言葉に想いを馳せつつ、このスウェットのデザインとバックグラウンドをぜひ、楽しんで!