【ÉDIFICE Le 13 Septembre 2021】
《毎週月曜日更新!!》
エディフィスがものづくりをする上で大切にしてること、届けたいことを毎週月曜日に投稿する”ÉDIFICE LETTER”。
モノの良さだけでなく、作り手の想いを込めたエピソードをお便りに載せて皆様にお届けします。
MACKINTOSH × EDIFICE
「もしかしたら」から始まった マッキントッシュのアナザーストーリー
一般的に“たられば”という言葉はあまり良い使われ方をしません。
例えば仕事でもしもの話ばかりしていたり、変えようのない過去にしがみついてばかりいたとしたら、「“たられば”ばっかりのデキないヤツ」なんてレッテルを貼られかねないでしょう。あぁコワい。
その点、ファッションの世界には夢があります。
何しろ、「もし、このブランドが過去にこんなことをやっていたら」とか「あの定番を、この名門が作れば」とか、現実味の無い妄想でもいっそ振り切ってしまえば一転して優れたアイデアとして、歓迎されてしまったりするわけですから。
そして、我がエディフィスのバイヤー・大瀧はそれが大得意。
多分、起きてる間はずっと非現実的な“たられば”をひたすら頭の中で量産しているはず。
その根拠のひとつが、このマッキントッシュのコートです。
今さら言うまでもなく、ゴム引きのコートがこのブランドの代名詞。
そんな名門が、タイロッケンコートを作っていたとしたら、というのが本作の起点になった大瀧の“たられば”です。
しかし、実はこのアイデア、まんざら絵空事でもないのです。
そもそも、マッキントッシュの創業は1823年。(なんともうすぐ200周年です! ビックリですよね。)で、トレンチコートの前身とされるタイロッケンコートは、1800年代の末ごろに軍用品として開発され、1912年にはバーバリーがその特許を取得しています。
今も昔も軍用品というのはその分野の旗手たる会社が生産を手がけるもので、すでに半世紀以上続いていた外套の老舗にその発注が行っていたとしても何ら不思議はないでしょう。
(事実、マッキントッシュには英国軍への納入実績アリ。)
「確実な裏は取れていません。でも、史実に残っていなくてもそのヒストリーを掘り下げて、アーカイブを見ていくほど、マッキントッシュはタイロッケンコートを作っていたんじゃないかと思えてくるんです」と大瀧。
ここまで本気になると、妄想癖というよりもはや考古学の域に達して来ているような気もしますが(笑)、もちろん当の1着は懐古主義とは無縁のモダンなつくり。
ポケットなどのディテールはマッキントッシュが実際に英国軍に納品していたモーターサイクルコートが元ネタです。
生地の段階で染めたコットンギャバを使い、ステッチの加減で少しユーズドライクにしている理由は、ここまででお話ししたプロダクトの背景からおわかりでしょう。
もし興味が湧いたなら、実際に袖を通してみることであなたもこの壮大な“たられば”話に乗ってみませんか?歴史の答えは出ないかもしれません。
でも、この1着をバサっと羽織ってロマンを語る出で立ちは、確実に“デキるヤツ”のそれだと断言しておきましょう!