【 VINTAGE HERMES 】シルクを楽しむ
WORLDLY-WISE 安藤です。
今回はHERMESのシルクスカーフ、Carre《カレ》をご提案。
アクセサリーを選ぶとき、素材のチョイスはけっこう重要。
いつもの金や銀もいいけど、たまにはシルクを手に取って、しっとりと上品な光沢を楽しめば、
その日はなんか、ちょっと大人で良いかもしれない。
シルク、アクセサリー、ときたら、必ず話に出るのがHERMESのCarre。
HERMESにとってCarreは、冠たるレザーバッグ群と肩を並べる伝統品の1つ。
彼等はCarreの製造に、もてる技術とアイデアを全て注ぎ込んでいる。と公言している。
精選されたシルク素材。
高い芸術性とストーリーのあるデザイン。
1枚2枚、もうすでに持ってる方も多いとは思うけど、やっぱりこれが一番いい。
”シルク”
シルク/絹は、ご存じカイコ繭からとることができる、天然繊維界で唯一の長繊維(フィラメント)。
軽いし丈夫で、主成分が皮膚と同じタンパク質だからめちゃくちゃ肌馴染み/滑りが良い。
しっとりと色気のある光沢や、キュルルルっていう絹鳴りの心地良い音も、繊維断面が三角のシルクだからこそ。
でも、素材全体が良質なシルクにだって、もちろん品質にバラつきはある。
他の素材と同様、養殖/天然あるあるに始まり、ひとつひとつ、生き物ならではの個性がある。
だからこそ、作り手の精選スキルが試されるのだけど、
HERMESの素材精選がいかに素晴ら…って話は、言うだけ野暮。って書いても誰も怒らないと思う。
もちろん、良い。
その良さは、素材に対して豊富な見識を備えてなくたって、例えば自分だって、体験すればすぐわかる。
目で見て手で触って耳で聴く事で、光沢と滑らかさと絹鳴りから、良質さを実感できる。
証言のユウザロックじゃないけど。
HERMESのカレに使われているのは、精選された良質シルクのツイル。
綾織りする事で、滑らかなシルクの肌触りが、より繊細に。
斜めの織り目は、巻き上げる時のバイアス畳みと並行になり、気持ちがいい。
手作業による、美しくも柔らかい、ルロタージュ仕上げも完璧だ。
”芸術性”
Carreには絵画のように、1枚ごとにタイトルとストーリーがある。
それは全モデルにおいて、短く明確で輝きがあり、デザインと同様に簡潔だが隙のないものばかり。
その、たった1枚の正方形で表現された芸術性は、映画にも匹敵すると称される。
そのように、Carreは、デザイナーたちとの出会いも楽しめる。
そして、実際にCarreを見ると、大抵の方は2度おどろく。
パーフェクトサントリービールと同じだ。
1度目は、実際に実物を手で広げて、その複雑な色情報を直で目に入れた時。
2度目は、巻き上げる事で完成する、そのパーフェクトな色味バランスを体験した時。
正方形を思い思いに畳んで、小さくしたりとか、細長くしたりとか、ときには雑に握ってみたりだとか、
色々やってみると、どこをどうとってもパーフェクトな色味バランスになる事が、よくわかる。
その芸術のゴールは、1枚の絵としての存在では無く、着用時にこそある。ということを身を持って知る事ができる。
装う人を美しく、楽しく、自由にする。というCarreのテーマどおりだ。
さいごに、
Carreを広げてそのデザインを見た時、”HERMESっぽくなくて良い”、と表現する方はとても多い。
誰が見ても即座にHERMESだとわかるポイントが大体はいっていたりはするんだけど、全体像でパっと見た時に、直感で“らしくない”、と感じる方が多い。
そういう方とそういう話になると大抵、”らしくないのが、らしい”。という着地をする。
革新的で挑戦的で遊び心を忘れない。そんな風にHERMESを称しているビックネームたちの気持ちがほんの少しだけ解ったような気になる。
自分自身そうだったので、そう思ってしまうのだが、もしかしたら、
シルクスカーフは自分らしくない、と思っている方もいらっしゃるかもしれない。
そんな方にこそ、HERMES同様に、らしくなさを楽しんで頂ければと思う。
最後までご覧頂きありがとうございました。