先日幼馴染のとあるデザイナーの実家にお邪魔してきた

彼とは付き合いが長くもう小学生の頃からの付き合いなので会話を重なている時間だけなら両親よりも長いかもしれない・・・

もう何十年も前だが服屋になりたての僕らはお金も無かったくせに生活費を切り詰めては洋服になけなしの給料をつぎ込み購入した戦利品の話や生意気にもお互いの洋服論をぶつけ合い毎日の様に連絡を取り合っていた

諸先輩方の教えとしてはそれが〝服屋〟というものの考え方だったらしく当時の僕らとしては借金をしてでも大好きな洋服に没頭することがかっこいい事だと思っていた

そんな彼との毎日のお酒のつまみは勿論豪華な食材を用意できるわけも無くお互いに買ってきた洋服を並べて毎日変わる"ネタ"を話すことだった

ネタは予め決まる訳ではなく飽く迄その日のノリである

お題目がデニムの日、僕はクローゼットからはLEVIS XX、66前期、ANATOMICA、KATO、FULLCOUNT,HELMUT LANG,RRLを並べる

横で彼は並べたデニムの縫製、パッカリングの話をしながらライターで綿糸とスパンヤーンとの燃え方の違いを実験中

『・・・こいつは僕の部屋で何をしているんだ？』

更にカバンからはデニム生地の端切れを用意

自宅で温度別に洗いをかけてきたらしく縮率の違いがその日の酒のお供だ

毎日毎日楽しい夜を語り明かしこの古着のここが好きだ！！このブランドの縫製は素晴らしい等、お金は無かったけど話明かした日はお腹一杯で僕らは床に就くのだ

彼の実家にお邪魔した際も部屋いっぱい(本当に信じられない位な程・・・)に積まれたパッキンを漁れば懐かしいモノが数多くく出てきたのだ

HECTICのスラブデニム、MOTIVEのターバン、TASのMANIA、ALBERT TURNER社のN-3B、EVIS jeans、COMME des GARCONSの縮絨JKT、JUNYAWATANABE × VANSON、TURNBULL & ASSER のターンナップカフス、ラルフローレンのXXLブラックボディのBD、ダンリバー社のSH・・・etc

所狭しと並べられた洋服達を見て30代を超えた僕らはまた「当時のこれは良かった！！あの頃はこれが良かった」と昔と変わらず同じ話を繰り返しては当時を懐かしむのである

大人になってもやってることは変わらないものである・・・

“NICENESS × L'ECHOPPE EX HOWARD”

これは過去の名品を復刻して、今の気分でつくる「アーカイブ別注」。自分たちが買い逃したものを復刻したいという思いから生まれた

HOWARDはミリタリーやワークなどのディテールがてんこ盛りされた創作パンツでNICENESSの名品である

『この名品パンツのデニムがあったなら・・・』

素材は1800年代のデニムのイメージに近づけるべく開発されたヘンプ混のオリジナルデニム

雰囲気抜群のオリジナルリベットとヘンプの起毛が古き良きビンテージデニムを彷彿とさせる

過去の名品の考え方、知識を見出すことで新しい物を生み出しているのである

これは単なる懐古主義の考え方ではなく総じてノスタルジーなモノづくりの結果なのだ

そこには懐かしさと新しさが融合された独特の良さがある

過去を模倣するだけでなく更に新しい文化を融和させることで生まれてきたモノなのだ




僕は “服屋とは” の昔の考え方が好きだし (かなり無理のあることは多々あるが・・・) 昔の洋服も大好きだ

でも新しい洋服に触れる事はもっと好きなのだ




民芸運動の父　NICENESS 郷裕一氏も満足の出来栄えではなかろうか


むむぅ・・・かっこいいデニムなのだ




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