YOSHIMI NAGAOxCITYSHOP Vol.4
【Conceptor片山の 物づくり、モノ語りBlog 】
-「人の感性」とコラボレーションをしたい-
正直な話をします。
ここ数年、世の中に物が溢れ過ぎ、無作為に沢山のお洋服を生み出すことに強い疑問を感じることがあります。でも…。
素敵な物に出会ったら(どうしても!)欲しいし、纏いたいし、心が高まる。
その企画創出は難しいけれど、苦労の分、幸福度はとてつもなく深い。そしてお店はそんな愛溢れるもので形作りたいと努めている。心から欲しいもの、変わらぬ価値のものを世に出したい。
幸せなことに周りには才能溢るる素敵な人が、沢山いる。
わたしの仕事は編集することだ。
敬愛する感性とお店を絡ませて、互いの持っている力をもぴょーーーんと超えて、行ったことのないところに行きたい。見たことのない景色を見たい。
・・・・
これが長尾悦美さんにコラボレーション企画を申し込んだときの、私の素直な気持ちです。
ひとつのセレクトショップと他企業のセレクトショップ・ディレクターである長尾氏個人とのコラボレーションは、二年前初めて発表した際は周囲に驚かれる程、稀有なことでありました。
しかし様々な方のご理解とお力添えによって、大好評いただいているこの企画も早いもので第4弾!
今回は初めて、ドレスを2型つくりました。
ビンテージに精通し、メンズライクなミックススタイリングを得意とする長尾氏ならではの、日常で着やすく性らしい渾身のドレス。わたしはこの人のこと好き、憧れる〜っていう人(女の方限定の謎)の生態を知りたいし、どんな風にスタイルを組み立てるのか、なにをどうしてその素敵が作られているのか知りたくて… それによっても購買意欲が紐付くタイプなので。 笑
今回は長尾さんの頭の中を拝見すべく、インタビューをさせて頂きました。
■■■ INTERVIEW ■■■
片山:(以下K)
これまでカットソーに特化したコラボレーションを3回させて頂いてきましたが、今回は初めて!ドレスを製作して頂きました!それにあたっては、どのような気持ちだったのでしょう?
長尾:(以下Y)
コロナ禍で出掛けるシーンは減ったものの、日常でも少しドレスアップやお洒落する気持ちを自分の中で沸き立たせたい!という想いがあったので、今回は日常で着やすい‘ドレス’を作りました。普段、自分はパンツスタイルが多くて、ワンピースをそんなに着ないんですが、なんだか、気取らないワンピースも着たいな~と思って。でも女性らしさが出ること、その中でも私らしいビンテージ感やメンズっぽさをミックスして、スタイリングが完成できるものを、と考えました。
K: アイテムはドレスですが、素材はかなりカジュアルな雰囲気なものを選んでいますよね。
Y: そうですね。今回は敢えてカジュアル素材を選び、着やすくしています。あとはフィニッシュを切りっぱなしにしたりして、カジュアル感を出しています。
K:ノーカラードレスとロングジレ。今回は2型作って頂いて…
まずノーカラードレスは、アシンメトリーでデザイン性が高い。一枚でストンと着て頂いても様になる優秀なシルエットです。
Y: 一枚で気軽に着られるし、着心地はまるでスウェットを着ているような感覚。とても心地よいです。 その中でも女性らしいカッティングと立体的なフォルムを取り入れ、シルエットを徹底的にこだわりました。
K:本当に美しい…。身体のラインをひろわず、本当にストンと着るだけで決まる。めちゃくちゃ優秀なドレスです。カラーは何故、ペールミントに?珍しいな、と思いました。チェックはメンズのビンテージのジャケットにあるようなトラディッショナルなパターンで長尾さんらしいな、と思ったのですが…
Y: ね。このコレクションの中で色ものを使いたくて。ペールミントは、普段自分があまり選ばない色だったけど意外性の部分です。
K:でも日本女性のお顔にとても馴染む、美しく見える絶妙カラー!とっても素敵です。それでは、ジレにお話を移しましょう。
Y: ジレはよりビンテージ感を意識して作りました。私自身ジレがとても好きなので。くるみボタンや襟の形、後ろのウエスタンヨークなどビンテージエッセンスを取り入れながら。そして、パンツに重ねたり、ワンピースに重ねたり…、手持ちのアイテムをアップデートしてくれる存在のジレです。
K:コロナになり私毎日のように考えるのですが、今、お洋服の価値って凄く真価を問われていると思うのです。あれもこれも物凄く沢山のものはもういらないけれど、でも欲しい服はほしいじゃん?笑 つまり、価値あるものは欲しい。そこがお店をする立場の人間としては、より真摯に、非常に向き合っていかなければと試されている気がしています。
Y: そうですね。削ぎ落とされた中にも、やっぱり自分のスタイリングの幅を広げてくれるものや自分の女性らしさを引き立たせるもの、今の気分に合うものはプラスしていきたいとは常に思っています。ベースとして‘欲しいもの’は基本いつも変わらないのですが、その中でも自分をバージョンアップするものを、何でもかんでもなく、増やして着ていきたいという気持ちがあります。なので今回のこのジレは、新しい着こなしをアップデート出来るし、既に持っているものを蘇らせることができるアイテムなので欲しいな、と思い作りました。
ドレスも‘女性らしさ’が引き立つ、でもカジュアルに着られるものが欲しいな、と思って。
K:意外と‘女性らしさ’頻出ワードでよく言いますよね~最近。笑
Y: え?そう?言ってる?笑 そうですね。でも‘女性らしさ’は常に!思っています。
K:大人の女性としてね!美しく見えるように!大事!!!色気も、品良く!色香漂うように。
Y: そう、品良く。でもお洒落で、意志を持っている女性。意志あるスタイリング。
K:品。大事です。カジュアルでも品があるかないかって、違うからね。
意志、はどういったところに宿り、現れるのですか??
Y: 意志は、流行とかそういう事ではなくて、自分のスタイルにしっくり来るもの。自分の感覚に正直に、大切に着ること、です。
K:最高。しびれる。ありがとうございます。
今回のヴィジュアルでは長尾さんの私服とスタイリングして頂いたのですが、コーディネートのポイント、着こなしのご提案を教えてください。
Y: ドレスは、一枚で着て頂いて様になるフォルムで作っていますが、プラスONでGジャンを足してみたり、柄のタイツを合わせてモードさをプラスしました。
K:上に重ねてもよし、インナーにタートルネックを重ね首もとに厚みを持たせてあげるもよし、ですね。
Y: そうですね!あとはトーンonトーンで合わせてみたり。ワンピースは下にパンツを合わせるのも素敵だと思います。
K:トーンonトーンすき~。ジレは…
Y: ジレは、パンツ合わせは勿論、ドレスで重ねて着丈のレイヤードを楽しんで。ジャケット感覚で作っているので、プラス1という感覚でいつものコーディネートにプラスしてみて下さい。
K:で、その上にウールコート着たりムートン着たり、ファー着たり。
Y: ね、ショート丈で全体のバランスを見たり、ロングで長さを重ねても良いですね。
K:いつも長尾さん、私に「わたしデザイナーじゃないから」と言うんですけど。笑 でも出来上がると、よしみworldの唯一無二の商品が出来ると思っていて。それは自分の欲しいとか、今必要という感覚からでてくるのですか?
Y: そうです。笑 自分の中の脳内データ?かなにか…インプットされている色々なパーツが、点と点で繋がった時に表面化して、今の自分のスタイルに繋がっていく感じです。
K:長尾さんの作るものって、2年前のカットソーも今も引っ張り出してきて着てるの。変わらず、すきで。スタイルがあるけれど気やすいから、長く着られるんだなって思います。
Y: ありがとうございます。笑 根本はやっぱり自分はベーシックなものが好きで、派手なものではくシンプルなんだけどちょっと表情があるものだったり、素材が特に好きだから、素材感がどんなスタイルにも品良くまとまり、大人のスタイルとして完成できる、ということを大事にしています。
K:4回目となりましたCITYSHOPとのコラボレーションに対して、何かお気持ちを!笑
Y: えーーっと。笑
ここまで自分の意志を表現化したアイテムを作ったことはなくて、CITYSHOPで初めて自分の想いをデザインして商品化してもらいました。
作ってみて自分のスタイルの方向が、より具体化されました。そこから広がるスタイリングの幅や知識が増え、凄くいい経験だなと。日々、デザイナーは大変な仕事だと思っていますが、「スタイルを作る」という意味では、バイヤーとしてもディレクターとしても重要な感覚なので、脳内を形にできる機会はすごく楽しい経験でした。あと、お客様が街中でそれを着てくださっているという感動も味わえて感謝しています。
K:ねー!感動しますよね!じゃあ今回も沢山着てくださる皆さまを拝見できますように。
皆さまどうぞよろしくお願い致します。笑
Y: よろしくお願い致します!笑
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「意志を持ちながら、スタイルを作る。」
気負わずに、いまの気分をアップデート出来る秀逸アイテムをお届けいたします。
気になる具体的なSTYLINGは!11/18(水)20:00~INSTA
LIVEにて、長尾氏と片山が沢山
ご紹介いたします。是非ご参加ください!(終了後はアーカイブにてお楽しみください。)
長尾悦美(ながおよしみ)
髙島屋STYLE&EDITクリエイティブディレクター、ELLEスタイルインサイダー
セレクトショップでの販売員を経て、現在の職に。幼い頃から身近な存在であった古着、
ビンテージをこよなく愛し、独自の選美眼を持つ。その卓越したセンスで、自由にMIXするスタイリングはインスタグラム(@yoshiminagao)で注目を集め、業界を超え多くのファンが。今の東京を代表するファッションアイコンのひとりである。