秋は、一枚ずつ。今から着たい、"6つの羽織"
9月になったからといって、急に秋になるわけではない。
昼間はまだ暑いし、かといってTシャツ一枚で出かけるのにも、そろそろ飽きてきた。
こういう時期に結局手が伸びるのは、シャツだったり、軽いジャケットだったり、あるいはそのどちらとも言い切れないような服。
朝、玄関を出るときにとりあえず一枚持っていく。暑ければ脱げばいいし、夜になったらまた着ればいい。
今回はそんな、今から着られて、この先もしばらく頼りになりそうな6着を厳選。
01|ニットを、シャツのように。
EDIFICE by P Crochet Knit L/S SH
ニットを知り尽くした〈PIPPIOLINO〉と一緒に作った一着。
カーディガンと言えばそうなのだけれど、それだけでは少し説明が足りない。
襟があり、ボタンがあり、一枚で着ればシャツのようでもある。Tシャツの上から前を開ければ、もちろん軽い羽織にもなる。
クロシェ編み。
手仕事を感じるこの小さな襟のおかげで、普通のニットとも、普通のシャツとも少し違って見える。
一枚で着てもいいし、ボタンを開けて羽織ってもいい。
今ならTシャツの上にこれを着て、袖を少しまくるくらいがちょうど良さそうだ
かぎ針によるクロシェ編みを取り入れ、ミニマルなボディにほんの少し手仕事の表情を加えた。
〈PIPPIOLINO〉という名前自体、かぎ針編みの繊細な技法「ピコット編み」に由来するもの。素材だけではなく、編みや加工まで細かく考える彼ららしさが、この小さなディテールによく現れている。
まだ暑さの残る時期なら、秋らしさはこのくらいから取り入れるのもいい。
02|チェックシャツには、少し早いくらいがいい。
シェニール チェック シャツ ブルゾン
秋になるとチェックが着たくなる。
毎年のことなので理由はもう考えなくてもいい気もするが、今年選んだのは少し雰囲気のある一着。
コットンをベースに、毛足のあるモール糸を組み合わせたオリジナルの生地。
柄によってモール糸の入れ方まで変えているため、プリントのチェックとは違い、近くで見ると柄そのものに凹凸がある。
少し古着のようでもあり、でも古着にはない整った佇まい。
シャツなのか、ブルゾンなのか。
おそらくその中間くらい。
ゆったりしすぎず、かといってタイトでもない。この曖昧なバランスが、今の季節にはむしろ使いやすい。
秋本番になってから着るより、まだTシャツの上に一枚羽織るくらいの今から着始めたい。
03|シャツとカバーオールの間。
ルーズ デニム ショート カバーオール
カバーオールというと、もう少し硬くて、重くて、無骨なものを想像する。
これは、その逆。
太番手の糸を甘く織り上げた生地は、デニムらしい膨らみを残しながら、驚くほど柔らかい。
アメリカンワークのカバーオールをベースにしながら、着丈はショートに。
生地にも美しい落ち感があるから、ワークウェア特有の“着せられている感じ”がない。
昔からある服の形を、素材とバランスで今の気分に変える。
やっていることは案外シンプルだけれど、こういう服が結局長く残る。
デニムジャケットほど構えず、シャツより少し頼もしい。
今はそのくらいがちょうどいい。
EDIFICE
ルーズ デニム ショート カバーオール
サックスブルー | M
¥26,400
04|そろそろ、ウールのシャツ。
ウールを含む4種の素材を混ぜることで生まれる、ほんのりとした起毛感と、柔らかな落ち感。
少しゆとりを持たせたシルエットに、フロントはすっきりとしたフレンチフロント。
ちゃんとしたパンツにも、穿き慣れたデニムにも。不思議と合わせるものを選ばない。
フォーマルか、カジュアルか。
その境界をあまり決めずに着られるのも、このシャツの良いところ。
季節も同じで、秋冬だけにしまっておく必要はない。
一年を通して、気づけば手に取っている。
こういう服が結局、一番頼りになる。
同じシリーズには他のアイテムも。セットアップで揃えるのはもちろん、それぞれを組み合わせて着るのもいい
夏のコットンシャツから秋冬のニットへ。
その間を自然につないでくれる一枚。
05|ヴィンテージシャツの気配。
ETS.MATERIAUX チェック フレンチ ワーク シャツ
新品の服なのに、最初から少し時間が経っているように見える。
〈ETS.MATERIAUX〉の服には、そんな不思議なところがある。
甘撚りのウールを使ったガーゼ調の生地に、仕上げの洗い。
端正なウールシャツとは違い、表面にはわずかな揺らぎが残る。
イメージしたのは、ヨーロッパのアンティークシャツ。
小ぶりな襟、フラットなフロント、身体を包むようなワイドシルエット。そして裾のラウンド。
古いものをそのまま再現するのではなく、その服が持っていた空気だけを今の服に残す。
MATERIAUXらしい一着。
06|刺繍アートを纏う。
最後は少し毛色の違う一枚を。
フランスのアーティスト、Corinne Bongrand。
刺繍職人の祖母と、オートクチュールメゾンで仕立て師を務めた母を持ち、「糸と布は家族の歴史の一部」と語る彼女は、紙や古いリネンに糸を走らせ、まるで絵を描くように作品を作る。
今回、そのアートワークをシャツの上へ。
フランスの風景や日常を思わせるモチーフを、プリントではなく刺繍で表現。
手仕事だからこそ生まれる、わずかな揺らぎ。
無地のシャツほど静かではない。でも、柄物のシャツほど饒舌でもない。
こういう服は、細かく理由を考えるより「なんかいい」で選んでしまってもいいと思う。
服を買う理由なんて、本来そのくらい曖昧でもいい。
秋は、一枚ずつ。
本格的なコートも、厚手のニットも、まだ少し先。
だから今は、シャツとジャケットの間にあるような服を一枚。
素材を変える。色を変える。半袖だった袖を長くする。
季節は一日で変わるわけではないから、服も少しずつ変えていけばいい。
秋の始まりは、このくらいから少しずつ考えて行こう。
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