KOOKY ZOO × COMPASS × L'ECHOPPE |KOOKY ZOOデザイナーの鈴木さんとの対談。
クーキーズーの新しい別注商品、バナーデニムと、XXXLプリントネルが発売になります。
クーキーズー・デザイナーの鈴木さんと、レショップ・バイヤー中村の対話の記録をお届けします。
ー鈴木さんがレショップと最初に関わったのはいつ頃なのでしょうか?
鈴木 およそ10年前だと思います。
中村 Leeのレショップ別注デニムをずっと手掛けてきたんですよね。
鈴木 そうですね。今の場所に移る前から、自分が企画したLeeのデニムを扱っていただいていて。ずっとお世話になっています。途中からは立場が変わって、自分のブランドとしての関わりに変わりました。
中村 クーキーズーは今年で何年目になるのでしょう?
鈴木 5年目です。ファーストシーズンには一緒にオーダー会をさせていただきました。レショップは私にとって社会との唯一の接点という感覚なんです。常に引きこもって物を作っているので……(笑)。
中村 鈴木さんほどのオタクは、この業界内にもなかなかいないですからね。クーキーズーの商品を愛用している方は、きっとみんな頷いていると思います。ここ数シーズンはフレアシルエットのコーデュロイパンツやブラックデニム、穴の空いたサード型のデニムジャケットなど、様々な別注企画をご一緒させていただきました。私たちにとって一つの重要な軸となっています。中でも今季はかなりインパクトの大きい別注企画になりましたね。
ーまずはデニムパンツの大きなタグが目を引きますが、どういった経緯で企画されたのでしょうか。
鈴木 中村さんのご紹介で、福島にあるコンパスというショップにクーキーズーを取り扱っていただいているのですが、そのお店に実際に伺った際に、面白い古着に出会ったんです。バナーパンツと私は呼んでいるのですが、アドバタイジングのために作られたもので、とにかくタグが巨大。実際に着用する用途ではなく、広告物としての役割を持ったものでした。L社の製品ですね。
中村 いろいろな話をする中で、そのバナーパンツの話題が出てきて、盛り上がったんです。
鈴木 これはいいかもな、と。バナーパンツの存在自体は元々知っていたのですが、普通は古着屋さんの壁に飾ってあるもので、服として身につける観点で見たこともなかったし、実際に自分が穿くつもりもなかった。でも、実物に触れてみて、これをアレンジしたら面白く着られるんじゃないかと思えたんです。
中村 それから「こう着たらいいんじゃないか」「あれと合わせたら面白いんじゃないか」と話をして。道化師が穿くズートパンツ(ウエストが大きくサスペンダー付き)のようなシルエットが生まれるんじゃないか、と。一筋縄では行かないけれど、用意された正解を選ぶのではなく、自らファッションを楽しみにいくような姿勢が、大事だと思うんです。それはもう一つの別注であるプリントネルにもつながっているんですよね。
鈴木 今シーズンから、NM-MT(ニアミント)という新しい商品群を展開しているのですが、それはネガティブな理由でミントコンディションを保っていた物、例えば、サイズが大きすぎたり、仕様が歪だったり、用途が不明だったり。そういったものの歪さを生かしながらファッションに落とし込めるようにするという発想です。バナーデニムも、プリントネルも、根っこは同じなんですよね。
ーそれぞれの詳細を教えてください。
中村 バナーデニムはワイドなデニムパンツです。最も特徴的なのは巨大なタブ。通常のタブに比べると、百倍くらいの面積なのではないか、と思うほどでかい(笑)
鈴木 シルエットはいわゆるバギーパンツのようですが、ウエストが大きく股上が深いです。数値で言うと44インチと38インチの2サイズですね。裾幅は25センチくらいなので、ワイドな部類ですが、ウエストに比べるとそうでもない、という塩梅です。独特の筒状のパターンですね。
中村 シャツも、言葉にすると、とにかく大きなプリントネルということになりますね。
鈴木 16や17といったサイズのシャツは時々目にすると思うのですが、18TALLというサイズで作りました。とにかく大きいのですが、いわゆる計算されたオーバーサイズとは違う、歪な大きさです。けれどファッションとして成立するようなバランスを探っています。
中村 ブラウン、パープル、グレーのグラデーションで、上品かつ合わせやすいカラーですよね。サイズだけが特殊という。
鈴木 着丈は90センチ以上ありますからね。
中村 コートの部類ですよね(笑)
ーどちらもかなりクセのあるアイテムですが、どのように着てみたい、着てもらいたいですか?
中村 企画段階では、ジャケットやニットの上に重ねたりして、レイヤードに変化をもたらすのが良いのかなと思っていたのですが、YouTubeの撮影でTakamamaさんがシンプルに合わせていて、それがよかった。501にアディダス、オーバーサイズのプリントネルシャツ。トラディショナルなコーディネートに一点差し込むような使い方もいいなと。パンツも同様に、普通のネルシャツに合わせるだけで、見たことのない違和感が出ると思います。
鈴木 使い方に余白がある服という裏テーマがあって。古着を選ぶ感覚に近いんだと思います。こんなのどう着るんだろう?と首を傾げながら、それが自分のスタイルにフィットした時の喜び。そういう風に探りながら楽しんでもらえたらいいですね。
中村 歴史や理由はきちんとあるけれど、現代のファッションとしての正解がまだ見つかっていない服。それをどう身につけるか、考えるのが楽しいんですよね。でも、鈴木さんも以前おっしゃっていましたね。”使いやすいものはうちで作らなくてもいいと思います。”って。
鈴木 すみません、そんな偉そうなことを言ったつもりはないのですが、使いやすい服を作る、という発想がないんですよね…‥。
中村 それでもクーキーズーの服は、パターンが見事で、リアルクローズとして見事に完成している。そこがすごいと思います。
鈴木 それは常に意識しているところかもしれません。現代のファッションにつながりながら、過去に存在した物の魅力や設計を損なわない。今回も、実際はかなり調整しているのですが、元の歪さを失わないように気をつけました。やっぱり、使いやすいものではないかもしれません(笑)。
中村 ぜひ袖を通して、脚を通して、確かめてみてください。

L'ECHOPPE
【KOOKY ZOO/クーキーズー】EX BANNAR DENIM PANTS *COMPASS
ネイビー | 38

L'ECHOPPE
【KOOKY ZOO/クーキーズー】 EX PRINT NELL SHIRT*COMPASS
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