エモン美由貴さん（以下美由貴さん）：

飼っているわんちゃんのお散歩で行くことが多いのですが、それに（久瑠美さんが）付き合ってくれて、お散歩しながら世間話をしたりします。お互いの写真を撮り合ったりもするので、それが公園を選んだ理由にもなっています。

エモン久瑠美さん（以下 久瑠美さん）：

姉妹だから言えることってありますよね。友達には遠慮して言えないようなことも、姉妹だから言える。

美由貴さん：

家族が全員揃うのは年に1回とかですが、（久瑠美さんとは）趣味も合うしモデルという仕事が同じだったり、イベントやパーティーにも一緒に行くことが多いので自然と会う機会が多いです。同じ仕事だからこそ、悩みを話したり、意見交換したりもできます。

美由貴さん：

服のサイズがほとんど一緒なので、シェアしたりします。選ぶ形とか好みが似ているかもしれないです。ブランドは違っても、似たデザインを選んだりすることが多いです。よく同じものを着ていたり、服がかぶることもあります（笑）。

久瑠美さん：

そうですね。同じものを選ぶことは多いです。でもスタイリングは少し違って、私はちょっと可愛い系、姉はもう少しメンズライクで大人っぽい感じ。

美由貴さん：

顔の系統が違うので、似てるけど少し違う。同じものを選んでも合わせ方が違うんです。

久瑠美さん：

シェアしても、結局お互い同じものを買ったりもします（笑）。やっぱり自分のものとしても持っておきたい気持ちが出てきて。3姉妹なのですがサイズもほぼ一緒で、母も一緒なんです。小さい頃はお下がりもよく着ていましたし、それが今もみんなでシェアすることに繋がっているのかも。

美由貴さん：

母は古着が大好きで、小さい時は新しい服というより、古着屋で一点物を探すのが好きでした。だから私たちも自然とリサイクルショップ、古着屋、ヴィンテージなど、そういったものが好きになって。母もファッションが好きなので、今でも久しぶりに会った時は一緒に古着屋に行くこともあります。

久瑠美さん：

そうですね。家族の影響もあって子どもの頃から「ものを大事にする」感覚が自然に身についていた気がします。

美由貴さん：

ちょっと照れますね（笑）。喧嘩もするし、ぶつかることもいっぱいあるけど、なんだかんだでいつも支えられているなって感じます。

久瑠美さん：

私も同じく「支え合っているな」と思っていました。お互い近くにいないと、少し不安になります。最初に相談する相手も、やっぱり姉なんです。家族の中でも母よりも先に姉に話すことが多いです。

美由貴さん：

同じ職業っていうのもあるけど、お互いのことを一番理解している気がします。

久瑠美さん：

私たちみたいな関係になりたいって思ってくれる人がいたら嬉しいです。心の距離はすごく近い関係だと思うし、一緒にいて安心します。

美由貴さん：

「もので」言えば、毎年クリスマスは家族全員でプレゼント交換するんです。5人家族なので、それぞれの分をひとつずつ用意して。

久瑠美さん：

誕生日も必ずお祝いします。最近はプレゼントというより、一緒にご飯に行ったりします。共通の友人も呼んだりして。より特別な日になりますね。

美由貴さん：

友達のようでもありながら家族なので、一番一緒にいるかもしれないです。

久瑠美さん：

プレゼントで一番覚えてるのは、姉が仕事を始めてから、当時中学生だった私にスケボーを買ってくれたことです。それで学校に行ってました（笑）。

美由貴さん：

初めて「買ってあげたい」って思ったんですよ。それと、姉として“買ってあげるよ！”って言いたかった（笑）。

久瑠美さん：

よく覚えてる！すごく嬉しかった。

美由貴さん：

妹は編み物が上手で、マイロ（美由貴さんの愛犬）の服や、私へも小物を編んでプレゼントしてくれたりします。「特別な日に」というよりも普段から。最近はピクルスを作って持ってきてくれたり、パンを焼いてくれたり…そういう日常的な贈り物が多いかも。そういうのが一番うれしい。特別な日じゃなくても、思ってくれているのが伝わる感じ。

美由貴さん：

家族だけど、親友。

久瑠美さん：

うん。家族だけど、親友みたいな感じ。友達でも恋人でもないけど、一番近い存在。親友って言葉が一番しっくりくる。一番話すし、一番お互いのことがわかっているし。

有田 千幸さん
（以下 千幸さん）：

私も今ある自分のスタジオでワークショップ等を行っているのですが、そこは完全に自分の世界観の中で完結しているクローズドな空間なんです。だからこそ、もう少し“開いていく”ことを意識したくて。

現状はキャパシティも限られている中で、この新しい場所では自分の世界観のまま“開いていく”ことができる。そういう意味では、彼やチームの活動の“拡張”でもあるし、私の活動の“拡張”でもある。この場所は、その両方を重ねられる場所だなと思っています。

匠吾さん：

やっぱり僕らにとって大事なのは“キッチン”なんです。僕らや仲間は美味しいものが大好き。いろんな友人やゲストが海外から来たときにも、やっぱり「もてなしたい」と思う。

建築事務所だけどキッチンを設けると決めたのは、普段の設計とはまた違うクリエイティビティが生まれる場所になるからなんです。キッチンが全てを繋ぐ。ここで食を通して、建築や街との関わりを広げたいと思っています。

匠吾さん：

僕自身は洋服をたくさん持って着まわすタイプではなくて、基本的には気に入ったもの・ブランドをずっと大切に着続けるスタイルなんです。10年前のシャツをまだ着ていたり。そういうものに愛着があるんです。

千幸さん：

私は直感的に服を選ぶタイプなのですが、今までは可愛いからという理由だけで買っていたこともあったけれど、今は“長く付き合える服”を選べるようになりました。もともと「もの」に対しての愛着も深いのですが薬膳を学んでから、食生活がすごくシンプルになっていって、服の選び方もそれと同じように“シンプル”に“自分に合うものを選べる”ようになった気がします。

匠吾さん：

彼女はそういう意味で、すごくミニマルだと思う。僕はどちらかというと“構築的な服”が好きなんです。建築に通じる部分があるというか。だから選ぶブランドも、割と決まっていて。フォルムやプロポーションのバランスが美しいものに惹かれるんです。

服も“暮らしの一部”。トレンドというよりは、「日常にどう馴染むか」ということを考えます。6歳の娘にも「数を持つことより、好きなものを大切にする」という感覚がすでに備わっている気がします。

千幸さん：

娘にもこだわりがあって、肌触りのいいものが好きなんです。「このシャツきもちいい」とか、言うんですよ。そういう“感覚の精度”があるのは、もしかしたら食や暮らしからの影響もあるのかもしれませんね。

無理に買い足さず、あるものを大事にしながら暮らしていきたいな。

匠吾さん：

服も食も、全部“どう生きるか”に繋がっている。ファッションも“日々を整える手段”のひとつなのかなと思います。新しい服を買うことが目的じゃなくて、自分らしくいられるためのツール。そういう意味で、僕たちはどちらも“服に誠実”なんだと思います。

千幸さん：

ありがとうございます（笑）。日常的に感謝を伝えてくれるのですが、あらためて嬉しいです。

私はどちらかというと予定をどんどん入れちゃうタイプで、気がついたら１日が24時間じゃ足りなくなっていることもあるんですけど、結果的にそこから生まれたものも多くて。そういう部分も含めて受け止めてくれるところに、私も感謝しています。

千幸さん：

確かに、今やっている薬膳料理の活動もそう。当時はまだ構想段階だったけれど、「やっぱり料理なんじゃない？」って夫に言われて、今はその通りになっている。

しっかりプランしてもうまくいくとは限らないし、この場所みたいに突然のタイミングで“降ってくる”こともある。プランしてきたこととしてきていないことが重なり合って起きることもある。そういうことを信じて動いている部分もあります。

匠吾さん：

「仲間」かな。

千幸さん：

そうだね。「仲間」ってしっくりくる。

匠吾さん：

もちろん夫婦なんですけど、家族でもあって──“仲間”なんですよね。一緒に円陣組んで「よし、行くぞ」って感じ。一緒に何かを作っていく時の、同じ方向を向く仲間。

宇藤さん：

リノベーションして住んでいるのですが、光の入り方にはすごくこだわりました。夕日が沈むのが見えるんです。建築家の方に「北からの光は安定しているから、北側に窓を作るとやさしい光が入りますよ」等と色々アドバイスをいただいて。

“光と影”をテーマにした家にしました。
曇りの日でも自然な光が部屋を包みこんで、とても柔らかいんです。家に入った瞬間にその空間を感じたくて、玄関からリビングへの扉もあえて付けずにオープンにしました。

宇藤さん：

都内に住んでいたときは、休日になると「今日は何しようか」「どこに出かけようか」から始まっていたんです。

でも今は、朝ごはんを持って海へ行ったり、ちょっとした時間で自然に触れることができる。子どもたちも解放されているし、私たち親自身もリフレッシュできるんですよね。この家と環境があるおかげで、仕事のオンオフもちゃんと切り替えられるようになりました。

都心だと常に何かに追われている感じだったけど、ここでは少し余白がある。一人の時間を作ってお散歩してみたり。一旦フラットになる時間があることで、仕事にも集中できるようになったと思います。

宇藤さん：

ずっとスタイリストとしてトレンドを追いかける仕事をしてきたので、常に「次の流行は何か」を意識して動いていたんです。この暮らしになってからは、そういう“流れの速さ”みたいなものに追われなくなり、自分が“本当に好きなもの”“長く着たいもの”を選ぶようになりました。

SNS も見ますが、前みたいに「誰が何を着ている」とか、「これをやらなきゃ」みたいな気持ちはなくなって。トレンドよりも、“気分が穏やかでいられる服”を選んでいる感覚です。

インタビュアー：

それはスタイリストとしてのお仕事の中でも変化がありました？

宇藤さん：

ありました。前はテーマを与えられて、それに合わせてコーディネートを組むことが多かったのですが、今は自由にスタイリングさせていただくお仕事が増えてきました。「（宇藤さんの）感覚でお願いします」って言ってもらえるお仕事の機会が増えたのは、ここでの暮らしを始めてからだと思います。

物の選び方も変わりました。昔は勢いで買ってしまうこともあったけれど、今は“長く使えるもの”とか、“素材がいいもの”を選ぶようにしています。器でも服でも、ちゃんと心が動くものを選びたい。「残るから」という理由で選ぶようになった気がします。

インタビュアー：

今だからこそお子さんに伝えたい“想い”、またはこれから引き継いでいきたい“もの”について教えてください。

宇藤さん：

こうやって話していると、自分もたくさん経験して今の考えに辿り着いているんだなって思います。

だから、子どもたちにも“自分で選ぶ力・選択する力”を大事にしてほしいし、見つけて欲しいと思います。

小さい頃は、私が「これ着てみたら？」って選ぶことも多かったけれど、今は自分で選ぶようになってきて。
自分で選んで、失敗して、また選び直して――
そういう積み重ねで“自分のスタイル”ができていくと思います。

お洋服に限らず、食べ物でも同じ。
「これ食べなさい」じゃなくて、「今、何が食べたい？」って聞くようにしています。
本人が“今これが食べたい”と思う気持ちを尊重するのが大事かなと。
娘は特に意志が強くて、自分の中で納得しないと気が済まないタイプ（笑）。
でもその意志の強さって、きっと将来の自分を見つけていく、支える力になると思うんです。

着物もそう。
七五三の着物は母が綺麗に残してくれていて、それを譲ってもらいました。
それをまた娘の七五三で着せようと思っていて。

こうして“時を越えて受け継がれていくもの”って、本当に特別だと思います。

宇藤さん：

「家族」っていうのはもちろんなんですが、どちらかというと“友達”っていうのが一番近いかもしれません。

息子も娘も、男の子だからとか女の子だからとか関係なく、何でも話しやすい、フラットな“友達のような関係”でいたい。

娘さん：

おしごと！ごはん！

インタビュアー：

じゃあ、ママのどんなごはんが好き？

娘さん：

しろいごはん。きゅうり。

宇藤さん：

（笑）そうだね。お米もきゅうりも大好きだもんね！
素材そのままの味が好きなんです。おにぎりは塩むすびが好きだったり。
息子もお粥が好きで、味つけが強いものよりも、シンプルな方が喜ぶんです。