

正面から見ても横から見てもかっこいいし、
乗れば乗るほどに愛着が湧く。
望めば遠くにだって連れて行ってくれる。
クルマの話みたいになってしまったが、
スニーカーの話だ。
でも考えれば考えるほど、
スニーカーって
クルマと
よく似ていると思うんだ。
エンジンは積んでいないから
自分の脚で前に進むしかないし、
カーナビも付いていないから、
目的地までのプロセスは
自分で考えなければいけないけれど。
Text_Nobuyuki Shigetake


『INSTAPUMP FURY』のシグネチャーカラーである“シトロン”が、2024年で生誕30周年。こちらはそれを記念した復刻モデル。不思議なもので、もっと昔からあるような気もするし、もっと最近のような気もする。素材や履き心地のこまかなアップデートはあれど、いつまで経ってもレトロフューチャー。
オーセンティックなバスケットシューズのデザインが何周かまわって新鮮に映る、〈AUTRY〉の看板モデル。スムースレザーを用いたアッパー、クッション性に優れた厚みのあるインソールと質実剛健なアウトソールによる重厚な履き心地。この丁寧な作りでアメリカ発祥のブランドだなんて、良い意味で予想を裏切ってくるじゃないか。
〈NIKE〉でも特に根強い人気の『CORTEZ』は、永遠不変かと思いきや、定期的にデザインや素材の見直しを図り、今回のアップデートでは幅広のつま先部分と硬めのサイドパネルでデザインを一新。さらに素材をリメイクして反りを防止し、耐久性を強化。進化を続ける、クラシックスニーカー。そりゃ、ファンの心を掴んで離さないわけだ。
定番ではあるけれど、登場回数はあまり多くない。でも定期的に履きたくなって、履くたびに魅力を再確認する。そんな“スニーカーあるある”は『Half Cab』のようなスニーカーのためにあるのかもしれない。ちなみに、伝説のスケーター、スティーブ・キャバレロのシグネチャーモデルだから“キャブ”です。
「おや、誰かが履き潰したスニーカーが紛れ込んでいるな」と思ったかもしれないが、実はエイジング加工。この手の加工はデニムでは見慣れているが、スニーカーではあまり既視感がない。普通に履いているとアッパーがこの状態になる頃にはもうソールが壊れているから、そういう意味では夢の一足かもしれない。
どうしたって脳内でレゲエが再生されてしまう、ラスタカラーの『SAMBA』。これほど夏が似合うスニーカーは存在しないと言い切ってしまっても良いだろう。すでに定番のブラックかホワイトを持っている人も多いだろうし、躊躇う気持ちも分かるが、これはまったくの別物。冬は履く気にならなさそうだから、夏のうちに!
2023年に50周年を迎えた〈PUMA〉の『CLYDE』。この種のクラシックは正直、ある日突然履きたくなるものだから、無理にとは言わないが、一足持っておいた方がいい。いつでも買えると思っていたら、急に作らなくなったりするから。(2011年から2016年の5年間、製造がストップしていた実績あり)
ようやく見慣れてきた〈MIZUNO〉の“Infinity Wave”ソールにストラップ仕様のアッパーをかました新顔プロフェシーは、サンダルの延長のようなニュアンスで軽快に履いてみたい。サマースタイルに似合いそうな、ややモードなルックスが◎。
フランス由来らしい、ファンクションとデザインの高い次元での化学反応を楽しめる稀有な一足は〈Salomon〉の人気モデル『XT-6』。同モデルは豊富なカラーバリエーションも魅力のひとつであり、こちらはチョコミントのような、アイスブルーとブラウンの組み合わせがスタイリッシュ。
『AUTHETIC』の前進モデルとして知られる『STYLE 44』をリイシューしたこちらのモデルは、〈VANS〉の創業当初の1970年代からスケーターたちに愛される由緒正しきスケシュー。そんな背景は特に意識せず、ミニマルなルックスを活かして、綺麗なスラックスとかで合わせたい。
1990年代後半から2000年代初頭にリリースされていたスケシューの名作がリバイバル。デコラティブなデザインと特徴的なカラーリングを見ると、リアルユースのみならず、タウンユースとしても愛されていた理由が瞬時に理解できる。履くだけでテンションが上がりそうな、攻めの一足。
“オールホワイトのフォースワン”には何かしらの意味を見出しがちではあるが、バッシュ由来の機能性とさまざまなスニーカーの根源とも言える完成されたルックスは普通にシューズとして優秀。とはいえ、やはりストリートカルチャーとの蜜月を前面に押し出したスタイルに合わせたくなってしまう。
スウェーデン発のスケシューブランドからは、何かと便利そうなタッセルローファータイプのスニーカーをピックアップ。フィット感とクッション性に優れたCLOUDY CUSHインソールは、なんとブランドによって独自に開発されたもの。インディーなブランドとは聞いていたが、そんなこともしていたとは!
キコ・コスタディノフ・スタジオらしさ全開の、曖昧なカラーパレット。美しくスムースな流線型のシルエット。履く、履かない以前にそもそもプロダクトとして推せるハイコンセプトなシューズは、色を絞ったシンプルなスタイリングにアクセントとして一点投入してみたい。
ひとめ見ただけで〈Needles〉のそれと分かるブラックとパープルの組み合わせ。シューズさえもここまで“らしく”仕上げてくるセンスにはさすがのひと言。ベースとなったのは、2000年代のアーカイブを参照に〈ASICS〉の最新テクノロジーをふんだんに盛り込んだ『GEL-NYC』。
“テラス系”なんて総称で呼ばれている、間違いなく今が一番ホットな〈adidas〉のローテクシューズたち。特に『SAMBA』が“流行の一足”として取り沙汰されることが多い印象だが、実は生誕から70年以上が経過している。そもそも流行り廃りの外側にある、タイムレスな一足なのだ。
いわゆる“白飯系(そんな言葉はない)”のスニーカーの代表格こと『STAN SMITH』が〈417 EDIFICE〉の手によって、高級な白飯に。それならば、シューレースとサイドロゴのゴールドは金箔のふりかけと言ったところか。とにかく、毎日でも履けるスニーカーってことです。
ソールユニットの独特な形状で一目瞭然かもしれないが、同ブランドのキラーヒットサンダル『HYDRO MOC』のDNAを継承したこちらのモデル。100%リサイクル素材のアッパーを掛け合わせたスニーカーライクな一足は野外フェスやキャンプなどでその真価を余すことなく発揮してくれそうだ。
アフリカの毒ガエルのような(想像です)カラーリングをした〈HOKA〉のランニングシューズは、シックなカラーでまとめたスタイリングの紅一点として取り入れたい。街での着用を前提にしているなら、ハイテクスニーカーはデザイン重視で選ぶのが吉だ。
特徴的な形状のアウトソールが目をひく『Cloudhorizon Waterpfoof』は、同ブランド史上もっともクッション性が高く、極上の履き心地を誇るハイキングシューズ。もちろん、その名の通り防水機能も完備。こんな一足があれば、雨の日の外出も億劫じゃなくなるはず。
手元にあると何かと重宝しそうな、濃紺のオールスター。80年代のアーカイブのディテールを再現した濃い生成りのテープや、ポリエステルシューレースが演出する、本気のヴィンテージ仕様にグッとくる。そして何より、安心安全のメイド・イン・ジャパンも見逃せないポイント。
思わず「なんだ、これは!」と言ってしまいそうな5本指シューズだが、決して飛び道具でも色物でもない。人体工学に基づいて設計された驚愕の履き心地は一度ためしてみる価値アリ。そして、こんなハイテクな一足を官能的なレースで包み込んだ〈doublet〉のセンスに脱帽していただきたい。
ミニマルでシャープなルックスに反して、ある程度どんなパンツでも受け入れてくれそうな、器の大きさがジャーマントレーナーの魅力。〈REPRODUCTION OF FOUND 〉が〈EDIFICE〉と作ったこちらは、シューレースを外すことでスリッポンとしての着用もできる2WAY仕様。