1. HOME
  2. 特集
  3. 街とパンツ、渋谷とデニム。
  • City & Pants.街とパンツ、
    渋谷とデニム。

    City & Pants.街とパンツ、
    渋谷とデニム。

    都市を形成するあらゆる街には、
    おしなべてその街に似合うパンツがある。
    街とパンツにだってそれぞれ特徴や個性、
    マナーやムードがあるわけだから、
    当然と言えば当然なのだけど。

    Photo:Daiki Endo
    Styling:Haruki Uchiyama
    Grooming:Nanako Yajima
    Model:Eiji Fukui
    Text&Edit:Nobuyuki Shigetake

    渋谷に似合うパンツ。

    渋谷のランドマークともいえるスクランブル交差点では、1回の青信号、120秒の間に平均して3000人以上が往来すると言われている。1日を合計すると、その数、平日でおよそ26万人。休日でおよそ39万人。脚の数は最大で78万本。当然、それぞれが思い思いの装いをし、多様なパンツを身に纏っているわけだから、足元を見ているだけでも楽しめるのだけれど、ふと、渋谷にはどんなパンツが似合うのかが気になってきた。

    スクラップアンドビルドを繰り返しながら常に姿を変えていく渋谷。街として正しくエイジングしているかどうかはいろんな立場からのいろんな意見があるとして、新旧を混在させながら片時も止まらずに動き続けているこの規模の街は、世界中を探してもそう多くない。そんな渋谷の街には、エイジングの痕跡がヒゲやアタリとして刻まれている、ウォッシュのかかったインディゴデニムがよく似合いそうだ。

    <ジャーナルスタンダード>が<リーバイス®︎>に別注したデニムは、『501®︎』の伝統的なストレートシルエットはそのままに、ポケット口と裾にダメージ加工を、ヒザからモモにかけては適度なタテ落ち、サイドシーム部分にはアタリを入れることで、ほどよく穿き込んだ風合いを表現。そのほか、レザーパッチや "BIG-E”のレッドタブなど、プレミアムなディテールはもれなく取り入れられているが、最大の特徴となるのは背面右ポケットに施したホワイトステッチのバータック(棒状の補強縫製)。これは『501®︎』史上、類を見ない新しい試みであり、見逃せないポイントである。(詳細はこちらのインタビューを参照

    このジーンズが、2023年に誕生から150周年を迎えた『501®︎』のクラフツマンシップとヘリテージにリスペクトを捧げた、こだわりの一本であることは火を見るよりも明らかだが、難しいことは抜きにして、高い技術で再現されたリアルなエイジングの具合と、ジャストフィッティングなサイズ感が最高にフレッシュだ。<ジャーナルスタンダード>のボーダーTシャツ、<ティラック>のシェルと<サロモン>のトレッキングシューズで作る90’sノリのアウトドア・ストリートスタイル。

    飲食店も、街を語る上では欠かせない、その街の個性を形成する重要なファクターである。猥雑な道玄坂界隈を歩いていると、目と脳が疲れるからか、新鮮な野菜を食べたくなってくる。神泉を横目にしながら松濤へ抜けた先にあるWE ARE THE FARMは、自社農園で無農薬・無化学肥料・露地栽培にこだわって育てた野菜を、素材の味を最大限に引き出すシンプルな調理法で楽しむことができる、次世代型のオーガニックレストラン。

    黒田五寸人参、黒秀玉葱、紅はるか、唐の芋、ロメインレタス、ケール、ゆるぎ赤かぶ、スナップエンドウにバケット。それにビーツのドレッシングがかかったプレートは、眼と舌、身体が悦ぶ色とりどりな味わいもさることながら、食べ応えについても申し分なし。(WE ARE THE FARM:東京都渋谷区松濤1-28-11 髙田ビル 1F。※現在ランチタイムのプレートでの提供は廃止されており、オールビュッフェ形式。)