
- 女優、モデル、アーティスト、芸人など…
各分野で活躍する女性の “スタート地点”とは?
活躍に至るまでの道のりやエピソードを
スタート地点となる場所でインタビュー。
今回は、テレビ、CM、舞台と、
独自のセンスと愛くるしいキャラクターで
老若男女を虜にする実力派ピン芸人・ゆりやんレトリィバァが登場。
芸人になるきっかけや自身が発信する“笑い”について、
プライベートの過ごし方などを伺いました。

ーー<吉本興業 東京本部>をスタート地点にあげた理由を教えてください。
地元である関西から、今年の4月に東京へ引っ越してきたんです! 以前から東京で仕事をすることは多かったですが、住居を移したことでライフスタイルもこれまでと大きく変わりました。所属は今も大阪の吉本ですが、気持ち新たに頑張ろうと決めたので東京本社をあげました。
ーーそうなんですね! 憧れの東京、そして新居での暮らしはどうですか?
最近はありがたいことに東京での仕事も増えてきて。引っ越したらよりフットワークが軽くなるのかなと思い、ずっと部屋を探していたんです。それで、ふと不動産情報を見たときにビビっときた部屋があって、内見に行ってすぐに決めました。大都会・東京でのひとり暮らしにテンションが上がっていた矢先、たまたま新居の風水を見てもらうことになったんです。そうしたら、“今の家には、命に関わるくらいの危険がやってくる”という結果が出たんです(笑)。まさか、命に関わるほどとは…。すぐにお祓いへ行って、今はまた引っ越し先を探さなくてはという状況です。もともと日当たりを重視していて、オーナーさんからは「日向ぼっこができますよ」と言われていたんですけど、驚くほど日当たりが悪くて、常に眠りも浅いという(笑)。引っ越し早々、いいネタになるスタートを切ってしまいました。
ーー笑ってはいけないことですが、笑えますね(笑)。ところで、ゆりやんさんが芸人を目指したきっかけはなんだったんですか?
小学校低学年くらいのときにテレビで観ていた『よしもと新喜劇』がきっかけでした。当時は、山田花子さんや藤井 隆さんが出ていて、とにかくおもしろくて。同級生12人全員、『よしもと新喜劇』が大好きで、みんな毎回欠かさず観ていましたね。放送の翌日には、必ず番組でやっていたネタを真似し合っては笑っていたんです。内弁慶な性格だったわたしもそのネタをやるととてもウケて。その笑ってくれる楽しさが忘れられなくなり、“わたしもいつか<吉本新喜劇>に入りたい”と思うようになりました。<モーニング娘。>に入りたい時期もあったんですけどね(笑)。
ーー芸人になるためにどのような努力をしたんですか?
大学4年生のときに、<NSC(吉本総合芸能学院)大阪校>に入学したんです。芸人になる夢は入学時から持ち続けていたので、卒業に必要な単位は大学3年生までにとり、NSCに専念できるようにしました。

ーーNSCを首席で卒業されたとお聞きしました。とすごいですね! いざ、芸人として活動していくなかで、よかったと思うことはありましたか?
アイドルや映画関係の仕事にも魅力を感じたり、あれこれなりたいものがありましたが、芸人ってコントの内容で女優にもアイドルにもなれるし、アメリカが好きだったらそれっぽいネタができるんです。そんな素敵な職業ってなかなかないなぁと思います。
ーー自身のインスタグラムにアップしているネタ動画が話題ですが、そのアイデアはどんなときに生まれるのですか?
だいたいは本当に何気ない瞬間です。街を歩いていたり、人と話しているときだったり、なにか気になったらすぐにメモをとるようにしています。最近だと、「お前はほんまにアホやなぁ」って言うマネージャーのことをネタにしてみたり、新宿を歩いていたら、あの大都会で手押し相撲をやっている人がいて、なぜ…? と思い、それをメモしたり。わたしのネタって緻密というより、ただこのワードを言いたいだけとか、見切り発進的なものが多くて(笑)。それに対して気軽に笑ってもらえたらいいなという感じです。“こんな人いるいる!”“こんなことあるある!”みたいな感じで、自分がおもしろいと思っていることをやって、楽しさを共有できたらいいなといつも思っています。
ーーゆりやんさんの“お笑い”はどんな人たちに見てほしいですか?
わたしのやる芸に共感してくれるのであれば、誰でもいいんです。ゆりやんがやるからおもしろくなるというような芸人になりたくて。以前、友近さんのライブに参加させてもらったとき、その日の台本を読むと、“おもしろすぎてかえってみんなに伝わらないのでは?”と思った箇所があって。でも友近さんは、それをお客さん全員にしっかりと伝えながら大爆笑を起こしていて、とてもかっこよかったんです! 自分もあんな風になりたいなと思いました。



ーーところで、ゆりやんさんがライバルだと思っている人はいますか?
少し前まではいましたね(笑)。以前のわたしは、仕事で活躍する芸人をうらやましく思うことが多かったんです。負けず嫌いで嫉妬深くて、ストーカー気質かつヒステリックで、人の長所が言えないネガティブな人間でした(笑)。心配ごとも多いし、先輩芸人の皆さんに相談することもよくありましたね。そのとき、ある人に「ゆりやんが自分のことを頑張れば仕事がくる。人がどうかではなく、自分が好きなことを全力でやるのが一番だよ」と言われて。確かにその通りだなと納得してからは、周りをライバル視することがなりました。
ーー憧れの芸人さんはいますか?
もちろんたくさんいます! 例えば、明石家さんまさん、友近さん、小藪千豊さん、レイザーラモンRGさん、なかやまきんに君さんなど、数えきれないです。みなさんそれぞれがとてもおもしろくて、全員の笑いのセンスを少しずつ分けてほしいくらいです(笑)。
ーーでは、仕事やプライベートで大阪と東京のギャップを感じることはありますか?
仕事ではそこまで気にしたことはありませんね。ただ、東京は流行の発信地と言われるだけあっておしゃれだと思います! だって東京に引っ越した芸人さんたちがみんなおしゃれになってるんで。尼神インターの誠子さんと仲良くさせてもらってるんですが、大阪にいるときは墓地の裏に住んでいたし、スーパーの袋にコロッケを1個だけ入れていたのに、最近の誠子さんはフルーツサンドのお店へ行ったり、アパレルブランドのイベントに参加したりしてるんですよ(笑)! かくゆうわたしも、「UberEats」でサラダを頼むのにハマりまして。大阪にいるときはコンビニのレジ前にあるチキンばかり食べていたのに…。大阪も家のすぐ裏にジムやコンビニがあって、商業施設も近くて良かったんですが、便利さでは東京に敵いませんでしたね(笑)。
ーー休日はどのように過ごしているんですか?
映画館へ行ったり、まとまった時間があれば実家に帰ったり、友近さんにご飯に連れていってもらったり。あとはジムに通っているんですが、そのあとたくさん食べるので全然痩せなくて(笑)。同期のガンバレルーヤの2人が家に遊びにきたり、電話で女子トークもしますね。

ーー今回の撮影中にも衣装に興味を持たれていましたが、ファッションがお好きなんですね。
昔からファッションは好きでした。高校生までは制服だし、部活ばかりしていたのであまり私服が必要なかったのですが、大学は私服じゃないですか! だけど、太っていたから着れる服が少なくて、最終的には冬のコートを着ずにストール1枚で冬を越したこともありましたね(笑)。今は昔より太っていますが、サイズ感などがだいぶ分かってきたので、うまくおしゃれなアイテムを見つけられるようになりました。仕事の帰りに買い物をしたり、好きな人に会う前の日とかに買い物したり…。って、こわっ(笑)! ジャーナルスタンダードさんにも行きますよ。この前、ほしい服が入らなくて諦めたこともありましたが。
ーー<JOURNAL STANDARD>とは、去年コラボしてつくったTシャツは大反響でしたよね!
そうなんです! かつて女芸人はファッションとはほど遠い存在でしたが、最近は渡辺直美さんを筆頭に、ファッションアイコンとしても人気の芸人さんが出てきましたよね。「あのおしゃれなジャーナルさんがわたしなんかをTシャツのプリントにしてくれて、ブスなのにおしゃれにしてもらえるなんて最高じゃん(笑)」って感動しました。今年もありがたいことにコラボ第2弾ということで、7月にまわった全国ツアーのオフィシャルTシャツを一緒につくらせてもらいました。
ーー多方面で大活躍していますよね! では最後に、今後芸人としてどんな存在になりたいですか? 実現したい夢や目標があれば教えてください。
映画を観るのが好きなので、映画に携わる仕事ができたらなと思っています。そのせいもあって、アカデミー賞のネタをやってアピールしているんですけどね(笑)。芸人としては、ファッショナブルなのにおもしろいし、かっこいいのに可愛いしっていう存在になりたいです。そして、「アホやなぁ、しんどかったけどゆりやん見たらなんか吹っ飛んだわぁ」っていう芸人本来の笑いを、たくさんの人に伝えていきたいと思います。シンプルに売れたいという想いもあるけれど、「落ち着いていきや~、調子のっちゃって」でクスっと笑ってもらえることがやっぱり一番ですね。“笑い”に、悪いことはないですから。


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Photo_Kousuke Matsuki
Hair & Make-up_Aoi Nagasawa
Interview & Text_Kozue Takenaka


ゆりやん
レトリィバァ1990年11月1日生まれ、奈良県出身。大阪NSC35期生として入学し、2013年に首席で卒業。テレビやCM多方面で活躍し、2017年末に行われた『女芸人No.1決定戦 THE W』で初代チャンピオンに輝く。最近では、米NBCネットワーク放送のオーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』に出演し、世界に爪痕を残した姿が反響を呼んでいる。
また、自身がスペシャルサポーターを務める「スラバのスノーショー」が現在開催中。チケット予約はこちらから!
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