

今季のトレンドを占う
スペシャル対談。
モード×リアル、フェミニン×マニッシュ。異なるテイストのミックスを得意とし、ファッション誌を中心に活躍するスタイリストの丸山佑香さんと、イエナのディレクターである高橋綾子の対談が実現! トークテーマは、今シーズンのイエナを形作る“ミリタリー”“スポーティ”“ボリュームシルエット”という3つのスタイルについて。さらに、新作アイテムを使った丸山さんによるスタイリングもご紹介します。

スタイリスト丸山佑香

イエナ ディレクター高橋綾子
定番のミリタリーは、
“脱カジュアル”で今季らしさを。
丸山: ミリタリーって、たくさん持ってるのについつい集めてしまう服の代表な気がします。カーキはさまざま色とも相性が良いし、ハードに見えて実はどんなスタイルにも馴染む万能アイテム。
高橋: わかります! 私はカーゴパンツをよく買ってしまうんですけど、例えば露出度が高いアイテムを着る時にボトムスをそれにするだけで、気恥ずかしさをカバーしてくれるといいますか…。
丸山: 私もカーゴパンツは好きでよく穿いていますね。あと最近はフライトジャケットが気になっていて、
『 特にMA-1は毎年探しているほど。
いまだに理想の一着には
出会っていませんが… (笑) 』
(丸山)
高橋: 今年はアウターが豊富ですよね。ナイロンやタフタのような光沢がある素材を使い、オーバーサイズにして女性らしく仕上げたものを多くのブランドで見かけます。デビューシーズンから取り扱っているヴァシュモンの一着はすごくかわいかったです。
丸山: 例えばツイードジャケットだったり足元にはヒールを合わせたり、レディライクなアイテムを掛け合わせるのも今季の特徴。コーディネート次第でトレンド感を出せるのもミリタリーの魅力だと思います。
高橋: 女性らしさを加えるのが気分ですよね。コロナ禍もあって久しくリラックスやエフォートレスがキーワードになっていましたが、
『 コレクションブランドを見ていても
「もう一回おしゃれしよう ! 」
みたいな背筋を伸ばす感覚が
戻っている気がして。 』(高橋)
それで今季はイエナでも、モッズコートにレディなスカートを合わせ、パールやゴールドの華やかなアクセサリーを添え、足元はヒールを履くようなスタイルを提案したいと思い、コレクションを作りました。
丸山: 去年まではレースブラウスのようにわかりやすく甘いアイテムを合わせていましたが、今年は上はベーシックなタンクトップだけど下はスカート×ヒール、みたいな。下半身でアレンジを効かせたいです。
高橋: これまでの甘辛ミックスではなく、大人の女性らしくスマートにまとめるのがポイントですね。

襟元と足元から覗かせる
センシュアリティ。
大ぶりのフードがアクセントになったモッズコートにチェックジャケットをレイヤード。アウターオンアウターのコーディネートが叶うのは、身体をすっぽりと覆うオーバーサイズだからこそ。ベージュのスラックスを合わせたトラディショナルなスタイルに、首元から覗くフリルのブラウスと華奢なヒールで繊細なニュアンスをプラスして。

異なるテイストをまとめる
絶妙な色使い。
端正なストライプシャツをサイドスリット入りのツイードスカートにタックインした女性らしいスタイルに、ベストタイプにアレンジされたMA-1を羽織ってミリタリーテイストをプラス。正反対のテイストにも関わらずまとまって見えるのは、全体を淡いカラーリングで統一しているから。
フェミニンな装いで際立つ、
スポーティなエッセンス。
高橋: 展示会を回っていても、ダウンジャケットとダウンベストが本当に多かった。アウターならナイロン系、ボトムスならジョガーやスウェットパンツが個人的にもとても気になっています。
丸山: メゾンブランドでも、モードな装いの一部にラガーシャツやラインソックスなどのユニフォームライクなアイテムを差し込むスタイルが目を引きました。
高橋: 私は髪型がショートカットなので、スポーティなものを着ちゃうとボーイッシュになりすぎるから正直敬遠していたんですけど、
『 今シーズンは小物ではなく
服で積極的に取り入れたい
気分です。 』(高橋)
丸山: スポーティすぎないというか、私たちが取り入れても違和感のない、ちゃんとファッションに落とし込まれたアイテムが多いですよね。色味が繊細だったり、さりげなくラインがあしらわれていたり。イエナのフロッキープリントが施されたロゴスウェットもかわいかったです。自分が普段やるスタイリングともリンクしていますし、それこそ古着とミックスしてもおもしろいかも。
高橋: 私はダウンベストを狙っています!
丸山: 日本の気候的にもダウンベストってちょうどいいんですよね(笑) 私は車移動が多いのもあって普段からよく着ています。インナー次第でいろいろなコーディネートに振れますし。
高橋: どうやったら普段のスタイルに落とし込みやすいかを考えると、もともとがすごいカジュアルなので、そのまま直球で着るよりはフェミニンなアイテムと掛け合わせるのがイエナらしくもあり、いちばん素直に取り入れていただけるのかなと。
丸山: そうですね。
『 ストレートにまとめるより、
どこかに一点
スポーティなアイテムを選ぶのが
今年らしいバランスだと思います。 』
(丸山)
私はラガーシャツにきれいなシルエットのコートを羽織るコーディネートを計画中!

注目のダウンベストで
軽快なスタイルに。
高橋も注目するダウンベストを使ったコーディネート。シックな色味ながら軽やかなナイロン素材がスポーツテイストを感じさせる一着にライン入りカーディガンを重ね、裾からはイニシャルのレタードをチラ見せ。ボトムスにはロマンティックなレーススカートを合わせ、あくまでもフェミニンなテイストに。

ロゴスウェットを、
フェミニンに味付け。
今年らしいキャメルカラーで彩られたロゴスウェットは、ヴィンテージライクなフロッキー加工がポイント。キャップを被りボーダーカットソーをレイヤードしたボーイッシュなトップスに対し、ボトムスは優雅なカーブを描くフレアスカートとトレンドのロングブーツを選び、メリハリを効かせた。
意識すべきは
“コンパクト×ボリューム”。
上下のバランスが逆転!
高橋: ボリュームシルエット人気は継続中。ただ今シーズンは、全身をオーバーサイズでまとめるのではなく、上下のサイジングでメリハリをつけるスタイルが気になっています。
丸山: どこかでセンシュアリティを感じさせるのがこれまでとの違いのように思います。オーバーサイズはそれがないとただ大きいだけで終わってしまうから。
『 テイスト問わず、
女性らしさというのが
今シーズンの
最重要キーワードですね。 』(丸山)
高橋: 「ただ大きいだけじゃない」というのはイエナでもすごく意識しています。オーバーサイズのニットでもクロップド丈にしたり。丸山さんがおっしゃる色気とも通ずるんでしょうか。
丸山: みんな肌を見せることへの抵抗が薄くなった気がしますよね。私には難しいけど、オーバーサイズのシャツを着る時でも胸元は開けてそこにネックレスを添えるとか。
高橋: ミニスカートとロングブーツの合わせも久しぶりに流行りそうな予感がします。夏は足が露わになっちゃうから挑戦できない人でも、冬だからこそタイツやブーツを合わせることでトライできるような。
丸山: トップスも薄手になる夏に比べて、肌の分量が調整できますしね。
高橋: そんな中で今シーズンのイエナでは、上はタイトにまとめて、下にボリュームを置くスタイルを推しています。いままでは大きいニットにタイトボトムスを合わせるのが主流だったけど、
『 上下のバランスが逆転するだけで
新鮮に映るような気がして。 』(高橋)
丸山: コンパクト×ボリュームのバランスは私も注目しています。その際気をつけたいのは、素材感で差をつけること。同じ素材だとメリハリがなくて野暮ったく見えてしまうし、ボリュームのコントラストも目立たなくなっちゃう。例えばニット×レザーのように、正反対のテクスチャーで表現することがこなれ感を出すポイントです。

素材使いで際立つ、
シルエットのコントラスト。
爽やかなスカイブルーの半袖ニットに合わせたのは、美しく広がるカーキのフレアスカート。カシミヤのふんわりした質感とナイロンの光沢とが、コンパクト×ボリュームのシルエット差をより一層際立たせる。自然に弛むリブニットにスウェットを肩掛けして、トップスにもニュアンスを添えて。

スタイルアップが叶う、
クロップド丈との組み合わせ。
トレンドのクロップド丈×ハイウエストのフレアシルエットは、簡単にスタイルアップできる最強の組み合わせ。温かみあふれるマルチカラーのカーディガンに艶やかなレオパード柄スカートをコーディネートし、あとはクラシックなコインネックレスとパンプスを合わせるだけで、大人のためのレオパードスタイルの完成。
PROFILE
丸山佑香 ( YUUKA MARUYAMA )
ファッション誌を中心に、広告、アーティスト、俳優などのスタイリングを手がける。ハンドメイドアクセサリーブランド「TON」のディレクターも務め、今年8月にはイエナとコラボレーションした。
Illustration: Hisayuki Hiranuma