

case:
003
Yoshifumi Aoki
エディター
Photo_Kousuke Matsuki
Edit & Text_ Rui Konno
今年も春がやってきた。出会いと別れ、期待や不安。
色んな予感と気持ちが胸の中を巡りつつも
なぜだがジッとしてはいられない。
それは、輝いて見えるあの人たちだって変わらない。
新しい景色を見るために人知れず葛藤して、
今も挑戦を繰り返しているはず。
歳も性別も、畑も違う13人の人々が教えてくれた、
彼らの心を動かすもの。
時代の閉塞感がどれだけ強まっても、
好奇心と情熱は奪えない。
お気に入りの1着に袖を通したのなら、
さぁ、新たな自分に会いに行こう。
「2020年というのは西洋占星術では、
約200年続いた“地の時代”が終わって、
“風の時代”が始まる年だそうなんです」。
自身と世相の今を客観視して、
青木さんは開口一番そうつぶやいた。
ファッションに夢中になり、
編集者としてキャリアを積んできた彼は
どんな風に占いへと傾倒し、
そこから得た知識と経験の先に
どんな未来を描くのか。
早速ですが、青木さんが占いと出会うまでのお話を聞かせていただけますか?
はい。元々ファッションが好きで、大学生のときの就職活動ではファッション系の企業なんかを受けていたんです。でも、そのときは他に大手の商社にも内定したこともあり、親の期待もあってそこに入りました。だけど、当時はおしゃれであることがすべてで、職場にはおしゃれな人もいなくて、楽しくなかったんです。石の上にも三年とは言われていたけど、’95年に入社して、結局2年だけ頑張ってそこは辞めました。入社1年目に母親が亡くなっていたのも大きかったですね。
そうだったんですね。でも、お母さんは最後に青木さんの社会人らしい姿が見られたことは嬉しかったんじゃないですか?
でも母には最後に「好きなことをしなさい」って言われたから、嫌々商社に行ったことは見抜かれていたんでしょうね(笑)。それで、本当は海外へ留学に行きたかったんですけど、そのタイミングで家族を残してはいけなくて、文化服装学院に行くことにしたんです。デザイナーになりたかったから。でも、結局それは叶わなくて、受かったのが文化出版局の広告部だったんです。編集じゃなく広告営業かぁ……と思って一度は断わり、フリーのパタンナーをしていた半年後くらいに「編集をやりたいなら、社員として編集部に入らないか?」というお誘いを改めていただいて。それでいざ入ったら、当時の装苑のスタッフのクリエイションにかける想いはすごくて、毎回作品撮りのような感じだったんです。その中で揉まれて、ヒットする企画もいくつもつくりました。編集能力はそこまで無くても、ファッションが好きっていうだけでも当時はそれができたんです。売り上げもよく、ミハラヤスヒロにトーガ、フラボアにグリーンとか、東京ブランドが続々と注目されてきた頃で、すごく楽しかったですね。
占いと出会ったのもその頃だったんですか?
そうです。今でこそSNSで読者の反応が見えたりするけど、当時は編集と読者の距離が近くはなかったから、自分のやってることは誰かの役に立ってるんだろうか? っていう感覚がずっとあったんです。その頃はまだ親との別れのショックを引きずっていて、ちょうど占いと出会い、いまの流れが宿命のひとつなんだと受け入れることができて、だいぶ救われました。それで、占いならもっと人の役に立てるかも知れないと思って、自分でも占いの勉強をし始めたんです。
「宝石って鉱物だから生きていて、本当にパワーがあると思います」という青木さんのラッキーアイテムがダイヤモンド。母親の形見がダイヤモンドで、それを身につけたことでその力を実感したそう。ネックレスはハリー・ウィンストンのもの。
占いのエキスパートになりたい! というような気持ちではなかったんですね。
はい。私は編集者だから、色々な占術や世の中の動き、トレンドなどをエディットしている感じです。そのようなアプローチの人がほとんどいなかったからか、興味を持ってくれる方も多かったのかもしれません。その後、以前に連載を担当していた某セレクトショップのディレクターの方が新しいブランドを立ち上げるタイミングに「占いやってるの? ならラッキーアイテムを監修してよ」と声を掛けてくれて、洋服のデザインにも携われるなら、ということで、それをきっかけに思い切って業務委託になりました。
すごく珍しい遍歴ですね。色々なタイミングも偶然重なっていて。
そうですね。でも、西洋占星術で2020年に“地の時代”から“風の時代”に変わっていくという流れがあったので、これからはフリーの時代になるというのはどこかで感じていて、自分もそれを意識して体現していたというのもありますね。
ちょうど今年がそうなんですね。地の時代というのはどれくらい続いたんですか?
約200年です。地の時代の始まりには産業革命があって、物をつくって売るという時代だったけど、今はIT革命が起きて、経験や情報とか、目に見えないものが意味を持つ時代になると言われていたんです。風の時代は個が立っていく時代でもあって、これまでは“どこと”仕事をするかという価値観だったのが、これからは組織や媒体よりも“誰と”仕事をするかが重要になりそうです。所有がステータスだった時代から、物を持たずに色んなことをシェアできるかどうかが大切になったりと、そういう風に価値観が大きく変わっていくタイミングなんです。
個人の価値に目が向く時代になってきているんですね。
その分、目に見えない印象というものが大事になってきて、印象をクリーンにする、清潔感は今まで以上に大切になっていきそう。デイリーな物ってそのままなんとなく使い続けてしまうけど、それを思い切って変えてみるのは、印象を変える上ですごく大切です。特に、香りは縁とつながっているそうなので、好きな香りを探してみるのも良いと思います。“気が入る”って書く通り、お気に入りの物はその気を自分に返してくれるから。
「香りが好きなんです」というジョンマスターオーガニックのコスメ類。
占いはそういう日常はもちろん、人が岐路に立ったときにも大きな指標になりうる物だと思いますが、青木さんには占いで苦しまれた経験はありますか?
無いですね。すべては解釈の仕方だから。ネガティブなことも点では読み取らず、それを未来へつなげていく。こういう占いの結果が出たからこういう風にして行こうとかっていう解釈をすることで、結果的に良い方向に向かっていけるんだと思います。
今日お話を聞いているこのお店を選ばれたのにも、占いが関わっているんですか?
そうです。このロングレインは39階にありますけど、高いところって変化の気を持ってるそう。風水では去年は山の年で、“変化と挑戦”がテーマとされていて、2018年は火の年で高いところに気が宿るという、2年連続のパワースポットだったんです。今もこの立地にあやかって、大事なお客さんと一緒に来たりするんです。さらにスパイスというのも、「人生のスパイス」なんて言い方をする通り、何かを変えたいときや浄化したいときにはすごく良くて、高層階でタイ料理が食べられるこのお店は、そういうときなどにはぴったりなんです。
青木さんの偏愛スポット、ロングレインは恵比寿ガーデンプレイス内のビルの高層階にあるオーストラリア発のタイレストラン。この日のランチは「季節の3種カレー」。
人それぞれ、ポジティブな気持ちになれる場所や思い入れのあるスポットがあると思いますけど、青木さんにとってはここがそのひとつなんですね。
はい。例えば誰かが疲れているときや嫌なことがあったときに、そういうことを知って「気分を変えたいからスパイスの利いたものを食べよう」とか、そんな風にみんなが自分だけのストーリーをつくっていけたなら、きっと自分も誰かしらに貢献できているんじゃないかと思っています。
PROFILE
青木良文 / あおきよしふみ
1972年生まれ、東京都出身。『フィガロジャポン』をはじめ、多くの人気雑誌でファッション&占いのページを担当するエディター。母親を癌で亡くしたりと苦難の20代を経て、以降は現在に至るまでファッションブランドのビジュアルづくりやラッキーアイテムのディレクション、トークイベントなど、多方面で辣腕を振るっている。
Instagram : @aokiyoshifumi
Longrain(ロングレイン)
03-5424-1300
東京都渋谷区恵比寿4-20-3
恵比寿ガーデンプレイスタワー 39F
月〜金曜 11:30-16:00 (L.O.15:00) / 17:30-23:00 (L.O.22:30)
土・日・祝日 11:00-23:00 (L.O.22:30)
定休日 なし
http://longrain.im-transit.co.jp
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