ジャーナル スタンダード レリュームが提案する秋冬のスタイルに欠かせないアイテムの一つ、セーター。
中でも、毎シーズン改良を重ねてリリースしているハミルトンラムズウールは、着心地の良さと身体を包み込む防寒機能を兼ね備えた、いわばマスターピース。今年もサイジングやカラーリングを見直し、ヘッドギアやマフラーなどの小物を加えてご用意しました。そこで、今回は4組のみなさまにハミルトンラムズウールのアイテムを着ていただき、生活や仕事、洋服にまつわる話を伺いました。
Photo,Movie_Daikichi Kawazumi
Edit,Text_Sho Iwata
HAMILTON LAMBSWOOL
オーストラリアのメルボルン西部に広がる放牧地域で採取される高級ラムウール。仔羊の最初の毛刈りで採れたもののみを採用しており、しっとりとした油分を感じる肌触りとふっくらとした柔らかな表情が魅力。今回ジャーナル スタンダード レリュームで扱うアイテムには、厳しい品質基準を満たしたウールであることを証明するウールマーク認証が与えられている。
大西 藍 / 武内 賢太(goyemon)
日本の伝統工芸と現代をつなぐ、
アイデアと最新テクノロジー。
左:武内さん 右:大西さん
デザイン系の専門高校時代の同級生、武内さんと大西さんが立ち上げた新進気鋭のクリエイティブ集団goyemon。雪駄にスニーカーソールを組み合わせた「unda-雲駄-」は、クラウドファンディングmakuakeで一躍話題になり、今では欠品が相次ぐほど人気を博している。第二弾としてリリースされた、切子×ダブルウォールグラスの「Fuwan-浮碗-」、先日予約を開始した新作、刺身包丁×セラミックの「matou-磨刀-」と、日本の伝統的なプロダクトと最新テクノロジーを掛け合わせる手法が彼らのお家芸だ。
「僕たちの作るプロダクトが、日本の伝統工芸に興味を持ってもらうキッカケになると良いなと思っています。undaを買っていただいた方が、最終的にクラシックなオリジナルの雪駄を履いてくれるのが理想ですね。(大西)」
伝統工芸と最新テクノロジー。誰しも一度は思い浮かべる掛け合わせだが、goyemonのプロダクトには、その元となるアイテム選びのセンス、そして最新技術への理解の深さゆえの説得力と実用性が宿っている。彼らのプロダクトの数々は、どのようなコミュニケーションから生まれているのか。
「普段から新しく仕入れた情報は共有し合うようにしています。あとは、休みの日に一緒に百貨店やセレクトショップで買い物をすることもありますね。そこで日本の伝統工芸や最新技術を使ったプロダクトを手に取ってアイデアを膨らませたり。(大西)」
「この間は、僕が中華鍋を買ったので大西を誘ってチャーハンを一緒に作りました。(笑)中華鍋って使っていくほどに油が回って料理が美味しく出来上がるんですよね。歴史あるプロダクトを実際に一緒に使ってみると、「この部分はやっぱり良いね」「この部分はこう改善した方が良いね」というセッションができて、新たな発見が生まれることもある。そういうコミュニケーションがgoyemonのクリエイティブにつながっているような気がします。(武内)」
ウールの企画ということで、お二人にウールを絡めたアイテムを作るなら?という質問を投げかけてみた。
「パッと思いつくのは、unda用のウールソックスですかね?(大西)」
「もともと雪駄は雪の多い地域でも使われていたと言われており、undaも冬にも履けるようにしたいとは常々思っていて。undaに合わせるソックスは是非とも作ってみたいですね。(武内)」
今回武内さんにはヘンリーネックタイプのグレー、大西さんにはクルーネックのブラックを着てもらった。どちらもウールならではの深みのある色味に仕上がっている。
「職業柄なのか、洋服をプロダクトの側面で見てしまうんです。フォルムや質感、細かなディテールや機能性に目が行きますね。その意味で、このセーターはウールの素材感が特徴的だなと。いくつかの色の糸を掛け合わせて編まれていますよね?加えて生地自体にも凹凸があるので、奥行きを感じられる。アクセサリーをあまり付けない自分としては、素材に表情があるウェアというのは、1枚でサマになるので嬉しいですね。(武内)」
「普段は着心地の良さを重視して服を選ぶことが多いのですが、このセーターはゆったりしたサイズ感と、ドロップショルダーのシルエットが気に入りました。素肌に触れても肌に優しく柔らかな着心地なので、半袖のTシャツの上からでもスウェット感覚で着られて、尚且つ暖かい。このスミ黒のカラーも好みです。(大西)」
最後に、goyemonの今後の活動について尋ねてみた。
「実は最近、愛知県の旅館の大浴場跡地をカフェにするプロジェクトや、石垣島の一棟貸しの宿泊施設のディレクションなど空間のプロデュースを行なっていて、今後はそっちにも力を入れていきたいと思っています。(大西)」
「空間をデザインできれば、そこから逆算してこういうプロダクトがあったら良さそう、というアイデアが生まれる。プロダクトと空間、相互作用で新しいクリエイティブを作っていければ良いなと思っています。(武内)」
大西 藍 / 武内 賢太(goyemon)
秦 孝太郎 / 秦 理恵(GOOD SENSE)
四季の移ろいを感じながら、
自然の中で生きていく
フォトグラファーとして活動する孝太郎さんと、自宅に併設するヘアサロンを営む理恵さん。お二人が暮らすのは、山梨県北杜市小淵沢町。北側に八ヶ岳、南には南アルプスを望む山間ののどかな田園エリアだ。北海道出身の孝太郎さんと奈良県出身の理恵さんが生活の拠点にこの街を選んだのは、ふとしたことがきっかけだった。
「友人が仕事で山梨に行く際に、ふらっとついていったんです。その時に原村というところから見た景色がとても綺麗で。坂のふもとに街が広がっていて、その奥に諏訪湖、さらにその奥に山々が連なっている。夕暮れ時でした。当時は二人で東京に住んでいたのですが、その感動が忘れられなくて、帰ってすぐにGoogleマップを見て「この辺りだったはず。」と記憶を辿りながら物件探しを始めました。(孝太郎)」
その後知り合いに紹介してもらい、家が見つかったのが6年前。そこを買い取り、住みながら自分達でリノベーションを進めて5年前に理恵さんの職場となるヘアサロンをオープンした。
「本格的に山梨に拠点を移したのは、ヘアサロンをオープンしたタイミングでした。それまでは東京と行き来しながら生活していたのですが、やはり気持ちが宙ぶらりんになってしまっていました。東京へ通うのをやめてから暮らしも仕事も、上手く回り始めた感覚がありましたね。(理恵)」
元々メッセンジャーとしてカナダやイギリス、オーストラリア、東京にて活動していた孝太郎さん。写真を撮ることが生業となったのは、ごく自然な流れだったという。
「メッセンジャーとして働いていた時から写真が好きでカメラを持ち歩いていて、行く先々で人や風景の写真を撮っていたら、周りから“写真を撮ってくれる人”と認識されて仲良くなることができたんです。英語が上手く話せなかった自分にとっては、写真はコミュニケーションの一部となって、より写真を撮ることが好きになっていきました。そこから日本に戻ってきて山梨に住むタイミングで、好きな場所に住むなら仕事も好きなことをしよう。と思い今に至ります。(孝太郎)」
今回孝太郎さんに着てもらったのは、タートルネックのセーターと耳付きのニットキャップ。ハミルトンラムズウール特有のしっとりとした質感は、顔まわりのデリケートな肌に触れるアイテムとの相性は抜群だ。
「普段セーターはクルーネックを着ることが多いのですが、タートルネックも良いですね。これならチクチクしないし、何より暖かい。この紫がかったブラウンも気に入りました。冬場は冷え込むので、耳付きのニットキャップはよく被ります。なかなか良いデザインのものが見つからないんですよね。このニットキャップの形はかなり好みです。」
サロンワークを主とする理恵さんに着てもらったのは、スモーキーなイエローのクルーネックセーター。ハミルトンラムズウールは、毛足が長い羊毛を使用しているため、厚みを持たせずともふっくらとしたセーターが出来上がる。
「美容師は髪の毛が付いてしまうのでニットアイテムを着ない人が多いんですが、私はセーターが好きなので、冬場は上からカバーオールを羽織って着ることが多いです。このセーターは柔らかいし厚みがそこまでないので、インナーとして着てもかさばらなさそうで良いですね。」
コロナ禍に都市部を離れて田舎暮らしを始めた人の中には、3年という節目を迎えた今、Uターンで都市部に戻ってくる人も多い。そんな中、今も昔も東京の街が好きというお二人は、コロナ以前から山梨での暮らしを始めて6年目を迎えるいま、より一層この環境を選んで良かったと実感しているという。
「僕も理恵も元々自然が好きだったので、フィールドが近くなってより外遊びが身近になりました。この辺りは車を少し走らせれば山も川もあるので、山登りや釣りをするにはとても良いところなんです。この間も娘の珠莉を背負いながら3人で山を登りましたよ。(笑)これから珠莉とも外の遊びをたくさん楽しんでいきたいです。」
「こっちに住み始めて野菜を育てるようになってから、野菜の旬の時期を意識するようになりました。トマトやズッキーニは夏、りんごは冬とか。旬の時期に食べていると、逆に旬ではない時期に食べたいと思わなくなるんですよね。自然のサイクルに沿って色々な野菜や果物を食べるようになるので、バランスが整う。私も孝太郎も風邪を引きにくくなりました。自分たちにとっても珠莉にとっても、この場所を選んで本当に良かったと思っています。(理恵)」
秦 孝太郎 / 秦 理恵(GOOD SENSE)
maco marets(ラッパー)
未完の美に目を向けて、
等身大の言葉を紡ぐ
肩の力の抜けたリラクジングなフロウとリリックで、日本のヒップホップシーンの中でユニークな存在感を放つ福岡県出身のラッパー、maco maretsさん。呟くように紡がれる、穏やかでありながらクリティカルに心を打つリリックは、ミレニアム世代を中心に幅広い世代から支持を集めている。インタビューの中でも、自身の頭に浮かんだイメージと照らし合わせながら、丁寧に言葉を紡いでいく姿が印象的な氏に、音楽制作や「言葉」について。そして今回着てもらったハミルトンラムズウールのセーターについて話を伺った。
「最近は、一から十まで緻密に計算されたものよりも、どこか未完成の部分があるものに魅力を感じるようになりました。人間誰しも完璧ではないし、世の中は常に移り変わっていく。だからこそ、その時々で感じることに目を向けて、自分の曲でもそれをできるだけ生々しく表現したいんです。なので、楽曲制作においても何度も整形することはせずに、多少粗いと感じる部分があっても、敢えて残して進めることが増えました。8月にリリースしたアルバム「Unready」も、そのメッセージを込めてタイトルを付けたんです。」
ウールという原料にも、ある種の未完の美が存在する。目標とする機能や風合いに、試作を重ねて限りなく近づけていく化学繊維とは違って、ウールは天然素材。その時々で採れる羊毛によってセーターとしての仕上がりは変化し、さらに着ていくうちに身体に馴染んで着用者と共に成長していく。
今回着てもらったのは、そんなウールの中でも最高級と言われるハミルトンラムズウールを使ったヘンリーネックタイプのセーター。白度と光沢が美しいウールだからこそ出せる、発色の良い淡いブルーがなんともフレッシュだ。
「化学繊維のサラサラした肌ざわりがあまり好きではなくて、コットンやウールを着ることが多いです。天然繊維は身体を柔らかく包み込んでくれるから好きなんです。このセーターも、袖を通した瞬間からじわっと優しい暖かさを感じました。あとはこの色味。デニムみたいなブルーですよね。ジーンズよりもチノパン派、ベージュやグレー、ブラックのボトムスを履くことが多い自分にとって、持っている服との相性も良さそうです。」
最近は、ラッパーとしての活動に加えて、雑誌への詩の提供も行っているという。ラップ、詩、そして普段からよく読むという本。氏にとっては、リリックだけでなく活字としての「言葉」も、生活におけるとても重要なピースとなっているようだ。
「昔から本を読むのが好きなんです。今でも語彙やテーマ選びでは本からインスピレーションを受けることが多いですね。最近雑誌に連載で詩を提供する機会をいただいてからは、ラップで音に乗せるとしっくりこないけど良いと思った言い回しやワードを、詩の方で使ってみることもあります。ラップとはまた少し異なるアプローチで言葉を紡いでいく作業なので、新鮮で楽しいです。」
最後に、ラッパーとして活動する上で幸せを感じる瞬間を聞いてみた。
「自分にとって、言葉と音に向き合う過程には、セルフケア的な要素もあって。それを様々なクリエイターの方が関わってくれて音源としてリリースできて、そして聞いてくれるリスナーの中には、良かったと言ってくれる方がいる。そうやって、始めはとても私的であったはずのものが誰かの心に届いた、という実感を持てる瞬間が本当に幸せですね。」
maco marets
千葉 明子(EYEON general store)
世界中から好きを集めて、
気軽にナチュラルワインを楽しめる空間を
逗子・葉山駅から程近い川のほとりに、昨年の夏オープンしたEYEON general store。店内には、オーナーの千葉さんが世界各国から仕入れたナチュラルワインとヴィンテージ雑貨が並ぶ。美食家が集まる逗子葉山エリアのワイン通を初め、最近は県外からの来店も増えたという。
「土地柄、地元の方はパッと見てわかるんです。手ぶらだったり、すごくラフな格好をしていたり。(笑)遠方から来る方の中には、買ったワインを海で飲みたいという方もいらっしゃるので、オープナーの貸し出しも行っています。」
コンパクトな店内にところ狭しと並ぶワインとヴィンテージ雑貨は、生産国や年代も様々。それでいて、彼女の審美眼で集められたプロダクトは、どこか共通したムードを保ちながらEYEON general storeという一つの空間を作り上げている。ナチュラルワインと雑貨、それぞれ仕入れる際の決め手を聞いてみた。
「ナチュラルワインは、まず第一に味。その上で、エチケットも含めて仕入れるかを判断します。レコードのジャケ買いのような感覚で気軽に楽しんでもらいたいので、エチケットのデザインは大事なポイントです。ヴィンテージ雑貨は感覚重視。歴史あるメーカーのものもあるし、無名作家のものもある。ファーストインプレッションでグッとくるものを選んでいます。」
今回彼女に着てもらったのは、クルーネックのセーターとアームウォーマー。ワインというデリケートな商品を扱う仕事柄、店頭に立つ際の服装には制限があるという。
「ワインの品質管理の関係で、1年通して室内を15〜16度に保っているんです。だから夏でも長袖を着ています。特に冬場は冷え込みが激しくて手先が冷え切ってしまう。手袋だと作業がしにくいので、アームウォーマーは普段からかなり重宝しています。このウールアームウォーマーは暖かくて肌触りも良いし、厚みがそこまでないので作業がしやすくて良いですね。セーターも同色だったので、今回はワントーンでまとめてみました。温かみのある暖色系のグレーなので、ピンクやオレンジなどのアイテムとも合わせてみたいです。」
最後に、オープンから一周年が経った今の気持ちを聞いてみた。
「感情の変化はないですね。オープン前とモチベーションは変わりません。ひたすらに自分の好きを集めているお店なので、それがお客様に伝わってくれたら嬉しいです。
千葉 明子(EYEON general store)
LINEUP
THE WOOLMARK COMPANY
ザ・ウールマーク・カンパニーは、オーストラリア産メリノウールの啓蒙活動やマーケティング、研究開発を行っている非営利組織です。牧羊業者を代表して世界各国のファッション業界のパートナーと共に、天然でサステナブル、再生可能で土に還るウールの特徴を発信しています。
https://www.woolmark.jp/about/
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